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ロッタン義弟のセンアーティット、元RWS王者ラムナムム―ンレック、強豪が続々ONEに転向~ONE Friday Fights 97(2025年2月14日)など
タイで人気を集めているONEチャンピオンシップだが、プロボクシング元WBAアジアスーパーライト級王者、センアーティット・ルークサイゴンディンがONEに参戦することが決定した。センアーティットのONE転向初戦は、1-2か月(3‐4月)あたりに組まれる方向だという。
2月14日のルンピニースタジアムで開催されたONE FRIDAY FIGHTS 97では、元RWS王者ラムナムム―ンレック・ティーデット99、タイファイトのスター選手テーンヌン・フェアテックス、タイファイトに参戦していたミャンマーラウェイの有名選手べロ・ニカがそれぞれONEでのデビュー戦を行い、有名選手のONE転向ラッシュを象徴する大会となった。
センアーティット・ルークサイゴンディンのONE転向
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センアーティットはルークサイゴンディンジムのムエタイ16人兄弟の14番目の21歳。幼いころはムエタイのリングにも立っていたが、14歳よりプロボクサーとしてデビューし、以降はWBAアジアスーパーライト級王者も獲得して世界ランキング入り、19戦全勝(10KO)のプロボクシング戦績を残していた。2023年8月のドバイでのWBAアジア王座の防衛戦を最後に、契約していたTL&ギャラクシープロモーションと決裂、WBAアジア王座も返上し、スポンサーのグローブメーカー、YOKKAOのサポートのもとでアメリカで世界王者を目指すとしていた。
以降はアメリカに長期滞在し、フロイド・メイウェザージュニアのジムなどで練習を続けていたが、アメリカでの試合は決まっては流れてたりで、なかなか決まらずに、結局、1年半のブランクを作っていた。
センアーティットの姉のアイダは、ONEで活躍するロッタン・ジットムアンノンの妻としても知られている。センアーティットはロッタンの義理の弟にあたり、ONEへの転向は自然な流れにも思える。プロボクシング参戦中の2020年には、16歳でMMAグローブを使用したムエタイの元祖でもある、MX MUAY XTREMEにも出場し、数戦を戦っていた。(動画はタイ以外の国で視聴できない場合あり。この試合(MX)でセンアーティットはKO負け)
プロボクシング時代はKOが多いハードパンチャーではなく、距離をとってテクニックで勝負するボクサータイプだったセンアーティット、ONEではバンタム級での戦いになりそうだが、ONEの選手との対戦については、元ルンピニー二階級王者のクラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイにプロボクシングで判定勝ちしたことがあり、今後ONEムエタイのルールでの再戦が組まれることがあるかもしれない。クラップダムをはじめ、強豪がひしめく階級で、どのような戦いを魅せるのか興味深い。
そして、このニュースはちょうどONE FIGHT NIGHT28の直前に話題になり始めたこともあり、ONEストロー級王座防衛戦を控えるプラジャンチャイが試合前の記者会見で、センアーティットについてに聞かれる場面もあった。プラジャンチャイはセンアーティットについて「彼はONEと契約を結んだようですが、どのルールにサインしたかは分かりません。彼は心の底では、プロボクサーとしてのキャリア継続を望んでいる気がします。私もプロボクシングの経験がある(過去に3戦3勝)ので、ボクシングで手合わせしてもいいかもしれませんね」とボクシングルールでの対戦に興味を示した。しかし、体重差が8キロと大きい為に「センアーティットは145ポンドのはずですが、私は125ポンドです。ベルトもキープしていきたいので(体重は)増やしたくないですね」とも話していた。
ラムナムム―ンレック、テーンヌン、べロが出場のONE FRIDAY FIGHTS 97
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2月14日のルンピニースタジアムで開催されたONE FRIDAY FIGHTS 97で、メインイベントに出場したラムナムム―ンレック・ティーデット99は、2022年、2023年のRWSワールドトーナメントライト級(61キロ)で二大会連続優勝を果たした26歳、これまでに103勝29敗2分の戦績を誇る。昨年は2月のRWS JAPANで来日して、レンタ・ウォーワンチャイに判定勝ちしているサウスポー。元RWS王者では、シャドウ・シンハマーウィンが先にONEに転向している。シャドウがメインイベントに出場したのは、彼のONE5試合目にあたる昨年12月のシッティチャイ戦であり、ラムナムーンレックのデビュー戦でのメインイベント登場は、ONE側からの大きな期待もうかがえる。デビュー戦の対戦相手は何度もメインイベンターを努めている強豪のコンスック・フェアテックスで、これまでルンピニースタジアムのバンタム級、スーパーバンタム級で二階級を制覇し、元チャンネル7ライト級王者でもある。通算65勝18敗、こちらもサウスポーの24歳。ONEでは5勝3敗で、前戦は昨年10月にムアンタイ・PKセンチャイに3回KO負けを喫しており、今回が再起戦となる。
