『草原の風味:遊牧民の心と東京出身料理人の冒険』
大都市東京から無限の大草原へ、一給食のおばちゃんがモンゴルの公邸料理人としての新たな道を歩む物語。『まんぷくモンゴル! 公邸料理人、大草原で肉を食う』は、極寒のモンゴルでの驚きと発見の連続を描く一冊である。モンゴルといえば、肉と乳製品が主食となる地域。草原で飼われている家畜の肉を堪能しながら、なぜ彼らが野菜をあまり摂取しないのか、遊牧民の視点からそれを探求する。
この本は、モンゴルの食と暮らしに焦点を当てている。遊牧の真ん中での肉の料理や聖視されるミルクの重要性、さらには現地の食材の特色など、読者にモンゴルの食文化の魅力を伝える。草原の生活の掟や、共同体での生活の様子、都市部とのギャップなど、モンゴルの日常をリアルに感じ取ることができる。
また、著者はモンゴルの伝統的な料理を紹介している。網脂巻きの羊レバーや田舎のホルホグ、そして国民食とされる三兄弟など、読者にとって新しい料理の数々を体験できる。これらの料理は、モンゴルの風土や歴史、文化が詰まったものであり、料理を通じてモンゴルをより深く理解することができる。
著者自身が、東京の保育園の調理師からモンゴルの公邸料理人へとキャリアを変え、その後モンゴルでの健康や幸福に貢献するための料理本を出版するまでの経験を共有する本書。モンゴルの美しさ、その食文化の深さ、そして人々との交流を通じて得た知識や経験を、生き生きとした筆致で読者に伝える一冊となっている。
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