カブトムシ採りから学ぶ”マズローの欲求5段階説”
20年前に書いた文書が出てきました。
懐かしくもあり、少し笑ってしまう部分もあり・・・登場する息子はもう24歳。
楽しんで読んでいただけたらと思います!
ある夏の日の夕方、小学校2年生になる子供とカブトムシを採りに行きました。
虫除けスプレーをかけまくって、暗い藪の中へ突入です。30分位経つと子供が「メガネが無い・・・」と声をうわずらせて言い出しました。
薄暗い林の中でサングラスをかけて遊んでいたら、どうも本物のメガネを落としてしまったというのです。
辺りは、「薄暗い」から「真っ暗」へと段々変わりつつあります。
2人は必死でメガネを探しました。「お腹が空いて、もう探せない。」、彼は情けないことを言い出して、親父に叱られました。
そのうち、風が木を揺らす音が大きくなりました。
そして、気のせいかゴロゴロという雷に似た音まで聞こえ出しました。
彼は親父の手をぎゅっと握り、「怖い怖い」と泣き出します。
1時間位経ったでしょうか、やっと草の中に鈍く光る探し物を発見し、2人はカブトムシを採る以上に喜びました。
帰りの車の中で、彼から「お母さんには内緒ね、絶対言わないでね、すっげえ怒られるから。」と何度も念を押されました。
「マズローの欲求5段階説」というのを皆様はご存知でしょうか。
マズローというアメリカの心理学者は、「人間の欲求は5段階のピラミッド型になっていて、底辺の部分から1つずつ上がっていき、最後は自己実現に至る」と説明しました。
更に三角形の底辺に近いほど、その欲求は根源的に強いといいます。
私の息子は、カブトムシを採るという自己実現目指して、藪の中へ入りました。
ところが、メガネを失くすというアクシデントに見舞われたわけです。
探す最中にお腹が減ったのは、「生理欲求」が満たされない状況になったわけです。
さらに、暗い森の中で怖い思いをしたのは、「安全欲求」が満たされなくなったのです。
マズローによると、下位の欲求が満たされない状況では、自己実現(「カブトムシを採る」)は不可能だというのです。
確かに我々は,その時、カブトムシどころではありませんでした。
メガネが見つかって、ほっと一安心して車に乗った時に、「お母さんには内緒発言」が出ました。
生理的欲求、安全欲求を満たした彼は、帰属欲求へと移っていきました。これは、自分は受け入れてもらいたい、何かに帰属していたいといった欲求です。
また、数日後、この親子は夜の森へと向かっていきました。
彼は「よーし、今日はノコギリクワガタをゲットするぜ!」と意気揚々です。
これは、「尊敬欲求」です。
ノコギリクワガタを捕まえてみんなに自慢したい、つまりは尊敬されたいという気持ちなのです。
この日は願いがかないませんでしたが、帰りの車の中で「よし、お父さん、また今度採りに来ようね。
絶対、ノコギリを捕まえてやる。」と「自己実現」へと気持ちが向かっていました。
皆様の職場をチェックしてみては、如何でしょう。
残業、残業で睡眠も十分ではない状況は、1番下の「生理欲求」になっているかもしれません。
営業成績が悪く、歩合給が少なくなってしまっている状況は下から2番目の「安全欲求」のレベルかもしれません。
仲間から外れてしまっている人は、「帰属欲求」レベルなのでは?がんばっているのに、ぜんぜん評価されてないのは、「尊敬欲求」レベルにいるのでしょう。
仲間や上司のちょっとした一言が、実は他者のレベルアップの大きな後押しになることを意識しながら働くと、いつもと同じ職場が、「自己実現」を目指すそれぞれの社員の協働の場に見えてはこないでしょうか?