僕にとって「アルバムを出す」ということ
5/25からお休みしていたこの「ミゾベのnote」。お休みの期間はかなり忙しくさせていただき、充実した時間を過ごさせていただきました。『はためき』のリリースに始まり、イノさんとマシのことや六甲山で久しぶりに演奏をしたことなど、本当にいろいろなことがありました。
この他にも書ききれないくらいにここに記したいことがあるのですが、今日は6/9にリリースしたアルバム、『はためき』のことを書こうと思います。何と言ってもね。
まずはなぜ、このタイミングで「アルバム」だったのか。『はためき』に収録されている9曲のうち、7曲はすでにリリースした楽曲で、しかもそのうちの5曲がタイアップのある曲です。インタビューでも、このバラエティに富んだ楽曲たちを、「まとめようと思ったのはなぜですか?」と訊かれます。
たしかに、すでにリリースした曲は配信で聴けます。けれど僕らは改めて、それまで点のようになっていた曲たちを、アルバムという線でまとめたいと考えました。すでにリリースしてきた曲たちも、まとめることによって、改めて2021年の今聴いてもらえるのではないかと思ったのです。
実際にアルバムになってみると、「こんな聴こえ方があったんだ」、とか「この曲はこんな曲だったんだ」とか、新しい発見が確かにありました。自分たちの曲なのに、そう感じるというのはとても面白く素晴らしい体験で、マスタリングが終わる頃には、アルバムとしてまとめたことはやはり正解だったと確信しました。
そして、リリースをして、自分たちの手から離れて、約1ヶ月が経ちました。この作品を聴いてくれた方が、僕たちと同じように楽曲と出会い直しているのを見ます。そして、このアルバムがきっかけとなって僕らに出会ってくれた方も多く見かけます。点と点が線で繋がった感覚が、今では強くあります。
僕らの世代は、もしかしたらアルバムというまとまりで音楽を聴く、最後の世代なのかもしれません。ちょうど僕が大学生の頃、サブスクリプションサービスが登場するまでは、CDを借りてきて、iPodに入れて、もしくはコンポでCDを聴いていました。その頃と比べると、今ではお気に入りのアルバムを繰り返しひたすら聴く、ということは少なくなったように感じます。けれどやっぱり、ミュージシャンとしての自分は、「アルバム」という単位にこだわっていたいと思っています。
いつだったか、数年前の自分の言葉をはっきりと覚えています。「ミュージシャンにとって、アルバムを出すことより幸せなことはない。」これは今も全く同じように思います。もしも次、また出すとしたら、その時はできるだけ多くの場所でリリース公演をやりたいな。