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開かれたアート体験

こんにちは。夏日が続きますね。いかがお過ごしでしょうか?
今日は、これまでの「アート×福祉」活動事例から、共有体験のための場づくりについて書いてみます。開かれているってどんなことでしょうか。後半有料となっておりますが、途中まででもどうぞご覧ください!

ちょうど一年前、私たちあしおとでつながろう!プロジェクト一同は、BankART STATIONというアートスペースで滞在創作していました。ここは美術関係者から小学生、親子連れまで、さまざまな方が集う場です。最終日の6/9には、創作した映像作品「Autistic Rhythm」を展示すると共に、"育て!メッセンジャー2019"「あしおとの輪」のプレイベントを開催しました。

交流点

横浜で地域の人とアートの交流点を生み出し続けているBakART 1929の恒例企画であるBankART AiR(アーティスト イン レジデンス) は、選抜された20組ほどのアーティストが2ヶ月にわたり同じスタジオに入居し創作、最終週にはオープンスタジオとして会場が一般公開されます。美術家、舞踊家、映像作家、さまざまなアーティストが交流しながら創作を重ねる中に、2015年に続き2019年にもあしおとでつながろう!プロジェクトは選抜いただきました。今回特に良かったのは、近隣で働く障害のあるメンバーが期間中たびたびここを訪問、このアーティストのるつぼに何度も滞在したことでした。

映像を撮影する前に下見に来たり、仕事帰りに寄ってみたり、おどるなつこに会いにくるだけで、さまざまなアートに触れることになります。作家たちの創りかけのアート作品は、全くなんだかわかりません!そんなことを興味深げに眺めていたメンバーの顔が思い出されます。

撮影日には、同伴されてきたヘルパーさんやご家族も、興味津々に他の作家の作品を眺めていました。いざ、撮影が始まると、今度は創作を中断して、入居アーティストたちがその様子を見学にきてくれます。「なんてハッピーなの!涙が出る!」とご感想をいただいたり、こうやって相互に創作過程を共有できることがこの滞在創作の醍醐味です。

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「Autistic Rhythm」
出演:あしおとでつながろう!プロジェクト 映像:稲垣晴夏 助成:ACY自閉症:autismの語源が自動:autoにある、という考察から、そもそもアートも“自動的におこる感覚や衝動から発展するもの”であるのに、なぜ一方は障害とみなされ発展のチャンスを得られないのか?
正確なリズム感など、感覚の多様性について考えるきっかけにしたく、メッセンジャーの協力を得て映像製作。出演メンバーは自閉症に限らず希望者全員収録しました。

イベントでの上映を重ねてきたこの映像は、ネット上では未公開です。シェアの準備が整いましたらまたお知らせいたします!

公開された場所で行う意義

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自主開催や閉じた学校イベントではなく、このようにオープンなイベントに参加することにはさまざまな意義があります。
例えば BankART STATION には、横浜市の職員の方々もたびたびいらっしゃられていましたし、近隣の小学生もクラスで見学にきています。アートを通したこのような交流の場は、ありそうでない場所で、自由に行動できる大人にとっても刺激的な体験ができる場所です。まして、行動に制限の多い障害のあるメンバーにとっては、とってもとっても面白い体験であったようです。
美術展示のオープンスタジオであったことから、メッセンジャーの親御さんたちも多くご参加くださいました。そんなここでの時間の共有が、この後に続いた宿泊旅公演へのご理解ご協力につながりました。
この1年間はメッセンジャーたちにとっては冒険の積み重ねとなりました。

場を開く

場を開いていくということは、実は、開催側にとってはリスクの高いことです。さまざまな層の人が自由に介入できるところでパフォーマンスを行うには、周りの人々との関係性や、時間設定など、細やかに積み重ねて行く必要があります。スタジオ全体で考えられて行くその段階に、メッセンジャーの姿が交じっていたことは、相互の学びとなったように思います。
閉じた場は安全ですが、新たな学びは生まれにくい。障害のある人の多くが、安全な場所の往復でよしとされがちなのですが、小さな冒険のチャンスは、誰にでも平等にあるといいな、と思います。先の記事に書いたように文化芸術基本法には明記されていますが、実際には芸術体験の機会はまだまだ均等ではないでしょう。

私たちのイベントは常に公開で開催しています。とはいっても、以前は知人の参加しかないことも多かったのですが、2019年度はこの6月のイベントを皮切りに、外部からの参加者がグッと増えた年でした。

外部参加を増やすコツ

私たちの長年の課題は、福祉的なイベントには一般からの参加が非常に少ないということでした。さまざまな属性の人が交じり合う場を作ることはなかなか難しい!公開するだけでなく、さまざまな人に開くには以下が大事なのだと思います。

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