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日銀利上げのメリット③
三つ目。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のインカムゲインが増え、人口減少期の日本人の「年金」を守ことができる。
GPIFは世界最大の日本の機関投資家です。今、約250兆円を運用しています。みなさん、ご存知ですよね。
GPIFは現役世代が納めた年金保険料のうち「年金支払い」に充てられなかった分を「年金積立金」として、人口減少期の日本人の年金不足分の財源を確保するために運用しています。
国内債権、国内株式、海外債権、海外株式を25%ずつ保有し、増えたら売り、減ったら買うというリバランスを適宜行うというリスクの少ない運用していることで有名です。
さて、今回の利上げ、GPIFにどんな影響を与えるでしょうか。
もちろん利上げすれば、債権の価値は下落します。するとGPIFはリバランスのために新たな国債を買い入れます。
「減ったら買う」ですから。
そうすると何が起きるのか。
以前買った国債はゼロ金利政策の最中であったために利率の低いものばかり。でも、次に買う国債は0.25%が反映されたものとなります。つまり、GPIFの「インカムゲイン」が増えることになります。
GPIFは国債だけでなく、日本企業の社債や地方公共団体の地方債も数多く保有しています。新規で保有する場合、それらも利上げの影響を受けるのでやはり「インカムゲイン」が増えます。GPIFの2023年度の収益額は45兆4,153億円。しかもそのうちインカムゲインは4兆1,374億円です。もちろん1年でです。
金利が上がれば、このインカムゲインが増えることになります。
これは何を意味すると思いますか。
まだまだ1億2,000万人いる現在の日本人が、人口が減少し6,000万人になった未来の日本人の老後を支えてあげることができるのです。
つまり、利上げは「現在」だけでなく、「未来」にもつながっているのです。
ほら、メリットあったでしょ?