詩を書きたいです。

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放浪記 8/9

その街の新興宗教は流れる川を無視して成り立ったため、川はもう流れなくなった。 多くの家に、ガラス張りの飾り窓がくっついていて、埃を被り永遠のキスをした石膏像が寂しい薄暗闇に置かれていた。 装飾が彫られたガラスは、14時でも中から薄く照らされていた。 はるか昔に、白いクリームのようなペンキで飾られた公衆便所が建てられたが、その入り口は年々どこか奥まっていくように思え、意味をなくしていた。 学園の前には大きな商店街が並び、中に入ると、糸のような隙間から辛うじて営業していることが

    • みどりのてっとう

      川とも言えない川が、鳩を飼って ゆかりを失くした 踏まれない白い床には、 たった一人にしか理解のできない 獣 知らない、 燃やすと青い煙を出した 細長いノーム 淡白な味の 側に添えた尖りきった 言葉は 一度口腔を貫いて、 かかった ほら、キャノピー 瞼の上で、五歳の頃から いつの間にか、 育っていた キャノピーを

      • どうしたら野性を克服できるのどうしたら物語に生きてあらゆる場を守れるの血を流すから生きていると感じるなんて それでしか自分と場所を認識できないなんて 馬鹿馬鹿しすぎる この世に存在した人がつくったこの世に存在しないはずの場所はそれはたしかに美しいのだと 儚い一生で笑う覚悟を持て

        • セミの7日間より美しい日々はないよ そこで有毒の煙を焚かなくなって無人島に戻っても、このダンスホールは光続ける 受信されない信号で おまえの全ては借り物のアニマ

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        放浪記 8/9

        • みどりのてっとう

        • どうしたら野性を克服できるのどうしたら物語に生きてあらゆる場を守れるの血を流すから生きていると感じるなんて それでしか自分と場所を認識できないなんて 馬鹿馬鹿しすぎる この世に存在した人がつくったこの世に存在しないはずの場所はそれはたしかに美しいのだと 儚い一生で笑う覚悟を持て

        • セミの7日間より美しい日々はないよ そこで有毒の煙を焚かなくなって無人島に戻っても、このダンスホールは光続ける 受信されない信号で おまえの全ては借り物のアニマ

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        • 3本
        • 放浪記
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          放浪記 8/13

          永遠に連なる丘を広い道で開いた街は、常に北を目指す。 ジャンクションにひっそりと建つ営業不明の餃子屋は、タワーのようで、薄暗い、人影のない店内から外へと煙が音を立てて伸びる。 家家はおもちゃのようで、カラフルに塗られていて、龍の形の入道雲の為にあるような、簡単な形をしている。 向日葵からは程遠い途轍もない道のりに思えるトンネルの中には、塞がれた扉があり、その頭上から小鳥の囀りが聞こえるが、見えるのは茶色い鳩のみである。 外は冗談みたいに明るくなって、用途を知らない四角く赤い

          放浪記 8/13

          放浪記 8/12

          長すぎる坂を登って降った先には、リフォームで継ぎ足されて長くなりすぎた茶階段。老人ホームから帰ってきた祖母を、家にあげようとする。 また、その先には、ガラスドームで保護された、どこにも行かないエスカレーターがあるが、もしかするとあれは最も遠いところに繋がっているのかもしれない。なんたってそこは国道に囲まれた街で、リュウゼツランが一つ葉を伸ばしているらしい。 国道で囲まれた街が嫌になっても、少しの団地をオアシスとして、億劫な坂も、遊び疲れて自転車で降る頃には好きになっている。

          放浪記 8/12

          放浪記 8/8

          ここに放浪記を記すことにする。 隣町から、その隣町へかけて ある街では、電車の騒音とその車輪でしか、皆電車を知らぬが、高架下には地図が書かれていて、斎場だと思ったらラブホテルであった。 骨のような、決して開くことのな一千の窓のような装飾がビルを飾り、崩れそうなネットを被ったジグラットがあり、そして常に蜂は刺すものを狙っている。そういう場所だ。 そこは学園都市で、広がりすぎたホワイエの横には意味を持たなくなった昭和文字が書かれた、どこにも続かないゲートがある。 また、その

          放浪記 8/8

          10時のマリア

          ミシガンの近くに泥のような男 泥のような家に住み この泥のような国 でも けして 狭くはない 全て 有り余っていて マリアのこと 想像するだけ 信仰心も フロスティングに乗り 食べるまで 泥のように物理を無視して 立っているように 鼻を上に上げているだけ 遠くの丘のゆりが匂うよ 遠くの黒い丘のゆりだけが ベルの音は聞こえない ずっと聞こえない ハエ叩き 電通した ジリジリだけで 形を保てず、ゴリラグルーで繋げておいた   直したことにはならないよ 一度壊したら 月は、

          10時のマリア

          去年 家の梁に留まっていた 白い蛾が 今日 その辺で落ちて 死んだ 死んだ後に、猫に片羽を齧られて その唾液の匂いでやっと気づいた犬 猫は不味そうにしている ある星では、タコブネが深い緑の艶を放って オレンジ色に透けるものもあるらしい 由緒正しい黒目の子は、モノを拾い集めることは禁じられている  集められずに囲まれるは、稲妻を埋め込んだ真っ赤な壁だけ         それでも結構、あおく光るでしょう 海は 死ぬ瞬間に思い出すのは、ゴツゴツとした 骨組みの肉体ではないの あ