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神様はなんでも知っている。
私はおみくじが好きだ。
一年のはじめに一回だけでいいだろーに。
おみくじなんて。と
思う人も中にはいるだろう。
でも私は、年に数回はおみくじを引く。
神様の集会があるとしたら
「お、そちらさんにもまた来ましたか?」
「ええ、来ましたよ〜。目瞑って、真剣な顔しておみくじ、引いてましたよ〜。」
「ははは昨日、うちでおみくじ引いたばかりなのになぁ〜私のアドバイスは左の耳から右の耳に受け流すつもりだなぁ」
「ですね」
(ー同、諦めたように笑う)
みたいに噂されてるやもしれないけど
それでもいいさ。
「関係ないね!」
(柴田恭兵さん風)
※世代的にわからない人はスルーしてくんちぇ
おみくじは
私の中では“天気予報”と同じ感覚なのだ。
今日は大雨でも、明日はピーカン晴天!があるように
私の日々も、そんなことの繰り返しだから。
神様だって
今年一年のはじまりだけで、
未来へのアドバイスを予報するのは
けっこー難儀なお仕事だと思うし。
だから、私は、おみくじをよく引く。
目に見えない何かからのアドバイスに心動かされることもあれば
何書いてあるか全然わかんないや。とか
イラストかわいいなーとか、漢字多いなぁぁあ??なんだこの字?、
みたいな時もある。
神社やお寺、それぞれに個性があって
それもまた面白い。
お散歩ついでに、お参りして、直近の私の運だめし。これ、お気に入りのコース。
今日もよく行く神社の近くまで来ていたので
少し足をのばしてお参りすることにした。
随分と行ってなかったものだから若干迷子になりつつようやくたどり着く。
人気(ひとけ)はまぁまぁ。
良かった空いてて。と、肩を撫で下ろす。
前回は、混雑しててお参りを諦めたくらい
とても小さな神社なのだ。
お天気も心地よく
今日来られてよかったなぁ〜と
心穏やかに感謝とお祈りをしたところで
やってきました。
おみくじタイム!!
独特なマイクの握り方をした心の中のリトルまりゑが
『さぁジャンジャンバリバリやってきましつぁ!!本日も、運だめしぃ!いっつぇみまぁぁっしょいっ!!!!』
と私をまくしたててくる。
うるさいなぁ、わかってるよ、やるよやるから。境内では静かにしてください。
落ち着き、おみくじの所へ足を運ぶ
最近、おみくじは種類が多い。
あの手この手でなんとか、おみくじに誘おうという努力すら感じる。
“恋みくじ”
“金運みくじ”
“干支みくじ”
問題は、
“男みくじ”
“女みくじ”
これを目にする度
もう今の世の中どうなのかなぁと思ってしまう。
達筆な黒い筆文字で【男】
赤い文字ではんなりとプリントされた【女】
昔から不思議だ。男は黒で、女は赤。
私の通ってる学校は私立だったからか
全員黒いランドセルがマストだったが、
他の子達に目をやるとだいたい女の子は赤いランドセルを背負っていた。
知らない間に埋め込まれる概念って、この時から始まってるんだよなぁ〜。
今の時代は自分で選べるらしいから、とても羨まく思う。
私も本当は。淡い紫色のランドセルに憧れていた。
わ。話が逸れた。
もといっ!!!!!
そう、おみくじね。
心を集中して、おみくじを引く。
手を箱に入れて自分でピックアップするタイプのおみくじだったので
爪の先まで神経を張り巡らせているような気持ちだ。
私の爪は弱い。いつもめくれる。
それは今どうでもいい。
ピンっ!ときた(ような)感じがして一つ選び
ゆっくり開ける…
『大吉』
わーーーーいっっっ!!
ひとり狭い境内の端っこでニヤニヤタイム。
こういう時マスクしてて本当助かるなぁと思う。私みたいな人間は。
なんでこんなに嬉しいかというと
先日引いたおみくじが
『半吉』だったのだ。
なんや、半吉て。
人の名前か。
とつっこみたくなるくらい、聞いたことのない“吉”の分類だった。
でも今日は『大吉』
お天気もいいし、人も少なくて、しかも大吉っ!
今日はついてるついてるぞー!
リトルまりゑも
独特なマイクの持ち方はそのままに小躍りしながら♬ついてるね〜のってるねぇ〜と喜んでくれている。
嬉しいね。
おみくじひとつで、幸せな気持ちになれるんだから
私は本当単純で、安易な人間である。
そして、自分なりにそこが好きな所でもある。
すると私の後ろの女性2組もおみくじをやろうと近寄ってきた。
「どうするどうする〜🎶」
「やっぱり王道じゃない〜ここは🎶」
女はいくつになっても、少女だ。
男もしかり。
私よりも少し年上かなぁという2人組で
雰囲気は、サーフィンを年に2回はやるし海には結構行くよね、みたいな感じ。
伝わる、かな?笑
そんな2人も楽しそうにおみくじを引いて、開いて
笑い合っている。
その光景はとても微笑ましく
境内の端っこでまたニヤニヤタイムをかます、女、まりゑ。
やはや
自分の『大吉』アドバイスを熟読せねば!と思ったその時
背後から、その海好き2人組※妄想
にひとりの男が近づいてきた。
『なんだよー勝手におみくじ引いてんじゃねぇよーなにしてんだよっ!ったくぅ。。』
ゾ
『しかも…(1人の女性のおみくじを取り上げ)うわぁっマジかよ…最悪じゃん。運の悪いやつと一緒にいたくねーわ。』
ゾゾ
私は普通にそのゾゾ男(40代)を凝視してしまっていた。
な、な、なんなんだっこのクソ男。※汚い言葉、ごめんなさいね。
私は人知れず鼻息が荒くなる。
マスクのおかげで本当に人知れず。
あまりのデリカシーのなさと品のカケラもない
白シャツに薄黒いサングラスをかけたゾゾ男(40代)に私は心底“ゾゾっ”とした。
まず…
神様の前でそのうすら黒いサングラス外せやぶぅぅああかぁぁあ!!!!
と心の中のリトルまりゑがエコーつきで叫ぶ。
リトルまりゑは容赦ないのだ。
私はあまりの気持ち悪さにそそくさとそこから離れた。
その後も海好き2人組とゾゾ男の3人で何やら話していたが
いきなりゾゾ男が大きな声を出した
『おい、ヨウコ(仮名)!!ちょ、待てよ!!』←
そう、海好き2人組の1人、ヨウコが激怒して境内から出ていってしまってのだ
ヨウコじゃない方も焦って、追いかけるも
ゾゾ男は走り出そうともしない。
ヨウコじゃない方に、ヨウコを追えと指図まで出してやがらぁ。
ちょ
マジ
ゾゾ男
くっっっっそメン過ぎるゾっっっ
ヨウコが去ったあとも
何食わぬ顔で
御守りコーナーを物色するゾゾ男
私は心の中で、ヨウコに言った
『こいつが、あんたが引いたおみくじの元“凶”だ!そのまま逃げろ!振り返るな!!二度と戻ってくるのではないぞぉおお!!』
ヨウコの姿はもう見えなくなっていた。
空に目をやる。
眩しい。
明日も晴れるといいな。
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