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なぜ、人は指示待ちなのか。脳科学を読んだら、それがデフォルトだった。

悪の脳科学
中野信子

楽しい、面白い、読みやすい

“笑ゥせぇるすまん”を脳科学から解説した一冊。
日常で起こる「?」(私的に)に対しての答えもあり、非常に面白い内容だった。
内容量も気軽に読めるページ数、巻末には、藤子不二雄との対談もあり、こちらも非常に興味深い。
とにかく、読みやすく、おもしろく、脳科学を身近に感じられる内容だった。

指示待ちの仕組み


印象深いのは、人間は「命令されて動く」ようにできているということ。
人は、なぜ自主的に、能動的に行動しないのか。
ずっと謎であったが、「なるほど」と思える解説があった。
考えるという行為は、脳で酸素を消耗するらしい。
だからこそ、考えると「疲れる」のだ。

なぜ指示待ちが起きるのか


スポーツをしながら考え事をすると余計疲れるのは、体でも脳でも酸素を消耗するから。
感情的になると疲れるのは、脳で酸素を消耗するから。
何かを考えると酸素を消耗し、疲れる。
脳は、疲れたくないから、好き好んで自主的に考え事をするようにはできていない。
「命令・指示」(指示とは書いていないが、読んだ感触だと指示)いわゆる指示待ちで、言われたことだけをやるのを好む。
その方がエネルギーを節約できるから。
自分から考えない、能動的にならない方がデフォルトらしい。
もしかしたら、指示待ちの方が心地よく感じる人が、自分が思うより多いのかもしれない。

あの店が繁盛する理由

スナックのママさんの例も興味深かった。
典型的な指示待ちの例である。
会社が嫌だと愚痴ると「じゃあ、明日辞表でも出しちゃいなよ」なんとも無責任だが、こういう店の方が繁盛してたりする。
無責任だし、相手のことを深く考えているようには思えないし、共感というより、もはや投げ出しているように見えるし、それなのになぜ?
なぜ、こういう店は繁盛するのか。
なぜ、こういうママさんはウケるのか。
一見、同業者からすると(じゃなくても)問題がありそうな人の方が、うまくいっていることも多い。
それは、こういうこと(指示待ち)らしいのだ。

「外側」から「内側」


もう1つ、やはりそうかと思ったこと。
いわゆるオドオドしてしまう人。
人を見下せるようなこと(この場合、高いところに住む。屋上?にプレハブを用意して住んだ、だったような)をすると、その人自身の態度もそうなってくる、と。
この場合、オドオドして何も言えなかった人が、自分の考えを相手に伝えられるようになる、と。
実際の治療などでも用いる方法だということに、さらに驚き。
他にも、人がよく知っているブランドのロゴが付いた服を着る効果など、いわゆる「外側」から「内側」を変えていく、非常に興味深い。
実に、さまざまなことに応用できそうである。
あくまで外側から内側。
世にいう、内側から外側ではない。

まとめ


騙すテクニック、騙されやすいタイプについてがこの本の主軸なのかもしれないが、騙す騙されるという視点を除いても、とても参考になった。
中野信子先生の本は、読みやすく、そして日常でも起こることを想定できるので、読んでいて非常に楽しいものが多い。
前頭前野についてのイメージは、この本の内容が最もわかりやすいのではないかと思う。

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