なんて自由なやきそば屋
プロローグ
父が語る昔話に大好きなエピソードが一つあります。
「昔ね、大通にあった長崎屋(百貨店)の中に焼きそば屋さんがあったんだよ。普通盛りからとんでもない量の焼きそばを提供していて、卓上に置かれた色んなソースで自分好みに味付けして食べてたもんだよ。」
あまりにも父が生き生きと話をするものだから、私も行ってみたかったな〜と羨ましがっていたものでした。
出会いは突然に
時は流れて2022年。私は父が語っていた焼きそば屋さんに唐突に出会うことになります。
最近好きになっているお笑い芸人・錦鯉が出演する札幌グルメを紹介するyoutubeをダラダラと見ていた時のこと。
「うぉ〜!懐かしい〜!」と長谷川さんが紹介していた焼きそば屋さんが父の語るそれにそっくりだった衝撃たるや。
麺の量が細かく設定され、とんでもない量のオーダーも可能
卓上には色とりどりのソース
豊富なトッピングメニュー
そしてリーズナブルな価格
…ここだ!きっとここに違いない!
居ても立っても居られず、すぐさま検索してみると大通駅直結のビル地下にそのお店はあるようです。
その名はなんと「やきそば屋」。直球すぎです。
いざ、やきそば屋
1週間後。私は件のやきそば屋に赴いていました。
噂に違わず、麺の量が細か〜く設定されていて、1玉から果ては12玉まで用意されていました。。
どのメニューにするか迷いに迷いましたが、「Bセット」をお願いします。
券売機で食券を購入するとコの字型のカウンター席に通されます。
(錦鯉が座っていた奥の席には座りそびれて、しまったー!)
ジュージュー!カンカンカン!ジュワワワワ〜
ステンレスの起こし金を両手に手際よく大量の麺を炒めるお姉さんが素敵です。
卓上には8種ほどのソースにマヨネーズが並び、「父が見ていた風景はこんな感じだったのか」と、しばし思いを巡らせます。
自由の中で好みを見つける
着席してから程なくしてBセットが到着です。
焦がれていたビジュアルが嬉しくて、横からドーン!真上からドーン!と写真を撮ってしまいます。
このBセット、錦鯉・長谷川さんがおすすめしていたミニお好み焼き×2、卵、豚肉、五目野菜、千切りキャベツにスープ、やきそば1玉という欲しがり〜な内容なのです。
ソースは少しずつかけるのが良い、とネットで見たので、特製ソースと長谷川さんイチオシ・特製カレーソースを少しず〜つかけていきます。
まずは麺を一口。
家で作るものとは違ってパサつかずベトつかず、適度にもっちり食感です。
これは炒める前に丁寧に麺をほぐす工程を入れていると見た!
続いて特製ソースがかかるミニお好み焼きエリアを。
ほわほわとしたそれは麺の邪魔をせず、しかししっかり食べ応えがあります。
そのままで食べてもいい、ソースを追加してもいい。
お肉に千切りキャベツを巻いて食べてもいい。
とろっとした卵を潰すタイミングは序盤でも中盤でも終わりがけでもいい。
…なんて自由なんでしょう!
自分と対話しながら「これが好き?」「こう?」と探っていくワクワク感がありました。
こんな食体験、久しぶりな気がします。
エピローグ
さて、やきそば屋でのワクワクする食体験を母との連絡LINEついでに打ち明けてみたところ、、
「実はお父さんもこのお店を知っているんだけど、昔長崎屋にあったお店は信濃屋と言っていて、こことは違う(※)とかであんまり興味を示さないんだよね〜。でも美味しかったという情報は伝えておくね!」
とのこと。
(※食べログクチコミでは信濃屋と焼きそば屋は同一店という噂)
思い出超えは難しいのか!?
果たして父が語る昔のお店とは違うのか!?
今度は過去を大事にする父と一緒に訪れてみようと思います。