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【5日間コース】実務補習を終えて

こんにちは おーえだです。

今回は、2020年2月に実施された実務補習に参加したので、そこで感じたこと、役に立ったことを書いていきます。

【実務補習、実務従事概要】

2次試験を合格してもすぐに「中小企業診断士」を名乗れるわけではありません。3年以内に①実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事すること(いわゆる②実務従事)により、中小企業診断士としての登録を行い、晴れて中小企業診断士を名乗れます。実務補習と実務従事を組み合わせ、実務補習5日、実務従事10日でも大丈夫です。

①実務補習
中小企業診断士協会が主催し、2月(5日間コース、15日間コース)、7月、8月、9月(5日間コースのみ)に実施されます。参加費は5万円、5名から6名ほどの実務補習生プラス実際に診断士として活動されている指導員の先生と中小企業を訪問し、提案書を作成、社長にプレゼンを行います。
メリットは、中小企業診断士協会が主催していますので、比較的、質の高い内容になります。(指導員の先生によりますので、運の要素もありますが、ある程度経験のある指導員の先生が多いとのことです。)
デメリットは、日程調整が難しい点です。私が参加した5日間コースでは、3日間が平日でしたので、必ず有給を取る必要がありました。15日間ともなると、6日間が平日で、2ヶ月に渡って計画的に休みを取得する必要があります。
あとは、お金です。5日で5万円、15日で15万円、お金が飛んで行きます。

②実務従事
⑴企業、団体が主催している実務従事に参加する⑵個人の繋がりで会社に実務従事をさせてもらうの2通りのものがあります。

⑴企業、団体が主催している実務従事に参加する
こちらも実務補習同様、実際の中小企業に診断に伺います。
メリットは、スケジュールです。
基本的に、土曜、日曜日に開催しているところがほとんどですので、平日に休みを取れない方には非常にありがたいと思います。
デメリットは、費用と質です。
費用については、私の知る限り、実務補習と同様5万円でしたので、実務補習と同額です。質については、指導員になるハードルが実務補習ほど高くないと思われ、実務補習と同様、結局、どのような指導員の方につくのかは運次第とは言え、実務補習以上にその運要素が強いと思います。
主催している企業、団体により、提供している条件は異なりますので、一概には言えませんが、休みが取れなかったり、必ず参加したかったが、実務補習の枠が既に満席であった等スケジュールの都合以外でわざわざこの方法を選択する必要はないと思います。

⑵個人の繋がりで会社に実務従事をさせてもらう
こちらは、個人の繋がりで実際の中小企業へ診断を行ったり、本業の業務の延長線で企業を診断します。
メリットは、費用です。
他の方法では、だいたい15日で15万円ほどかかりますが、この方法では無料のケースが多いのではないでしょうか。特に、本業で中小企業のコンサルをされている方は、申請で認められれば、特段の費用なしで15日の要件を満たせますので非常にお得かと思います。
デメリットは、質というか全体的な内容です。
どなたかの下につき従事する場合はこの限りではありませんが、指導員がいませんので、スケジュール、成果物等、自らで管理しなければなりません。基準となるものがありませんから、実務従事が有意義なものになるかどうかを誰も担保してくれません。

【参加までの流れ】

口述試験はまず落ちないとのことですので、口述試験後、実務補習のことを調べ、15日間をどういう内訳で消化するのかをまず考えました。これは直ぐにやるべきです。
理由は、2月の5日間コースの申し込みは合格発表後直ぐに一杯になる可能性があるからで、合格者の人数が地域で偏っている東京、大阪の5日間コースで顕著とのことです。
口述試験後、内訳を考え、15日間コースでできるだけ早く登録ができるようにしようかとも考えたのですが、15万円の費用とスケジュールがネックになりました。
ネットの様々な記事で5万円をかけてでも、1度は実務補習を受けた方がいいという方が大半だったので、2月の5日間には必ず実務補習に参加し、その後、夏で実務補習を受けるなり、実務従事に参加するなり考えようと思いました。
12月25日の合格発表後、直ぐにネットで2月の実務補習の予約を無事確保しましたが、大阪、東京の5日間コースは直ぐに埋まりました。特に、大阪は定員に対し、多くの合格者がいたため早期に定員に達し、結局、追加で3月に開催されるコースが用意されました。
振込もの期限も直ぐにやってくるので、忘れずに振り込みましょう。

