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『大地』

大千穐楽を終え、

瞬く間に大阪から東京へ

“私の日常”空間に戻り

気付いたら、化粧も落とさず
カーペットの上で携帯握り締めたまま明け方を迎えてました。

終わったんだなぁ…

ちゃんとベットに移動し
二度寝もきちんと決め込んだ重い瞼の重力を感じつつ

いつもと変わらぬ、窓の向こうをぼーっと見つめながら過るのは

『大地』の稽古初日のこと。

コロナ禍の中、動き出せたこの作品

この先我々は一体どうなるのか…
果たして幕はあがるのか…
何が正解なのか…何をしたらいいのか…

圧倒的な自粛期間を終えて直ぐの
『大地』稽古初日。

胸の高鳴りが耳の鼓膜を揺らすくらい
私のカラダ全身に響いていた。

ソーシャルディスタンスを考慮し

PARCO劇場での、お稽古。

新しく出来たばかりのPARCO劇場は
それはそれは素晴らしくて、美しくて
新しさだけではない歴史的な空気もきちんと継承している素晴らしい劇場だ。

豪華なキャスト陣が集まり
その真ん中には
喜劇の申し子“三谷幸喜”さん

はじめて台本を一人で読んだ時
何故か台所で一気に読み耽ったのを昨日のことのように思い出す。

大きく赤いインクで記された【大地】の台本の表紙をめくり
ドキドキ、ワクワクしながら読み進め

思いっきり笑って、泣いた。

藤井隆さん演じる“ピンカス”さんの台詞を読むたびに
脳内劇場ではもう藤井さんの声で聞こえてきて、一人でお腹を抱えながら笑った。

稽古初日、本読みのとき

自粛中に家の中で1人台所で、妄想していた声たちが
リアルにキャストの皆さんの声で聞けた瞬間は
感慨深く、
そしてそれはそれは、とても愛おしかった。

はじまる…
幕は、あがるんだ、きっと。

強く、深く、信じられる瞬間だった。

幼少期から、映像で三谷作品に触れ、育ってきた自分にとって
三谷幸喜さんの舞台に出演できる日が来るなんて夢にも思っていなかった。
全員はじめましての、凄いキャスト陣に囲まれ

稽古場ではなく
劇場での稽古

いつもの感覚とは違う、
様々な緊張感が張り巡らされていたように感じる。

あの日は
もう本当に遠いことのように感じるのに

“感覚”はとても鮮明なのが不思議だ。

全60公演
大千穐楽を迎えられたこと
このコロナ禍の状況の中で止まることなく
誰一人欠けることなくたどり着けたこと。
沢山の“演劇”を愛する皆様が強く祈り、温かく見守り、支えてくれたおかげです。

これを奇跡にしたら、いけない。

劇場はいつだって開かれていて欲しい。
そこには灯りが燈り、
演劇を愛する人たちで溢れていて欲しい。

全60公演を駆け抜ける中で
本当に、劇団みたいになっていて、

上は76歳、下は19歳

とんでもなく幅の広い劇団だ。笑

『大地』の台詞たちは
ザクザク胸に刺さる言葉が沢山あって
読むたびに、耳にするたびに
胸に手を当てたくなる。

三谷さんの演劇の愛が、
いっぱい詰まっている作品だった。

たとえ、明日地球が滅ぶとしても
私は“大地”に
リンゴの木を植える。

先のことはよくわからないけど
今日やるべきことはわかる

発声練習と柔軟
覚える台詞があるなら、それを覚える
たとえ明日地球が滅ぶとしても

少し、抜粋になりますが
私が演じたズデンガの好きな台詞です。

きっと自分の役者人生の中で
不滅のテーマになる言葉だ。

きっと何かにぶち当たった時は
いつも心の中にいるズデンガに励まされることと思います。

さぁ、さぁ、さぁ!
また新たな日々がはじまります。
この作品から貰った、色鮮やかなものたちを胸に

前へ進んでいく所存であります!

【大地】
全60公演
大千穐楽を迎えられたこと。
本当に、本当に嬉しく
そして劇場にこんな大変な中、足をお運び頂いたお客様に感謝です。

板の上には、役者が
裏には、スタッフが
客席には、お客様が

全てが揃いようやく完成するそれが舞台の醍醐味です。

今度は、満席の劇場で
何の気兼ねなく
当たり前のように劇場に足を運べる日が
早く訪れますように。

“待ち合わせは劇場で”

また劇場でお会いしましょう。


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まりゑ
私、まりゑ、はい。可笑しな人間です。分かってます、ええそうですよね。だもんで、そんな可笑しな人間と一緒にいたら絶対人生に少しの可笑しさをプラスできます。 一家に一人、まりゑ。いかがですか? ここで様々なことをシェアし、ありったけ自分なりの表現で皆様に還元していけるように努めます。