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ローカリズムツアー VOL.2 ~弘前市・五所川原市編~

OF HOTELスタッフがローカルの魅力を探訪するべく、地域プレイヤーのもとへと足を運ぶ「ローカリズムツアー」第2弾。今回もGMの津志田が伺いました。

訪問したのは青森県の弘前市と五所川原市。青森市内にはプライベートで何度か足を運んでいるのですが、弘前市と五所川原市には初めての訪問です。

数年前に真冬に初めて青森に訪れた際、乗客が私だけの路線バスの車内で、車掌さんに「降りるバス停はどこ?疲れてるだろうから着いたら起こしてあげるよ」と声をかけてもらったことが今でも忘れられず、それ以来、青森の大ファンを自称しております。人の温かさが身に染みた体験でした。

朝7時に仙台を出発し、行きは4時間半ほどのバスの旅。新幹線での移動も快適ですが、徐々に景色が移り変わっていくのも、バス移動ならではの醍醐味だと思っています。それにしても、東北は広い…

弘前駅正面

1日目は弘前市内にあるゲストハウス「HIROSAKI ORANDO」さんへおじゃまします。名前の「おらんど」とは津軽のことばで「わたしたち」の意味。この場所に集う一人ひとりがやりたいことを形にできるよう、始まりを応援する実験場でありたいという想いから名づけられたそうです。その名の通り、施設内の1階にはカフェバー、2階には宿泊施設が併設しており、訪れた人たちが気軽に交流できる空間となっています。

弘前は城下町としても知られ、間口が狭く縦に広い建物が多いそう。昭和53年築の建物をリノベーションした施設内にもその名残が感じられ、カフェスペースの奥には、縦長の造りを活かした広々としたギャラリースペースもありました。

「弘前シードルあるはんで。」

お話をお伺いしたのは、1階のカフェバーで週3日カフェ営業をされている「cidre&café POMME/MARCHÉ」さん。スタッフの中山さんが温かく迎えてくださいます。「弘前シードルあるはんで。」のメッセージとともに、オリジナルのシードルをはじめ、ストロベリーとレモンの甘酸っぱい風味がクセになる岩手産のシードル、ウィスキー樽で熟成されたリッチな味わいのイギリス産のシードルなど、さまざまな種類のシードルを愉しむことができます。

まずは、おすすめの「cidre&café POMME/MARCHÉ」さんオリジナルのシードルをいただきます。ジョナゴールドと高徳という品種のりんごと、受粉用りんごのメイポールを組み合わせて造られたこちらのシードルは、ほんのりとした甘みと酸味のバランスが絶妙な一品です。シードルの本場フランスではボウルで飲む風習があるそうですが、「津軽焼きでシードルを飲む文化を弘前から流行らせたい」という中山さんの想いから、津軽焼きの湯呑みでシードルを愉しむことができます。おいしさもひとしおです。

津軽焼きの湯呑でいただくシードル

フードメニューには弘前のご当地フード「いがめんち」もあり、揚げたてをいただくことができます。そしてこれがシードルに合う…。お昼過ぎにお伺いしたのですが、シードルだとなんだか罪悪感がない気がしてしまい、気づいたら(ということにしておきます)4杯目をいただいておりました。

名物「いがめんち」とこだわりのフライドポテト

2階のゲストハウスも少し見学をさせていただきました。入るとまず目に入るのが、左右にずらりと積み上げられたりんご箱。こちらは男女共同のドミトリースペースとなっており、りんご箱で作られた特製の2段ベッドは、「スターキング」や「デリシャス」など、寝室スペースがりんごの名前で分けられています。スタッキング作業は八戸市の学生さんたちと共同で行われたそうで、ユニークで手づくり感がありながらも、りんご箱なので頑丈です。

りんごの名前がついています

スタッフのみなさんと弘前トークで盛り上がっていたら、あっという間にお店の閉店時間になってしまいました。1日ではまわりきれないくらい弘前のいいところ、たくさん教えていただきました。おすすめのアップルパイのお店の名前を忘れないよう頭のなかで繰り返しながら、ほろ酔いで帰ります。弘前と仙台が徒歩15分くらいの距離だったらいいのに…

翌朝は「虹のマート」にもいきました


2日目は五所川原市の「モホドリ蒸溜研究所」さんを訪問します。弘前駅から五所川原駅までは電車で移動です。電車がくるまでのあいだ、駅に向かう途中に購入したアップルパイを食べながらホームで待ちます。お土産用のつもりでしたが、アップルパイの引力には勝てません。余談ですが、弘前駅の観光案内所には「アップルパイガイドマップ」というフリーペーパーがあるのですが、お金を取っていいのでは?と思うくらいの情報量です。

