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シーサケット次戦はアマ世界選手権銀メダリストのウィティチャイ~8月30日のNKLボクシングなど

プロボクシング元WBC世界スーパーフライ級王者のシーサケット・ナコンルアンプロモーションの次戦は、アマチュア世界選手権銀メダリストの、ウィティチャイ・ウラチャイに決定、8月30日のバンコク、ラチャダーピセークのバザールホテルで行われる、NKLボクシングでの一戦となる。

シーサケットは今年37歳を迎えた元世界王者で、かつてはローマン・ゴンザレス(ニカラグア)、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)とアメリカで対戦して、勝利を収めるなど世界のボクシングファンには近年、最も知られたタイ人ボクサーでもある。

しかしながらエストラーダとの再戦に敗れて王座を失ってからは、すでに5年が経過している。2年前のWBC王座挑戦ではバム・ロドリゲス(アメリカ)に8ラウンドKO負け、ロドリゲス戦以降、格下選手を相手に6連勝しているが往年の力は落ちてきているように思われる。

今回の相手、ウィティチャイは2021年にセルビアで行われたアマ世界選手権の48キロ級で銀メダルに輝いたアマチュアのビッグネーム。タイ陸軍所属のアマ選手としてパリオリンピックを目指していたが、昨年のシーゲーム(アセアンのスポーツ大会)で準決勝で同じタイ人のナッタフォンに敗れ、オリンピック出場はならなかった。

タイ人選手のアマ世界選手権の決勝出場者は、
ウィティチャイで4人目

今年6月にプロ転向し、30歳でのデビュー戦で、バンタム級6回戦に判定勝ちしたウィティチャイだったが、プロモーター側は2戦目の相手にナワポン・ナコンルアンプロモーションを指名した。ナワポンは年末に日本で比嘉大吾にKO負けしてから再起3戦目、ナコンルアンプロモーションのスチャート氏は「所属選手同士の対決となるが、勝ったほうが世界へ行くサバイバルマッチ」と、この試合の位置付けを説明した。

60勝4敗1分のナワポンも、期待の選手・ウィティチャイとの試合で、厳しい試合になるかと思われたが、7月のNKLボクシングで行われたこの試合、スーパーバンタム級のナワポンの体格差がウィチャイを苦しめて、3人のジャッジがフルマーク(60‐54)でナワポンの判定勝ちにスコアカードを付けた。ウィティチャイのパンチは多彩で、各所でテクニックも魅せたがパワーで押し切られた。

122ポンド(スーパーバンタム)で行われたこの試合、小柄なウィチャイには厳しい条件

生き残ったナワポンは、ジェイソン・モロニー、アストロラビオ、比嘉と世界戦線ではことごとく負けてきたが、ここで踏みとどまった。負けたウィチャイは、ナワポン戦から1か月のスパンで、リング登場が決まった。

プロ1勝1敗のウィティチャイは今度は、元世界王者で56勝6敗1分のシーサケットに挑むこととなった。またも同じナコンルアンの選手同士の対戦となるが、ウィティチャイは世界クラスの選手が対戦相手としても、2連敗となれば、早くもプロから撤退となるだろう。シーサケットは、格の違いを見せて、プロの厳しさを伝えたいところだろう。

↓ ↓ ナワポン対ウィティチャイ動画(タイ国外で視聴制限が掛かる場合もあり)

8月30日のNKLボクシングのメインカードはWBCアジアスーパーバンタム級タイトルマッチで、チャンピオンのポンサポン・パンヤクンがインドのライディンリアナと対戦する。ライディンリアナは、前王者のチャイノイが昨年対戦し、手こずった相手で、これまで5勝(4KO)1敗の戦績である。

ポンサポン対ライディンリアナ。インドボクサーは、最近、タイによく登場。

サム・グッドマン(オーストラリア)に敗退したチャイノイ・ウォラウットからWBCアジア王座を継承したポンサポンは、これまで25勝(11KO)2敗で、パンチはチャイノイほどないものの、長身を活かしたアウトボクシングが売りで、懐が深く崩しにくい。新人時代には、8月12日に名古屋で畑中建人に勝利し、WBOアジア太平洋王座を獲得したタナンチャイ・チャルンプックを判定で下している。タナンチャイはポンサポン戦が唯一の敗戦となっている。(25勝(15KO)1敗)

名古屋で大きな星をあげたタナンチャイ

そのタナンチャイ、日本で勝利したことでタイでも大きく取り上げられている。ナコンルアンプロモーションの選手は、ナワポン、ダナイ、アピチェートと主力選手がことごとく日本で敗北しており、日本のリングは高い壁となっている。今後のタナンチャイの動向にも注目していきたいところ。

ナコンルアン所属選手ではないが、最近の話題では、元WBAアジアスーパーライト級王者のセンアーティット・ルークサイゴンディンのアメリカ進出第一戦がようやく実現する。昨年8月のドバイでの防衛戦後、所属のギャラクシープロモーションとの契約を破棄したセンアーティット、以降、1年間のブランクを作ったが、ボクシンググローブメーカーのYOKKAOのサポートの元、9月6日にアメリカ・オーランドで8回戦に出場する。対戦相手は未定となっている。

センアーティット(右)がようやくリング復帰、これまで19戦全勝。右はロッタン。

センアーティットはムエタイ大家族で知られるルークサイゴンディン兄弟の14番目である。ONEの世界王者、ロッタン・ジットムンノンの妻のアイダはセンアーティットの姉にあたり、ロッタンは義理の兄となる。スーパーライト級のセンアーティットがアメリカで通用するのかどうかも引き続き、追っていきたい。


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