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学校で習ったことは忘れなさい
「学校で習ったことは、忘れなさい。」
早いものであと1ヶ月で今年度も終わり。6年生は卒業を迎えますね。
この言葉は、6年生を担任した年の卒業式の日、私が子どもたちに必ず伝える言葉です。
自分で考えた言葉ではありません。初めは本を読んだか、先輩の先生から聞いたかは忘れましたが、自分の中では、いろんな意味を含んだ、大切にしたいと思っている言葉です。
「身に付く」ということを大切にしてほしい
冒頭の言葉ですが、ここで私が伝えたいことは「本当に全て忘れて新たな道を歩きましょう」的なことであはありません。本当に伝えたいことは、
忘れようと思っても忘れられないものが『身に付いた』もの
目先のお手軽な知識に飛びつくのではなく、「身に付ける」という意識を大切にして、学び続けてほしい
ということです。
お手軽に覚えたことはすぐに忘れます。
特に現在の情報化社会においては、様々な情報がネットに溢れかえっており、子どもでさえ簡単に知識が手に入れられます。
またそういった情報は、ここ数年で頭を使って読み取る「文字情報」ではなく、よりお手軽な「映像」として手に入るようになりました。
子どもたちには、そういった「かなりお手軽に得た知識」を振りかざして、「あたかも自分が偉くなったかのように振る舞ってほしくない」と思うのです。
そして、それを「学び」だと思ってほしくないのです。
思考力を働かせて文章を読み込んだり、想像力を働かせて人と話をしたりすること、また、覚えたことを繰り返し使ったり、知識と経験を結び付けたりすることで「本当にできる」ようになっていきます。
そして小学校で過ごした六年間で、そういった「価値ある学び」を、どこかで経験してきているはずなのです。それを価値づけたい、そういう思いをもって、卒業式の日に語ることにしています。
また、自分の成長というものは、ふと立ち止まって、改めて見つめ直してみないとわからないもの。なので、小学校の卒業という節目の日に、六年間を振り返って「こんなに成長したんだな」ということや、「これからはこうやって学んでいきたいな」という思いをもってほしくて、こういった話をすることにしています。
「教える」と「身につけさせる」
そして、これを言うようになってから、私の意識が明らかに変わりました。
どう変わったかというと、
「教える」のではなく「身につけさせる」
という視点で、子どもの学びを考えることができるようになりました。
さらに言えば、日々の授業において「どう教えるか」ではなく、「どうやって身につけさせるか」を考えることができるようになりました。(一緒のようで実は180度違います、自分の中では)
それまでは、どうやって教科書の内容を教えようかと、自分のことばかり考えて授業をしていました。しかし、「どう教えるか」は教師のみの問題。実際の学習者である子どもの姿は置き去りでした。
しかし、「どうやって身につけさせるか」は、子どもの状態も絡んできます。
受けもった学級によっては、読み書きが困難な子が多かったり、集中力が続かない子が多かったり、大変なときには授業自体を成立させるのがやっとの学級もあったりします。逆に意欲や共感的雰囲気がある、基礎的能力が高いというときもあり、年度によって集団の性質は様々です。
「身に付けさせる」という意識は、そういった様々な性質の集団に応じて「授業をカスタマイズする」という視点を、私に持たせてくれました。
今目の前にいる子どもたちに対して、この教材を使ってどういった力を付けさせたいか、さらには、どうやったら身につけさせることができるのか。
これを考えるようになってから、「今の私の力量」と、「子どもの状態」によって授業の在り方を変えるほうがよいと考えられるようになり、授業の幅が非常に広がったように思います。例えば、
・今の理解度なら、子どもに説明させたほうができるようになるだろうな
・たぶんこれを理解するには視覚的支援があったほうがよいだろう
・この子に発言させる前に、この子の考えを取り上げた方が全体の思考が活発になるな
・この内容は徹底的に反復練習をさせよう
・この子たちならクイズ大会にする方が意欲的に取り組むだろう
・この前国語で扱ったことを活かして、社会のこの時間にはグループディスカッションをしてみよう
・でも、すぐにディスカッションにはならないから、グループ自体を工夫したり、前の国語を少し振り返ったりする時間をとろう
といったように、その時々で、とるべき学習活動、学習形態の幅が広がったかなと思います。
これは「身につけさせること」を明確にすることでゴールがはっきりし、
「ゴールさえ達成できれば、そこまでの道のりは何でもいい」
と、柔軟に対応できるようになったことが大きいかなと思います。あとちょっとで私も職場復帰。今整理している考えを大切にしたり、さらにアップデートしたりしながら、4月に備えたいと思います。
ちょっと抽象的な話ではありましたが、誰かの何かのお役に立てればと思います。また、共感してくださる方がいればありがたいなと思います、では今日はこの辺で。