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一語で思いを表すなんて機会は滅多にないが、語彙豊かな人のそれにはやや多く訪れる

人々よ。

美学や文学や政治学は、それ自体が知性と好奇心を刺激する。そこに敷居の高さが伴いやすいのは、素養を問うことの排他性ゆえだろう。

高踏的な臭みを消し、魅力の核心を伝える語り手がいれば、それは娯楽小説の素材としても輝き得る。
そんな語り手が門井慶喜氏。

本書に良い一節があったので、引いてみる。

「およそ私たちの人生には、たった一語ですっかり思いのたけを表すなんて胸のすく機会はめったにないけれど、語彙の豊かな人のそれにはやや多く訪れる。」

そうありたいものですな。

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