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現代版錬金術?

水と二酸化炭素から石油を作る

一ヶ月ぶりにガソリンを入れてびっくり、なんと180円!
一回の給油で7000円超えは初めての経験。これからも上がり続けるのだろうか。政府はいい加減、エネルギーに税金をかけるのはやめてほしい。

そんなことを思っていた矢先、朗報とも言えるニュースが目に入った。今年の1月だから、すこし古いニュースではあるが、「水と二酸化炭素から石油を作る」という実証実験が行われたという。

水と大気中のCO2等から生成する人工石油の実証実験

今のところ、ガソリンは作れず、軽油や重油などに限定されるが、作られる人工軽油のコストは、なんと10円~14円/L

実証実験の登場人物

実施:サステイナブルエネルギー開発株式会社
技術:株式会社アイティー技研
   代表取締役社長 京都大学名誉教授 工学博士 今中 忠行
支援:実証事業推進チーム大阪
   大阪府、大阪市、大阪商工会議所

錚々たるメンバーであり、テレビでも放映された。株式会社アイティー技研の社長である今中氏による論文も特許もある。これは本物だろう!

仕組みの概要

株式会社アイティー技研のホームページや今中氏の特許から、大まかな仕組みは次のようになっているようだ。詳細は「ドリーム燃料製造装置」を参照。

step1
イオンを取り除いた精製水に二酸化炭素と酸素をナノバブルにして混ぜる

step2
step1の水を光触媒を使った特殊光触媒カラムに通し、紫外線を照射する。
これによって一酸化炭素と水素ができる。

step3
step2の水(活性化水)と炭化水素(種となる石油)を混合する。
空気中の炭酸ガスが吸収され、step2で生じた一酸化炭素と水素がラジカル重合で連鎖反応し、 炭化水素(石油)が合成される。

step4
静置すると、水層と油層に分離するので、上澄みを取り出す。その結果、種となった石油の量が10%ほど増える。増えた石油は次の種として使える。

怪しいと思う点

炭化水素(石油)を燃やすと二酸化炭素と水ができ、そのときにエネルギーが取り出せる。

二酸化炭素と水から炭化水素を作るのは逆のプロセスなので、エネルギーを投入する必要がある。当然のことであるが、必要となるエネルギーは、炭化水素を燃やしたときに発生するエネルギーより大きい。そうでなければ永久機関ができてしまう。

先程の仕組みの中で投入している主なエネルギーは紫外線である。紫外線のエネルギーで炭化水素を合成するというならわかる。これは植物が行っている光合成の仕組みそのものであり、人工光合成の試みも多くなされている。

しかし、それでは、10円~14円というコストは不可能である。紫外線を作るには電気が必要で、その電気は(火力発電の場合)炭化水素を燃やして作っているのだから。

二酸化炭素と水から炭化水素を作るには、炭化水素を燃やしたときに得られるエネルギー以上のエネルギー投入が不可欠である。太陽光などの自然エネルギーを使うならともかく、それなしで10円~14円というコストはありえない。

仕組みの解説とか、これがどれだけ素晴らしいかの解説は色々あるが、私が一番知りたい「エネルギー収支」の話が見つからない。テレビが気が付かないのは、まあそんなものだと思うが、大阪府、大阪市、大阪商工会議所などのメンバーが、そこに疑問を持たないというのはどういうことか。

私にとっては錬金術にしか見えない。新たな補助金詐欺ではないか。。。

サブスク

サステイナブルエネルギー開発株式会社は、石油精製装置をサブスクリプションで提供すると言う。毎月50万円だが、フル稼働することで、10円~14円/Lの軽油が作れるそうだ。

1月の時点で4月からというアナウンスだったが、未だ提供されているという話は聞かない。どうなるか、乞うご期待である。






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