大統領選挙の世論調査を検証
アメリカ大統領選挙の結果は、アメリカだけでなく、世界全体および日本に大きな影響を与えるので、これまで関心を持って見てきた。
そして結果の予想を、RealClearPoliticsなどの世論調査に基づいて、行ってきた。
今回、大統領選挙の結果が出たので、最終確定前ではあるが、予想の検証を行う。
大統領選挙の仕組み
これまでの投稿で何度か触れてきたが、改めてアメリカ大統領選挙の仕組みについて説明する。
大統領選挙は州単位で行われる。50の州とワシントンDCには、それぞれ人口に応じた代議員が割り当てられており、州での勝者は、その州に割当てられたすべての代議員を獲得する。代議員の総数は528人で、この過半数である270人を獲得した候補者が大統領に選出される。
※この原則に従わない州が2つある。メーン州とネブラスカ州である。
メーン州は選挙人が4人で、このうち2人は州全体で勝った候補が獲得。残りの2人は州内に2つある下院議員の選挙区ごとに勝った候補が1人ずつ獲得する。ネブラスカ州も同じように選挙人5人のうち、2人が州全体の勝者に、残りの3人は3つの下院議員の選挙区ごとの勝者が獲得する。
代議員数が最大の州はカリフォルニアで、代議員数は54人。そしてカリフォルニアはブルーステートと呼ばれる民主党優位の州なので、ハリスがこの54人を確実に獲得する見通しである。
カリフォルニアに次いで代議員数が多いのがテキサス州で40人。この州は共和党優位のレッドステートなので、トランプが40人を獲得する見通し。
ワシントンDCを含めた51の州の内、民主党優位のブルーステートは20州で、代議員数は226人、そして共和党優位のレッドステートは24州あり、代議員数は219人である。つまり、ハリスの226人、トランプの219人はほぼ確定である。
残りの7つの州は、民主党と共和党の支持率が拮抗しており、選挙毎に結果が揺らぐので、スイング・ステートと呼ばれる。スイング・ステートの代議員数は93人であり、この93人の内、何人を獲得するかが結果を左右する。
ハリスが勝つため条件は、スイング・ステートで44人以上を獲得すること、トランプが勝つための条件は、51人以上を獲得することである。
2024年大統領選挙の結果
結果はご存知の通り、トランプの圧勝となった。
事前の予想通り、ブルーステートのすべてでハリスが勝利し、レッドステートのすべてでトランプが勝利した。
スイング・ステートに関して、2024年11月7日の時点では、ネバダ州とアリゾナ州が未確定ではあるが、どちらもトランプ優勢であり、トランプがスイング・ステートすべてで勝利し、312人の選挙人を獲得する見通しである。
スイング・ステートでの獲得票は、現時点で、以下のようになっている。
世論調査
一方、これまで予想に使ってきたRealClearPoliticsでの世論調査の最新は次のようになっている。
それからもう一つ、正確だと定評があるらしい世論調査であるAtlasIntelでは、以下のようになっている。
RealClearPoliticsでは、ミシガンとウィスコンシンでハリス優勢となっているが、AtlasIntelではすべてトランプ優勢である。
この2つの世論調査と結果との差異は以下となる。
RealClearPoliticsでは、平均して2ポイント、トランプを過小評価しており、各州でのばらつきも1ポイントと大きい。
一方、AtlasIntelは平均差異は0.6ポイントと少なく、ばらつきも0.6ポイントであった。
AtlasIntelの調査はあまりにトランプ優勢だったので、予想にはRealClearPoliticsの調査を使ったのだが、結果的にはAtlasIntelが正しかったということになる。
RealClearPoliticsは、複数の世論調査を平均した数値であるが、これら複数の世論調査にバイアスがあったのか、あるいは隠れトランプを見逃したのかにより、トランプを2ポイント過少評価したと思われる。