【実務補習情報】

守秘義務があるため、実際の実務補習の内容について詳細に書くことはできませんが、感想といくつか役立つ情報を提供できればと思います。

日程について
5日間コースでも非常にタイトです。
特に、個人作業をする時間を確保することが非常に難しいのではないかと思います。基本的に、集まった際はチーム作業がメインですので、個人作業は補習の5日以外でしなければならず、実質1週間だけです。土日で作業を終わらせることができればいいですが、そこで終わらなければ、平日に作業をしなければなりません。業務量の調節が可能で、定時に上がれたとしても、本業を終わらせてから、さらに頭を働かせなくてはならないというのは、想定以上にしんどいです。通常の試験勉強のように、問題があり、解答があるわけでもなく、自ら仮説を立て、それを証明していく作業です。そもそも所要時間が読みづらく、想定以上に時間がかかり、またいつもと違う脳を使い疲れました。終わりがなく、本当にこれでいいのかと自問自答を繰り返し、本当に寝ても覚めても隙あらば担当企業のことを考えるようになっていました。今回は、祝日が1日ありましたので、まだ余裕を持って作業ができたと思われますが、当の本人としては、それでも足りなかったと思っています。言わずもがな、前半でスケジュールに余裕を持たせられなければ、最後の方で非常に苦労します。

持ち物について
基本的に①MicrosoftのWord、PowerPointができる②ノートPCがあれば大丈夫ですが、逆にこれは必需品になります。
①MicrosoftのWord、PowerPointができる
提案書を作成する際は、Wordが必須で、プレゼンの際に必要であればPowerPointが必要になります。この点、標準で搭載されていないMac所有の方が困ると思います。Pagesで書き出し、Wordで編集することも可能だと思いますが、ファイルを統合する際、フォントが合わない等の不具合が発生し、余計な時間がかかる可能性が大きいので、Mac PCにWord、PowerPointを入れておくべきかと思います。私はパッケージを店頭で購入することも考えましたが、できるだけ費用を抑えたかったですし、今後のことを考え、サブスクリプション型のOffice365で対応しました。丁度、無料で30日間のお試しが可能でしたので、そちらに登録し、実務補習を乗り切りました。使い勝手もよく、次、Word、PowerPointを使用する機会があれば、本登録をしようと思います。
②ノートPC
こちらも必須条件です。個人で作業する場面はデスクトップでいいですが、チームで集まる時にノートPCを持参しないと圧倒的に作業効率が低下します。チームで作業をする以上、何かしらの修正が発生し、その場で修正することが必須です。また、報告書の出力前になると、制限時間が迫る中、皆で誤字脱字等がないか必死で探しますので、その際に一人だけ作業ができないとなると班員に多大な迷惑をかけます。大きな出費になりますが、今後活動して行く中で必ず必要になりますので、先行投資と考え、お持ちでない方は、申し込み後すぐにどのノートPCを購入するかの検討に入りましょう。私はMacbook Airを使用していますが、上記のOffice365を入れれば、問題なく作業することができました。

ポケットWifi
こちらは過去に実務補習をされた方のブログ等で拝見し、レンタルし持参をしましたが、必須ではありませんでした。協会に用意していただいた会議室でWifiを繋ぐことがここ数年でできるようになったとのことで、特になくても不便しないと思います。ただ、Wifiが混雑し、繋がりにくくなることが多く、あると重宝されると思います。実際、私は重宝されました。また、時間が足りず、どこかのカフェや居酒屋で作業される場合はあると便利ですが、まずはそのようにならないよう、余裕を持って提案書を作成すべきかと思います。

