「子どもにきいてみたら?」
「子どもに聞いてみたら?」
「子どもの気持ち、聞いてみた?」
若手からの相談事の分類
私もいつの間にか「中堅」に分類されるようになり、研修に行けば「ミドルリーダー」なる言葉をよく耳にするようになりました。
少し前までは、学年主任に「おんぶに抱っこ」状態だったのが、今や相談される機会が増え、頼られて嬉しい反面、プレッシャーでもあります。(責任がついて回るのは苦手なのです)
で、冒頭の言葉ですが、若手の教員から子どものことで相談を受けたときなどによく使う言葉です。
「今ウチのクラスが〜で、〜で、○○なんですけど、どうすればいいですかね?」
「この子が〜で、〜という対応をしたけど上手くいかなくて…どうすればいいですか?」
「○○というトラブルがあったんですけど、どう指導したらいいですか?」
私の体感ですが、相談してくる先生の悩みを分類すると、
1.「教師、つまり自分が思っている通りにならない」という悩み
2.「そもそもどうしたらよいか全くわからない」という悩み
3.「自分が指導していることが子どもとマッチしていないのではないか、もしくは『指導している内容が合ってるかどうか分からない』」という悩み
こんな分類になるかなあと思います。(もっと細かくすることはできますが、今日はこれで)
教師の「思い」と、子どもの「思い」
例えば2年生の算数。
ある教師は「全員、九九が言えるようになってほしい」という思いで一生懸命に指導します。
例えば漢字の50問テスト。
ある教師は「全員、90点以上は取れるように勉強してほしい」という思いで一生懸命に指導します。
例えば学級経営。
ある教師は「静かで穏やかなクラスになってほしい」という思いで、一生懸命に指導します。
それでも、なかなか全員がスラスラと九九が言えるようにはならないし、漢字テストで50点に届かない子もいる、教師の思いとは裏腹にクラスは騒がしいし…
まぁ何かと悩みは尽きませんよね、この仕事は。
ただ、読み返してみてください。先の3つの例。
すべて、「ある教師の、一方的な思い」です。
「〜になってほしい」と思っているのは、教師だけです。
子どもはどう思っているのでしょう?
みなさんはこれについて、日々考えているでしょうか。
私は年度途中、たまに立ち止まって、学級を俯瞰で見ることがあります。それは、
「私(教師)の『なってほしい姿』」と「子どもたちの『なりたい姿』」は一致しているか
ということを確認するためです。
教師が「なってほしい姿」をいくら持っていても、子どもたちが「そうなりたい!」と思っていなければ、ただの押し付け。そのうちに両者の間に軋轢が生じます。
逆に、教師の思う「なってほしい姿」と、子どもたちの「なりたい姿」が一緒であれば、これほど楽なことはありません。
先の話に戻すと、よく相談を受ける事柄は、「〜させたい」「〜になってほしい」という教師の思いがとても強く(それはとても良いこと)、子どもたちがどうなりたいかを把握していないということが多いのです(あくまで私の体感)。
子どもの思いを聞くことのよさ
私はどっちかといえば、何にせよ、まずは子どもに聞きます。
「この行事を通してどうなりたい?」
「どうやって勉強したい?」
「どんな自分(たち)でありたいの?」
「これに対してどう思う?」
トラブルなら、
「この話し合いの後、お互いがどうなっていたい?」
となるでしょうか。
とにかく、私は「子どもに聞く」から始めることが多いです。
(例)
「どんなクラスにしたいの?」
「みんなが安心して過ごせる楽しいクラス!」
「じゃあ、『全員が』安心して過ごすには、どんなことが必要かな?」・・・
こうやって子どもの思いから出発しさえすれば、割と大きく外れることはないというのが私の経験です。
逆に、子どもの思いも聞かずに、教師の独りよがりで指導してしまうと、結構なデメリットがあるのではないかと思います。(後からクレームが来たり、クレームが来たり、あとはクレームが来たり…)
子どもに「こうなりたい!」「こうやりたい!」「これができるようになりたい!」という思いを持たせることができれば、あとは教師はそれを後押ししたり、励ましたり、困ったときにはやり方を教えてあげればいいだけです。
「自己決定」「納得感」「楽しさ」
子どもだけに限らず、大人も「自分で決めて納得していること」は、誰に言われなくても進んでやりますよね。それが楽しいことなら尚更です。
ということは、子どもが進んで学ぶ、行動するために大切なことは、
①自分で決めること
②そのことに納得していること
③楽しいこと
です。これを教師サイドから言えば、
①子どもたちの思いを聞き、ある程度は任せる
②目的や意義を伝え、納得させる
③授業に楽しい仕掛けをたくさん作る
とでも言えばよいでしょうか。
上の三つですが、勇気や手間が必要なときもあります。子どもの実態によっては難しいこともあります。
ただ、大きく見れば「意欲さえ引き出せば良い方向に向かう」ことは、どのケースでも言えることだと思います。
あれこれ考える前に、「子どもを『その気にさせる』」に注力してみてはいかがでしょう?
では今日はこの辺で。
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