くもりのち雨でも Day1 ~瀬戸内国際芸術祭2022(犬島)
ゴールデンウイークが終わったあと、4泊5日の連休をとって瀬戸内国際芸術祭に行ってきた。昔から行きたいなとは思ってはいたけど、旅費やパスポート代が結構かかるので、実際に行こうという気持ちには至っていなかった。ただ、有休を消化してしまわないといけないという大きな後押しがあったから、ちょっと行ってみることに。天気は生憎のくもりのち雨。優柔不断を表しているかのようではあったが、多くのアートに触れることで僕の心は普段よりすこしだけ晴れ渡っていた。その旅に関するちょっとした情報と、感じたことを備忘録的に書いておこうと思う。
旅の準備
・3シーズンパスポートを前売りで購入!! これは大正解だった。
3シーズンパスポート(春・夏・秋を通して利用可能)は現在、5000円で販売されている。いくつかの島を訪れるのであれば買った方がお得だと思う。特に犬島を訪れるのであれば、そこだけで2100円かかってしまう。一部、地中美術館や豊島美術館などパスポートを利用できない施設もあるけれど、屋外オブジェ以外の作品を鑑賞するなら手に入れておいた方がいい。
またすでに販売が終了しているので、もしも次回に行くということであれば前売りで買っておくと更にお得。だって、4000円だよっ!!1シーズン限定(春夏秋のどれか)のパスポートが4200円するのに。
・新幹線チケット購入、宿の予約(小豆島に2泊、高松に2泊)
・レンタカーの予約(小豆島を回るため予約しておいた。)
旅の日程
Day1 岡山駅 → 宝伝港 → 犬島 → 小豆島
Day2 小豆島内を観光
Day3 小豆島 → 高松 → 大島 → 高松
→ 丸亀(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館) → 高松
Day4 高松 → 坂出(沙弥島、与島)
Day5 高松 → 女木島 → 男木島 → 高松 → 岡山駅
※直島、豊島がやはりメインかもしれないが、すでに二つの島は会期時期以外に訪れたことがあったので、今回のスケジュールからは外した。もしもどちらも訪れたことがなければ、優先して行っていいと思う。僕の今回の選択は、この会期期間にしか見ることができないところに行こうだったから、こんな日程になってしまった。時間があったなら、直島や豊島にも当然また行きたい。
犬島への行き方、ちょっとした情報
・岡山駅から犬島までの移動方法
岡山駅→西大寺駅(JR赤穂線)
西大寺駅→宝伝港(両備バス。※芸術祭期間中のみ運行。スケジュールは
両備バスのHPを参照。因みに12時20分、西大寺駅発のバスで行けた。)
宝伝港→犬島(あけぼの丸)
・島に滞在してた時間:3時間20分
・チケットセンターの手前で手荷物を無料で預かってもらえる。
犬島精錬所美術館
※作品の説明になってしまう記載あり※
何の情報も持たず、写真でのみ見た煙突が立つ施設に期待を寄せて訪れた。犬島製錬所美術館という施設名からどんなものが見れるのか想像もできなかったけれど、すごくおもしろい場所だった。これはもうアーティストの方の才能だと思う。瀬戸芸(瀬戸内国際芸術祭の略)のスタッフの方から、
この施設は世界大戦が終わったら運営されなくなり、わずか10年しか動いてなかったと話を聞いた。そして廃墟となったこの施設に展示されていたのは、三島由紀夫が住んでた建物の廃材を利用したアート。なぜ三島由紀夫?と疑問が湧いた。この施設と何かつながりがあるのか?それはわからない。
そこには三島由紀夫の「檄」を写したプレートも展示されていた。
戦争が終わると施設から人が離れ、その建物は廃墟となった。かつての日本人の精神を取り戻そうと自決した三島由紀夫の肉体は滅んでも、彼の思想は文章や言葉で今の僕たちも触れることができる。まるでこの廃墟は彼の精神を納めた箱のようである。そう、ここの入り口を入ってすぐ、太陽のコロナのような映像がずっと流れていた。僕らはそれを背にして通路を何度も曲がりながら進んでいく。通路には鏡が設置されており、ずっと背後に僕らの後を追うかのようにそのコロナが映っている。それはまさに彼の精神を表現していたものではないか。僕の勝手な解釈だ。ただ、納まりがとてもいいなぁと思った。
美術館以外の見どころ
犬島には家プロジェクト関連のアートが点在している。それを目指して村の中の細い路地を歩いて回る。そこは日常とは違う速度で時間が進んでいるはずの場所なのに、精錬所美術館で時間を費やしてしまったため、ちょっと急ぎ足になってしまう。すると庭?の椅子に腰かけたおじいちゃんが手招きをしている。「俺の鯉を見ていけ!!」 そんな感じのことを言われたから、指差す小屋の中で泳ぐ鯉を見る。最初は小さな稚魚だったのを33年も育てているそう。今では立派に太った鯉になっていた。僕は鯉を育てたその手を撮りたくて、おじいちゃんに頼んで撮らせてもらった。「どうだ、大きな手だろう。ずっとそこで石切りをしてたんだ。」 犬島では石が取れるらしく、周りに立ち並ぶ家の前の壁石も、そこから切り出されたものだそう。こういう出会いってうれしくなる。
おじいちゃんと別れたあと、島の端の植物園に向かう。島には住民が少ないせいか、自然がもともと豊富にある。植物園もそれに溶け込むかのように、無造作にいろいろな種類な花が咲いてる感じでステキだった。何人くらいで管理しているのかわからないけど、僕が訪れたときには男性がひとり、観光客を気にすることなく黙々と土いじりを行っていた。その姿に何だかグッときた。この植物園も美術館も自然の循環を意識して作られているみたいで、それをうまく説明はできないけれど、それを示したものが島のなかに展示されていた。自然との共生とアート、犬を目にしなかったけど、猫はいた。犬が居ぬ島、いい島だった。
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