キャッチウェイト(138ポンド=62.6キロ)3回戦で行われたこの試合、ラムナムム―ンレックは2ラウンドに左フックでダウンを奪われ、判定負けで初戦を白星で飾ることができなかった。ラムナムム―ンレックはダイナミックに攻め立てるが、大振りが目立つ。コンスックは下がりながら冷静に細かいパンチを入れていく展開で、終始、コンスックの良いところが目立った。
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セミファイナルに出場したテーンヌン・フェアテックスはタイファイトを主戦場に、ミドル級以上の重量級で通算101勝14敗4分の戦績を残している32歳。2019年から、今回のONE登場までに32連勝を飾っている、タイファイトのスター選手である。グローブの代わりに拳に紐を巻く、カーチュアクの試合も慣れている。一方のドミトリー・メンシコフは通算30勝3敗1分、ONEでは3勝3KO1敗の戦績。初戦の相手としては、なかなかの強豪だが、テーンヌンのタイファイトの殆どは外国人選手との対戦で、ロシア人ファイターとの対戦も苦にしないだろうと思われた。
ONEライト級(77.1キロ)3回戦で行われたこの試合は、初回2分過ぎにドミトリーの右アッパーからの左フックでテーンヌンがダウンし、レフェリーが即ストップする失神KO負け。KOシーンまではテーンヌンもパンチをよく見ており、ドミトリーを慎重に攻めていこうというところだった。連勝を32で止められると共に生涯初の失神KOを喰らう結果となった。
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この日、第5試合に出場したベロ・ニカもテーンヌンと同じくタイファイトからのONE転向初戦となった。彼女はミャンマー出身の28歳で、アマチュアボクシングミャンマー代表からミャンマラウェーに転向して活躍し、日本でも2017年のラウェーグランプリジャパンなどで3戦している。2019年のミャンマー最優秀女子選手にも選ばれた。2020年にタイに移住し、プーケットのタイガームエタイジムをベースに選手活動を行い、タイファイトではカーチュアク(拳に紐を巻くムエタイ)のトーナメントで二度優勝を果たしている。ムエタイでは18勝2敗の戦績で、ラウェイ戦績は9勝(9KO)1敗8ドロー(KO決着以外ドロー)となっている。ONEのデビュー戦の対戦相手はチリの25歳、フランシスカ・ベラで、これまでONEでは2勝3敗、RWSにも出場経験(判定勝ち)があり、通算では22勝6敗の戦績を残している。
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試合はONEアトム級(52キロ)3回戦で行われた。初回からお互いパンチが届く中間距離での激しい攻防、ベラのパンチを被弾するも、よく見て芯は外しているベロ。強烈な右フックを逆にベラにクリーンヒットさせる。
2回になるとベラの圧力が増し、ワンツーからの左縦ヒジ、左ヒザでミャンマー人を攻め立てる。ラウンド終盤はワンツーから左ヒザと、左右ヒジと、次々とクリーンヒットさせ、ベロを後退させ、ロープ際に詰めて左右ヒザをボディに決めるなど、ベラの独壇場となる。ベロの反撃もパワーが感じられない。
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インターバルで少し回復したのか、3回は、ベロがラウンド開始からワンツーからのボディー打ちで攻める。ベラも応戦していくが、2回のように一方的な攻撃はできない。ベラは前に出るが、逆にミャンマー人のワンツーを喰らってしまう。ベラが距離を詰めてのヒザ攻撃を仕掛けて、ベロの勢いも少し止まる。3ラウンドを戦い抜き、判定はベラ。
ONE転向の初戦を白星で飾れなかったベロだが、終始激しいファイトにパフォーマンスボーナス35万バーツ(約158万円)を獲得した。他のリング(RWS、タイファイト)で実績のある3選手が初参戦でいずれも敗退と、ONEの洗礼を浴びる結果となった。
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※ベロ対ベラ動画(タイ以外の国で視聴できない場合あり)
※ONEチャンピオンシップはテレビ観戦、写真はYoutubeなど各試合映像から撮影。