初めての体験のこと
今日は前回に引き続き、ep『pre』に収録されている曲について。epのなかで最初にできた曲、「reverie」のことを書こうと思います。制作期間の最初に歌詞を書く曲って、いつも苦戦するんですよね。
この曲についてまず最初に驚いたのは、歌詞の長さ。書き終わってみてメンバーに共有するとき、「長っ!」と言われたほどです(笑)。odolの曲としては珍しく、1音1音が短いメロディがこの曲の特徴だと思っているのですが、それにハマる言葉を探すのが難しかった印象があります。
この曲では初めての出来事がありました。ふだん、歌を録る前に歌詞や歌い回しの最終のすり合わせを行うのですが、そのときのことです。僕はもともと"幼い自分との決別や現実に直面すること"といったイメージでこの歌詞を書いたのですが、森山には"死"について歌った曲だと受け取っていました。
今までの僕であれば、"自分が生み出した"ということに価値の判断を置き、もう一度初めから考え直すか、自分の持ってきたテーマのまま完成させたと思いますが、今回は違いました。それが今まで一緒に音楽を作ってきた森山の抱いたイメージであることと、自分の持っていたイメージと大きく齟齬のあるものではなかったこと。これらの理由から、この曲の歌詞は二つの意味をもったものにしようと決めました。歌詞を書き終わった頃には夜になっていて、その日のうちに歌を録りきることはできませんでした。
森山に「"死"について書いた曲なのかと思った」と言われ、改めてこの曲を聴き直したとき、自分が書いた歌詞なのに他人の言葉のような、自分の声なのに他人が歌っているような不思議な感覚になりました。けれど心は震えていて、自分の中でこの曲が腑に落ちていくのがわかりました。音楽を作り始めて10年以上が経ちましたが、それは初めての体験でした。この曲の歌詞は抽象度の高い、言うなればわかりづらいものでもあると思っていますが、この曲を聴いた皆さんにとってはどんな曲だと感じたでしょうか。
最近の我々。
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