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生徒指導対応を「後手」にしたくないという話
学校現場においては日々、様々な問題が発生します。それは教師という職業が「人と関わる仕事」であり、さらにその相手が「未成熟な子ども」及び「その『子ども同士の関わり』とも関わる」ような仕事なので、予期せぬトラブルが起きる(頻発するかどうかは対応や指導、集団の性質によるのですが)のは当然と言えるでしょう。
対応が後手に回ってしまうケースを引き起こす要因
私としては、そういったことが起こることは「当たり前である」という前提のもとに働いてきたつもりです。なので、トラブルや重大な生徒指導事案が発生したときには必ず学年の先生や管理職に相談したり、報告をしたりします。そうすることによって、適切なアドバイスをもらえたり、一緒に対応してくれる人が出てきて、早期の解決が望めるからです。
ただ人によっては、「これくらいのトラブルならよくあるし、大丈夫だろう。」という考えをもっていたり、「トラブルを起こしてしまった自分はダメな指導しかできていないということだから、なるべく他の人には知られたくない。」といった考えをもってしまう人もおり、学年主任や生徒指導主事、管理職への報告が遅れてしまうことがあります。その結果、本来ならばすぐに解決できたはずの事案が大きな事案になってしまい、対応が後手になってしまうというケースがよく見られます。
対応が後手にならないための考えられる解決策
①トラブルを起こさないための「予防的指導」
子どもの成長を長い目で見たときに、「子ども同士のトラブル」は必要であると思います。語弊のないように書いておきますが、私は「トラブル自体が必要だ」と言っているわけではなく、「トラブルが起こったときにどう解決するかを考えることができる」「人間関係のトラブルを解決できた経験を積むことができる」「対人関係スキルを身につける良い機会になる」という視点で「必要である」と言っているのです。
ただ、トラブルが多いよりは少ないに越したことはないでしょう。トラブルが頻発すれば、それだけ対応する時間も多くなります。小学校だと授業時間に食い込むこともあるでしょうし、休憩時間が潰れてしまって悪循環・・・というパターンもあります。
問題は「不必要なトラブル」です。これは何かというと、「教師がちょっと配慮すれば防げたはずのトラブルが、実は結構ある」ということです。「教師の日々の指導に『トラブルを予防する』という視点」を少し入れるだけで、不必要なトラブルが減ります。
例えば「児童が移動する際の動線」です。プリントやテストを提出する際など、子どもが通る動線を指導しておくことで、子ども同士の接触が減り、不要なトラブルを防ぐことができます。
また、「トラブルが起きた後、適切なフィードバックをしているか」ということも挙げられると思います。どんなことがきっかけで、どんなトラブルになり、どうすれば予防できたかを子どもと一緒に考え、きちんとフィードバックしているかです。また必要があれば、当該児童の許可を得て、学級全体に広めることもできるでしょう。
もう一つ、「学級内のルールやシステムを分かりやすくしておく」ということも、トラブル防止につながります。子どもによって学級内のきまりやシステムの解釈が違うと、結構簡単にトラブルになります。そういう傾向が見えたときには、早期にきまりの確認、システムの改善をすることでトラブルを未然に防ぐことができます。
②職員同士の雰囲気がよいか
これは私の中では「職員同士が受容的な態度で認め合っているか」「高め合える組織かどうか」ということだと思っています。
変にマウントを取る人、他の職員の悪口を言う人、威圧的に関わってくる人、仕事に関係のない雑談が多い人(必要な場合もある)がいたりすると、職員同士の関係がギスギスしたり、馴れ合いの関係になったりしてしまいます。すると、職員同士の日常的な会話がただの愚痴や雑談に終始してしまい、本来の目的である「子どもへの教育」という話までいかないということになります。
私としては、職員同士では「子どもの話をしたい」という気持ちが強いです。例えば、「今日はこんな子どものよい場面があった」「こんな指導をしたらこうなった」「今日は学級でこんなことが起きたんだけど、どうすればよかったのかな」など、「子どもをよりよく育てる」ための会話がしたいなと思っています。実はそういった日々の学級の子どもの話をするというのが、「研修」と捉えることもできるのではないでしょうか。そう考えると、先生方のマインド一つで、日々成長できるかどうかが変わってくるかなと思っています。
③「報・連・相」より「相・連・報」
よく仕事の場面では「ホウレンソウ」を大切にしなさいと言われます。これは「報告・連絡・相談」を分かりやすくポップに言い換えたもので、確かに大切だなと思います。
現に私も、学級内でトラブルが起きたときには、真っ先に学年主任、生徒指導主事、管理職に逐一「報告」します。(いろんな指導の視点が欲しいので。あと責任を分散して安心したいので。)
ただそういった意味合いとは別に、普段の現場で次々と起こってしまうトラブルを後手に回さないために、この「報告→連絡→相談」の順番を変えることで防げることもあるのではないかと思います。
なぜなら「報告(トラブルの)」が一番最初だと、「予防できてないじゃん」ということになるからです。
報告された方としては「報告してくれるのはありがたいけど、それって指導によって予防できたじゃん」という事例だったりすると、結局は指導や対応が後手に回ってしまいます。
なので教育現場では、
「相談→連絡→報告」
の順番がよいのではないかと思います。
日々の職員同士の会話が、子どもに関する前向きな内容であり、風通しがよい雰囲気であれば、「今日はこんな困ったことがあったんですけど、どうすればいいですか?」という「相談」がしやすくなります。トラブルの初期段階で相談があれば、「こうやって指導すればうまくいくんじゃない?」とアドバイスができ、自分一人で考えているときとは違った視点で対応することができます。その結果「予防的生徒指導」に繋がったということがあります。
つまり、普段の職員の雰囲気が「相談しやすい」ものになることによって、結果的に「生徒指導が後手にならないというメリット」が生まれるのです。
そして、相談をした人がアドバイスを参考に指導をしてみたら、きっと「今日はアドバイス通りにこのようにしてみました。うまくいきました。(もしくは「うまくいきませんでした。どうすればいいですか?」)」という話になるでしょう。これが、「連絡」です。対応中に連絡をしあうことで、迅速にPDCAを実行することができます。
最後に「報告」です。そのようにして行った対応がうまくいけば、管理職に「このように対応しましたが、今後どうなるかわからないので知っておいてください」または「このように対応しているところなのですが、まだ不十分なので一緒に考えてもらえませんか。」となります。
他にもたくさんの視点でたくさんの方法があるかもしれません。そこは色々な人の実践を参考にしていこうと思っています。徒然と書いてしまいましたが、今日はこの辺で。