思いの寄せ方の鬱屈。色情狂いとも違い、嫉妬と狂気と自傷
人々よ。
戦前から戦中の大阪は豊中。
都会でもなく田舎でもなく、現代の比ではないが。
耽美派の三島氏。
情景描写は流石に綺麗だが。
情景を削れば、ただの昼ドラにしか思えないな。
亡夫の父、つまり義父の後家に入り、手籠めにされ、最早情婦な主人公の悦子。
その一家には義兄弟夫婦も同居し、奉公人の下男、そして、女中が暮らす。
義父の情婦になりながら、園丁の下男に想いを寄せる。
また、思いの寄せ方の鬱屈したこと。色情狂いとも違い、嫉妬と狂気と自傷...愛するが故に最期は鍬で頭をカチ割り、殺めてしまう。
昭和25年の作品。
生きるとは。そんな哲学を求めた時代なんでしょうな。インテリ派とかいう。
情報化社会の現代では、全く相容れない一冊でした。