その他アプリ
SlackやDropboxをインストールしましたが、始まってからで問題ないと思います。

【実務補習の感想】

まず、実務補習は受けてよかったですし、他の先輩方の意見同様、必ず5日は受けることをお勧めします。①コンサルティング体験
まずは何より、実際の中小企業に赴き、コンサルティングできる機会が貴重であり、特に、現職でコンサルティングを経験されていない方は非常に刺激的だと思います。
実際に中小企業に赴いて改めて思いますが、そこには試験問題のような仮想の経営者ではなく、従業員の生活を背負いながら、何とか生き残り、会社を発展させる為、社会を変える為に一生懸命経営されている社長がいらっしゃり、また、そこで働く従業員がいらっしゃいます。目の前に「リアルな会社」があり、そこで働く方々を前に、貴重な時間をいただき提案をするわけですから中途半端なものでいい訳がありません。本業と違う脳をフル回転させ、正解、終わりがないながらも徹底的に質にこだわり続ける、これは実際に見習いながらも診断士として中小企業に関わらないと得ることができない経験だと思います。正直しんどかったですが、非常に貴重な経験をさせていただきました。

②指導員の先生の指導
現役の先生からのアドバイスは貴重です。常に中小企業への施策として適切か、つまりお金をかけず、最小限の労力で導入が可能で、かつ可能な限り大きな効果が得られるか、その視点からアドバイスいただけます。非常に大きな制約がかかる中でコンサルをしなければならない経験は、現在、コンサルタントとして働かれる方々にも貴重な経験になるのではないかと思います。
また、独立診断士の生の声を聞ける機会も貴重です。少なくとも1回は飲み会があると思うので、疑問点をぶつけると、後輩からの質問として快く回答していただけると思います。独立したいと考えている方にとっては貴重な機会であり、飲み会で生々しい現場の面白い話が聞けるかもしれません。

③様々な業界、年齢の方とからの刺激
同じ志を持った様々な年代の様々な業界の方とご一緒できたことは非常にいい経験だったと思います。私は独学で試験で臨みましたので、横のつながりが皆無でした。試験合格をした方と初めてお話しをし、お仕事をする業界特有であったり、年齢特有の悩みを聞くことができ、班内で最年少であったこともあり、キャリアだけでなくプライベート含め、まさに人生を考えるきっかけになりました。私のチームでは皆さん会社員でいらしたのですが、部下を持ち、本業でバリバリやりながら業務の合間に時間を作ったり、子育てと資格取得を両立したり、他の専門的な資格を持っていたりと皆さん物凄く努力されている印象を受けました。会社には様々な方々がおり、特段の目標もなく日々目の前の業務をこなすだけの方もいます。そのこと自体を否定するつもりはなく、会社がそれを是としており、本人も納得していれば何ら問題はないと思いますが、私個人としてはどうしても物足りませんでした。しっかりと目標を設定し、努力をした方々と一つの目標に向かって作業をすることで大きな刺激を受け、身が引き締まりました。こちらも、飲み会でこそ貴重なお話を聞けたりしました。

【残りの10日について】

さて、これまで実務補習をべた褒めしてきてなんですが、恐らく、今後実務補習を受けて1回、基本的には実務補習は受けない方向で進めると思います。理由は、費用対効果です。1回受けることは間違いなくいい経験になると思いますが、1回5万円必要な実習を複数回受ける価値がなかなか見出せないというのが現在の気持ちです。もちろん、次回以降、業種の違う企業を訪問し、違った社長へ、違った指導員の方の元、違った役割で提案を行うと思いますが、基本的な流れは大きく変わらないと思います。指導員の先生、他の実習生とのつながりが広がることは大きいと思うのですが、しばらくは企業内診断士、もしくは休止を考えている私にとって追加で5万円、10万円を支払って参加することは費用対効果として如何なものかと迷っています。後1回受ける可能性はありますが、2回は受けないと思います。