アップルパイガイドマップ

弘前駅を出発する頃は五所川原は雨模様だったようで、「雨が降っていたらお迎えに行きますよ」と蒸留所の方にお気遣いいただきました。みなさん優しい…。ちょうど雨が弱まったタイミングで到着することができ、駅から徒歩5分ほど市街地の中心部に向かって進むと、蒸溜所のある白い建物がみえてきます。

ロゴにもフクロウが

「モホドリ蒸溜研究所」さんは、五所川原市で県産のりんごを原料としたブランデーを製造・販売しており、施設内には蒸溜の工場とショップが併設しています。「モホドリ」とは津軽弁で「フクロウ」の意味。古くから「フクロウ」はりんご畑を獣害からの守る存在とされており、「津軽のりんご農家を守るフクロウのような存在でありたい」という想いから名前をつけられたそうです。

蒸溜工場内の様子

建物のなかに入ると、広々としたショップスペースとカフェスペースがあり、ガラス越しに工場内がみえるようになっています。まず目を引くのが大きな蒸溜釜。こちらはドイツ製の特注品で、りんごを手加工することなく、余すことなく蒸溜ができるのだそう(1200ℓの原料を蒸溜できるとのこと)。また、工場内を見学できるガラス沿いにはカフェテーブルが設けられており、作業の様子をみながらブランデーを愉しむこともできます。工場横には熟成スペースもあり、ほんのりブランデーの香りがします。間近で蒸溜の様子をみることがないので、思わず見入ってしまいます。

ショップスペース

カフェのドリンクカウンターではブランデーの試飲をすることもできます。蒸溜所スタッフの山口さんにおすすめの飲み方を教わりながら、4種類のブランデーをいただきました。どのブランデーもとにかく飲みやすい…。そして果実の香りがとてもフレッシュで驚きます。度数はありながらも、ストレートで飲むと果実感がしっかり感じられ、炭酸で割るとより爽やかで甘い香りが広がります(自宅ではトニックウォーターでも割ってみました)。4種類のなかで私のお気に入りは、樽熟成された琥珀色の「EARLY BIRD」。りんごの香りのあとに広がる樽香がとても心地よく、これはロックでちびちび飲みたい…

「EARLY BIRD」は右から2番目

青森県のお祭りといえば「ねぶた」ですが、五所川原市では「たちねぷた」が開催されています。蒸溜所の建物の前には人形灯籠の製作所があり、市街地を練り歩く様子が屋上から毎年みられるそう。ブランデーを飲みながらお祭りを鑑賞できるなんて、最高です。今度はお祭りの時期に合わせて行こうと、赤ら顔で決心した次第です。

目の前にある立佞武多の館。ここの道路を練り歩くそう。

初めての弘前市・五所川原市訪問でしたが、今回もとても印象に残るツアーとなりました。訪問に快く応じてくださったみなさまには、改めて感謝を申し上げます。10月中旬頃の訪問でしたが、青森はもうすっかり寒くなっていますでしょうか…。

東北に住んでいると、冬になるにつれて遠方の友人を呼ぶことをためらってしまいがちなのですが、そんな時こそ東北の人の温かさに触れて欲しいなとも思うのです。寒さを知っている分、温かくなる術も知っています。もちろんそれは物理的な話だけではなく、心で感じる部分でも。

前回の横手市の記事でも綴っていましたが、旅の思い出って、出会った人たちとのふれあいから得られるものが大きいなと感じています。最初に述べたバスの車掌さんとのエピソードも、今回お会いした方々の優しさも、私にとって「また旅をしたいな」と思うきっかけのひとつとなっています。ホテルも冬は閑散期に入りますが、ご来館のみなさまにとって、OF HOTELでの滞在が「また東北に行きたいな」と思ってもらえるきっかけになれば嬉しいです。

次回のツアーも、どんな出会いがあるのか楽しみです。
(あとは、飲んでばかりの人と思われていないか若干心配です…)


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【今回訪れた場所】

・HIROSAKI ORANDO
https://www.hirosakiorando.com/

・cidre&café POMME/MARCHÉ
https://pommemarchehirosaki.com/

・モホドリ蒸溜研究所
https://www.mohodori.com/


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