はじめに
動機云々の私的な補足を記します。
記事の末尾に草稿へのリンクを記載しています。
1.動機
生来ロクデナシでございます。
日々だらだら過ごしとるのですが、
芥川をまだらに読み散らかしてた折、
気になったのがこんな一節。
不意に出てくるマインレンデルという名。
芥川がマインレンデルに親しむようになったきっかけは、
森鴎外『妄想』を読んでだという。
たしかに、
上記『侏儒の言葉』の引用部は、下記の鴎外『妄想』抜粋部に似ている。
芥川の自殺を後押ししたっぽい、というエピソードが日本におけるマインレンデルの評価だ。
芥川が自殺した同年の『河童』、
『或舊友へ送る手記』(死後に発見されたもの)にもその名が出てくる。
芥川のマインレンデルへの傾倒ぶりは当時そこまで知られておらず、
死後、菊池寛が芥川の自死を受けて記した『芥川の事ども』で触れられているくらい。
というか、マインレンデルがマイナーすぎた。
その他、西尾維新作品に出てくるマインレンデルをもじった「マインドレンデル」という武器から知った人もいるらしい。
こんな流れで彼を知り、『救済の哲学』ちゅー大層な書名に厨二心もくすぐられて読んでみたくなった。
さて、このマインレンデルさん、
ショーペンハウエルの熱心なフォロワーなのだけれど、両者の思想はえてして混同されがち、なのだという。
(混同するやつ、ほんとにおるんかな?めっちゃちがうで)
たとえばショーペンハウエルの『自殺について』はとてもよい本で、
彼が決して単調なペシミストではなく、キリスト教に基づいて自殺に反対しているとわかる。
が、マインレンデルはそうではないらしい。
けれどもこのマインレンデル、評価は高くない。
ニーチェからは「ディレッタント」すなわち数奇者(在野のマニア。アカデミックな権威はない人)程度の人物、と評されたらしい。
自分の著作を踏み台にして首を吊ったのだという。
首吊り台になった遺作が『救済の哲学』。全2巻。
以上、ネット調べ。(こういうとこも原典当たって確認しておきたい)
今は何とも便利な時代で、インターネットをすこし漂流すればある程度のことは誤謬であれなんであれなんとなく見当がついたような気になれます。
とはいえせめて本を読まないと知ったかぶりもできやせんね、
本を読んでもわかんねーのに、読んですらおらんちゅーたら輪をかけて自分が恥ずかしくなるだけなので。
なんやおもろい人やな〜って思って、いざ『救済の哲学』を読もうとしたところ、やんぬるかな日本語訳など転がっていないのだった。
それでは原著を読みませう、なんて気軽に言えるわけもない。
語学などからきしでドイツ語どころか英語も日本語もあやしいのだから手が出るわけもなかった。
だけれども、この『救済の哲学』邦訳はいくら待っても出てこなそうに思える。
図書館に行くにしても、日本だと東大にしか蔵書がないらしい。
重要でもない、面白いかもあやしい、翻訳したところでリターンも貢献も薄そうなシロモノっぽい。
それならば、どうせ暇を持て余しているのだし、誤訳でもなんでもちょいと手を付けてみようと思った次第。
補足:2024年、英訳が出た。
The Philosophy of Redemption
https://amzn.asia/d/eBQRgrB
有志によるWeb上の英訳はこれまでもあったのだけれど、
ペーパーバックとして手に入るのは気楽だ。
(西語訳、独語再版は以前からあるが。)
訳者情報
経歴的にしっかりやっているひとっぽい。
2. たすけてください!
訳、まったく自信がありません!
下記のGoogle docsを随時のろのろ更新していきます〜
ぜひ誤りの指摘やアドバイスをいただけますと幸甚です。
気になった箇所ごとにコメント機能でつらつら僕もメモしています。
どうぞお気軽に、
おたすけください〜!!
まだぜんぜん手をつけられてないですが、ゆっくりやってます〜
2024/03/22_追記
要望を頂戴したので原本画像データの一部を追記しました。