【受けてみて今思うこと】

正直、受ける前と受けたあとで、今後の方向性が大きく変わりました。

①「コンサルティング」は厳しい
直ぐに独立診断士になるつもりはなく、企業内診断士として副業がてら、コンサルティングができ何かしら本業に生かせればいいなという軽い考えを持っていたのですが、そもそも企業の中に入っていわゆる「コンサル」ができる可能性が非常に低いのではないかと考え、自らの甘さを痛感しました。誤解を恐れずいうと、中小企業の社長はそれほど「コンサルティング」を必要としていないのではないかと思います。会社が比較的小さいが故に、会社全体のことは隅々ではないにしろ全体を把握されており、「自ら」手を入れることも可能なのが中小企業です。社長も会社の課題を把握しており、把握していてもリソースの問題でできない、それをいかに実行するのかが中小企業の課題であり、課題が見えないことは少ないのではないでしょうか。そのような状況にわざわざお金のかかる診断士を外から連れてくる、ましてや本業ではなく、副業でやるような人物を入れて、どれほど効果があるのか。そのような課題の発見、解決策の提示ではなく、あくまでも、社長自らではできないような、例えば、補助金の獲得の手助けであったり、融資を受ける際の事業計画の書き方、そう行った課題に対する具体的で即効性のあるソリューションがまず第一に診断士に求められると思います。広く浅くとは言っていますが、結局第一に求められるものは、ほかの仕業同様、専門性だと思います。もちろん、専門性を磨いた先に、社長と二人三脚で経営のお手伝いをしていくことも想定され、その専門性を伸ばすことが診断士としての第一の目標だと思います。ただ、現在、私はアラサーであり、人生、キャリアの大事な局面であると思っています。本業、転職で活かせるかわからない、中小企業診断士としての独特の専門性を磨くことの優先順位が相対的に低くなっています。セミナー等副業としての活動も同様であり、副業よりも本業にしっかりと力を入れて行きたいと考えているため、少し診断士としての活動は傍においておこうと思います。

②当事者への憧れ
これは診断士といて活動しなければ得れなかった感想だと思いますが、リスクを取れる環境、当事者であることに非常に価値を感じました。どれほど自らが大事と感じていることを提案しても、実行するしないは、事業者の判断次第です。実習先の社長を非難するわけではなく、事業を動かすのは当事者であるという本当に当たり前のことを実感しました。昨今、実行フェーズまで行うコンサルティング会社もありますし、そこまでカバーされる診断士の方々もいらっしゃると思うのですが、概して「コンサルタント」は「コンサルタント」だと日々の業務を行っていて感じます。
会社が大きくなると、機能が細分化され、全体感が見えないと言いますし、実際にそう感じますが、それでも自らの担当分野で、何かを変えていけることは非常に大事なことだと再認識し、本業に魅力を感じてきました。
また、自らプロダクトやサービスを生み出し、社会に何かしらの変化を与える人はとても魅力的だと感じ、コンサルタントよりもそちらの世界を少しみてみたいと思いました。
とはいえ、いきなり起業をできるようなアイデアもないので、まずは、自らの手で何かを生み出せるようになりたいと思い、趣味の範囲ですが、プログラミングに手を出しています。サービスについても、現在の自分にできることを模索する日々です。


まとめると、一度、診断士から離れ、本業のキャリアアップと趣味のプログラミングを頑張っていこうというのが、今の心境です。診断士も非常に魅力的な仕事であるということは実務補習を受けた経験から間違いはないです。ただ、今の自分にとってそちらを目指すタイミングではないと考えただけです。あくまで現時点での感想で、今後起こる出来事や会う方がに影響され、方向転換は必ずあると思いますが、当座はこの方向で行きたいかなと思っています。
また何かあれば、アップデートしたいと思います。


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