シリンダーの傷
シリンダーに傷が入る原因は様々あれど、事がハーレーとなるとその原因が頭抜けて多くなる。何故かは既に解明されているのであろうが、それは普遍的ではなく一部の人達だけで共有されているのであろうか。私はその一部には入っていないため、携わる車両からデータを取り仮説を立て改善を試みる。もちろんその後の責任を負うのは当然だ。さて、今回はどういった現象が起き、現状はどうなり、その後をどのようにしていくか、を段階的に紹介していこうと思う。
発端はガスケットサーフェイスからのオイルリーク。それまで快調に走っていた車両だがシリンダーヘッドガスケットサーフェイスからオイルが滲んでいると、メイン作業はカスタムでありながらついでにガスケット交換という依頼を受けていた。当該車両は1981年のショベル。オイルは100%化学合成油を運用しているため滲んでくるのは仕方がないことなのかと思い、ガスケットの定期交換というぐらいにしか思っていなかった。だがオーナーから、プラグホールから中を覗くと、シリンダーに縦に傷が入っているように見えると。なのでガスケット交換ついでにシリンダーのコンディションも点検してほしいとも言われていた。まあ、どっちがメインテーマなのかと言えば後者だろう。前者のガスケット交換はきっかけというわけだ。
というわけでプラグホールを覗いてみると確かに縦に傷が入っているように見える。しかし通常、シリンダーの中でピストンが往復運動をする上で、ピストンに取付けられたピストンリングの合口によってシリンダーにその運動方向の傷が入ることは必然とも言える。そしてその傷の深さは浅く問題ないレベルであることがほどんどだ。したがってその可能性もあるし、やはりシリンダーヘッドを取外してみないと明確には分からない。
ガスタンク、キャブ、マフラーと順に取外し、プッシュロッドを緩めてシリンダーヘッドをロッカーボックスごと取り外す。そうすると、オイルリークの発生場所が確認でき、そしてシリンダー内壁の状態も確認できる。さてどうなっているのか。
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