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<年始特別企画!相続について語るnote vol.3>ケーススタディ!相続と生命保険

こんにちは!一般社団法人オフィスkiyoharuです。

「相続」について考える年始特別企画。最終回である第3回はこれまでの内容を具体的な例に落とし込んで考えてみたいと思います。

※この記事は、山梨県北杜市・韮崎市で配布されているフリーペーパー「なないろ」の連載記事を元に、より詳しく解説したものです。
なないろの紙面ではスペースの都合上解説ができなかった内容もじっくりご紹介していきます!

第1回記事はこちら
第2回記事はこちら

前提条件

<質問者>
これから遺言書を作成しようと考えている人(遺言者)
<相続人・財産等の条件>
・遺言者の相続人は、妻・長男・長女の3名です。
・遺言者の相続財産は自宅不動産2,000万円と預貯金3,000万円です。
・遺言者に係る債務及び遺言者からの生前贈与財産はないものとします。

Q1.自宅不動産と預貯金の相続割合や遺言の内容に問題はないですか?

自宅不動産は同居している妻に、預貯金は相続人で均等に分けたいので、「妻に自宅不動産2,000万円を、妻と長男と長女にそれぞれ預貯金1,000万円を相続させる」という遺言内容にしようと思います。
遺留分や相続税などの取り扱いはどうなりますか?

A1.遺留分については問題ありませんが、相続税の申告・納付義務が発生します。

①遺留分の確認
遺言者の相続財産の合計額は、5,000万円(自宅不動産2,000万円+預貯金3,000万円)になります。

・妻の遺留分
 相続する財産3,000万円(自宅不動産2,000万円+預貯金1,000万円 )
 >5,000万円×遺留分1/4=1,250万円
・長男の遺留分
 相続する預貯金1,000万円
 >5,000万円×遺留分1/4×長男分の按分1/2=625万円
・長女の遺留分
 相続する預貯金1,000万円
 >5,000万円×遺留分1/4×長女分の按分1/2=625万円

遺留分以上の相続財産を各相続人に相続させているため、遺留分については問題ありません。

Q1での遺留分の考え方(なないろ紙面より転載)

②相続税の確認
第2回記事のQ1で解説した、相続税の課税価格の考え方に当てはめてみましょう。

(a)遺言者の課税価格の合計額
 5,000万円(自宅不動産2,000万円+預貯金3,000万円)
(b)遺産に係る基礎控除額
 3,000円+600万円×法定相続人の数3人=4,200万円

(a)>(b)のため、相続税の申告・納付義務が発生します。


Q2.相続税の申告・納付義務が発生しないようにできますか?

A2.生命保険への加入により、相続税の申告・納付義務が発生しないようにすることができます。

例えば、保険金受取人を各相続人とする一時払い終身保険に500万円ずつ(合計1,500万円)加入し、遺言内容を「妻に自宅不動産2,000万円を、妻と長男と長女にそれぞれ預貯金500万円を相続させる 」とすれば、相続税の申告・納付義務が発生しなくなります。

①遺留分の確認
預貯金1,500万円は一時払い終身保険の保険料に充当するため、 遺言者の相続財産の合計額は、3,500万円(自宅不動産2,000万円+預貯金1,500万円)になります。

・妻の遺留分
 相続する財産2,500万円(自宅不動産2,000万円+預貯金500万円 )
 >3,500万円×遺留分1/4=875万円
・長男の遺留分
 相続する預貯金500万円
 >3,500万円×遺留分1/4×長男分の按分1/2=437.5万円
・長女の遺留分
 相続する預貯金500万円
 >5,000万円×遺留分1/4×長女分の按分1/2=437.5万円

遺留分以上の相続財産を各相続人に相続させているため、遺留分については問題ありません。

Q2での遺留分の考え方(なないろ紙面より転載)

②相続税の確認
(a)遺言者の課税価格の合計額(自宅不動産2,000万円+預貯金1,500万円)+生命保険金(死亡保険金1,500万円)-生命保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数3人)=3,500万円
(b)遺産に係る基礎控除額
 3,000円+600万円×法定相続人の数3人=4,200万円

(a)<(b)のため、相続税の申告・納付義務はありません。

③各相続人が相続等する財産及び金額
・妻 自宅不動産2,000万円+預貯金500万円 +生命保険金(死亡保険金)500万円=3,000万円
・長男 預貯金500万円+生命保険金(死亡保険金)500万円=1,000万円
・長女 預貯金500万円+生命保険金(死亡保険金)500万円=1,000万円

一時払い終身保険に加入すれば、相続税の申告・納付義務はなく、かつ、Q1の遺言内容と同様の財産を残すことができます。


Q3.財産を均等に分ける場合以外でも、遺留分や相続税対策ができますか?

長男には将来的に妻の面倒や近所付き合い、それからお墓の管理などもしてもらいたいので、長女よりも財産を多く相続させたいと考えました。
遺留分に抵触せず、かつ、相続税の申告・納付義務が発生しない方法はありますか?

A3.保険金受取人の設定と不動産・預貯金の相続割合を工夫することで可能となります。

例えば、保険金受取人を妻とする一時払い終身保険に500万円、保険金受取人を長男とする一時払い終身保険に1,000万円加入し、遺言内容を「妻に自宅不動産2,000万円を、妻と長男と長女にそれぞれ預貯金500万円を相続させる 」とするのはいかがでしょうか。

①遺留分の確認
遺留分の金額及び考え方は、Q2と同様になります。
預貯金1,500万円は一時払い終身保険の保険料に充当するため、 遺言者の相続財産の合計額は、3,500万円(自宅不動産2,000万円+預貯金1,500万円)になります。

・妻の遺留分
 相続する財産2,500万円(自宅不動産2,000万円+預貯金500万円 )
 >3,500万円×遺留分1/4=875万円
・長男の遺留分
 相続する預貯金500万円
 >3,500万円×遺留分1/4×長男分の按分1/2=437.5万円
・長女の遺留分
 相続する預貯金500万円
 >5,000万円×遺留分1/4×長女分の按分1/2=437.5万円

遺留分以上の相続財産を各相続人に相続させているため、遺留分については問題ありません。

②相続税の確認
(a)遺言者の課税価格の合計額(自宅不動産2,000万円+預貯金1,500万円)+生命保険金(死亡保険金1,500万円)-生命保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数3人)=3,500万円

(b)遺産に係る基礎控除額
3,000円+600万円×法定相続人の数3人=4,200万円

(a)<(b)のため、相続税の申告・納付義務はありません。

③各相続人が相続等する財産及び金額
・妻 自宅不動産2,000万円+預貯金500万円 +生命保険金(死亡保険金)500万円=3,000万円
・長男 預貯金500万円+生命保険金(死亡保険金)1,000万円=1,500万円
・長女 預貯金500万円

一時払い終身保険に加入すれば、相続税の申告・納付義務はなく、かつ、遺言者の想いを反映させることが可能となります。



<監修>弁護士 永淵智税理士 鈴木博之
※本記事は2023年2月17日時点の法令等に基づいて執筆しています。

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