プロフ学園SNS

8年前に閉鎖したSNS、僕はそこの王様だった。

管理人が大学生の頃に作った利用者は500人ぐらいしかいない、小さい小さい王国
今は懐かしい前略プロフィールという掲示板で見かけたURLを踏んだのが始まりだった
2009年にそこを見つけて、閉鎖される2014年までの5年間を自分はそこで過ごした。

家庭環境で悩んでた自分が、一番落ち着く場所がプロ学で、いつもみんな優しく接してくれて毎日が楽しかった
「今日は学校で○○があった」「最近の趣味は○○で〜」日常であったことを真っ先に報告していて、いつのまにか毎日入り浸っていた自分がみんなの輪の中心になっていた
僕が何かを言えばみんな反応してくれる、笑ってくれる、誰かが喧嘩をしていても自分が「やめろ」と言えばお互いに仲直りをする
間違いなくあの時間は王様だった。

身の丈に合わない力は、暴走させてしまうと相場が決まっていて
例に漏れず自分も発言力に酔いしれていた。

陽キャと言われる部類の新規ユーザーが、僕の古い友人たちを虐げたのが始まりだったと思う
今まで身内感で楽しくやっていた僕たちの中に、大学生の友達同士数名がなだれ込んできて空気を塗り替えた
ここにしか居場所がない僕たちに「嫌なら出て行け」と平気で言う奴らだった
正面切って彼らと対立した自分だったが、やはり揉め事があると空気が悪くなってしまう
ひとり、またひとりと友人たちがプロ学から去って行った
友人がいなくなるたびにヒートアップする自分、もう周りは見えてなかった
楽しかった空間にとどめを刺したのは他でもない自分だった。

そうして、閉鎖までの最後の半年ぐらいは居心地が悪くただの傍観者でいた
自分がいない世界でも、残ったみんなは意外と仲良くやっていて、そこで自分の傲慢さと過ちに気が付いた。

長いプロ学生活の中で、自ら終わりを選んだ友人が三人いる
最期だからと名前をこっそり教えてくれた彼が数日後にニュースに出ていた気持ちは誰に伝わろうか

余命宣告をされていて毎日泣いて過ごしていた彼女が、3ヶ月後にピタリと姿を表さなくなった空虚さはどこにぶつければよかったのか

白猫もたんたんも三丼もツナ缶も清水も煽りんごも野良犬も只野もあっちの木も弱も山さんもぱいおつもR氏も友華も奥田もロリ助もぐうたらも
のぢから、アメブロから、前略から…色々なところから集まって存在したプロ学
あの時代を過ごせてよかった
あそこでたくさんの友人ができた
今じゃ名前も思い出せない友達も少なくはないけれど、共に過ごしたことは忘れない
3.11の後に姿が見えなくなった彼ら、自ら命を絶ったあいつ、病気で亡くなった彼女
小さなSNSだからこそ、色んな人の色んな人生に触れられて楽しかった
僕の人生一番の思い出を語るなら間違いなくプロ学だろう

今日は画面の向こうの名前も知らない友人が100人以上居なくなった日
きっとケータイが壊れただけだよね、ログインできなくなっただけ
今日という日が来るたびにそう自分に言い聞かせる

覚えてるか？俺の名前はGUNTANK
TANKさんとか、たんくんとか、GUNちゃんとか、色々と呼んでくれたよな
お前らのおかげで俺も来年で30歳になるぞ
プロ学のURLも去年から、別のサイトになってしまったよ
みんなが俺のことを忘れても、俺は死ぬまで覚えてるぞ
今日の今日まで生き延びてるのは間違いなくプロ学民のみんなのおかげだから