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『マインドフルネス』と『ネガティブケイパビリティ』の組み合わせ

 noteの中でマインドフルネスについて、何度か取り上げてきました。私は福祉、心理、ヨガ、インド哲学等に携わっているので、この言葉を触れることが多いです。「今ここ」「目の前」に集中するマインドフルネスが、ここ数年で日常的にも一般化してきた印象があります。

 

ネガティブケイパビリティとは?

 では、皆さんはネガティブケイパビリティという言葉をご存じでしょうか?分かりやすくお伝えすると、すぐに答えが見つからない状況や、不安や迷いがある状態を受け入れ、焦らずにそのままの状態でいられる力のことです。

 私は正直この言葉を知ったのは極々最近のことです。書店で見かけた下記の書籍のタイトルから興味を持つことになりました。

日々求められる力

 私は長い間、福祉・心理の専門職と管理職を両立を図りながら日々業務に臨んでいます(両立出来ていると思える瞬間は少ないですが・・・。)答えの出ない案件を複数抱えながら、落ち着かない気持ちの中で毎日が過ぎていきます。

  • 5年、10年の長期的な視点が必要なクライエントとの関係が上手くいかない。

  • 色々模索しても最終的には制度上の問題であり、自身の力で介入出来ない案件。

  • クライエントとの面談が上手くいかないまま終了したあとの管理職会議、なかなか目の前の会議に集中出来ない。

等‥。

管理職や専門職の皆様、上記のような経験をされている方もいるのではないでしょうか。

そんな時に求められる力こそ・・・、

ネガティブケイパビリティ

なのです!


ポジティブとネガティブのバランス

 ネガティブケイパビリティと対極にある力として、ポジティブケイパビリティという言葉があります。「待つこと」「状況を受け入れること」に重点を置くネガティブケイパビリティに対して、ポジティブケイパビリティは次のような特徴を持つと言えるでしょう。

  • 答えを見つけるために行動し、前進する力。

  • 状況を変えるために積極的に働きかける能力。

 私自身は、おそらくポジティブケイパビリティ的考えが強く、何か問題が発生した時には全力で解決を目指し、極力先延ばしをしない気質だと思っています。このような考えは、物事を短期で解決し続けられる場合は良いのですが、長期的視点、自身だけの裁量で解決出来ない問題に直面した時に脆くなります。私はこのような状態が正直ずっと苦手でした。ついついポジティブケイパビリティに過度に走る傾向があると、自己覚知しています(笑)。

 最近やっと、すぐに解決出来ない問題を抱えながらも何とか前進する力が少しずつ付いてきたように思えます。そんな時に上記の書籍を読んで、
「これをネガティブケイパビリティと呼ぶんだな。」
と妙に納得してしまいました。

 しかし、ネガティブケイパビリティだけで様々な問題を解決できるとも思いません。自身の弱さや怠慢から、踏ん張れば短期で解決できる問題を、「様子を見よう」「ここは長期的視点で」と先延ばしするリスクもあるでしょう。ネガティブケイパビリティをやらない言い訳にする人のイメージも容易に浮かびます。ネガティブとポジティブのバランスはとても重要性です。


マインドフルネスを組み合わせる

 ネガティブケイパビリティを高めていくために、私はマインドフルネスの訓練をお勧めしたいです。ネガティブケイパビリティとマインドフルネスは、相互に補完する関係にあると考えるからです。前者が不確実性や曖昧さを受け入れ、その中で創造的に考える力を養うなら、後者はそのプロセスにおいて注意を集中し、感情や思考を客観的に観察する能力を育むことができます。この組み合わせにより、目の前の問題に対してより深い洞察力と柔軟性を持つことが可能になります。

 私たちが答えの出ない問題を抱えている時、他の案件が都合よく待ってくれるとは限りません。答えの出ない問題、出る問題、複数が重なった時に、私たちは混乱してしまい自身の得意な方(ポジションまたはネガティブ)に極端に偏る危険性があります。解決できる問題を先送りしたり、解決に時間がかかる問題を無理やり解決しようとしたり・・・。

 「今ここ」に集中して目の前の問題を受け入れる。これにはネガティブケイパビリティとマインドフルネスの両方が必要だと言えるでしょう。


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