熱戦が続くMBKファイトナイト、5月31日大会で、YOSHI・ROMPOGYM(大浦孝高) がKO勝ち。
バンコクのサイアム地域にある、ショッピングセンター・MBK(マーブンクロン)でのムエタイ定期興行、MBKセンターファイトナイトは、現在、月に2回のペースで開催されている。
このイベントはコロナ渦で定期開催はしばらく中断していたものの、昨年末より再開の運びとなった。イベントは第1、第4水曜日の夕方17時から20時にかけて行われるが、MBKショッピングセンターや、昨年より新しくオープンしたドンキホーテMBKセンター店への集客が目的とするためもあり、入場料は無料となっている。
イベントはMBKのラマ1世通りに面した1階入り口付近の特設リングで行われているが、屋外ながら、ちょうど屋根もあり、タイの雨季の大雨にも安心して観戦できる。
バンコクの外国人観光客も増えてきた中で行われた、5月31日のMBKファイトナイトも、やはり外国人の観客が目立っていた。メインイベント時には立ち見を含め200~300人の観客がリングを取り囲んでいた。
この日に組まれた試合は6試合で、メインイベントでは日本人選手、YOSHI ROMPO GYMこと、大浦孝高が出場した。大浦はタイ在住の日本人選手で、会社経営の傍ら、足掛け10年に渡って、年に2,3回の試合をこなし続けているベテラン選手で今年41歳を迎えた。
大浦はかつては、テレビの人気ムエタイシリーズ・MX MUAY XTREME でMMAグローブムエタイの試合に挑んだり、ルンピニースタジアムのリングにも上がった経験もある。コロナ渦でキャリアが中断されていたが、昨年11月にスクンビット地域で行われている定期イベント、KRUDAM FIGHTへの参戦で戦線復帰となった。この試合でもブランクを感じさせない安定感を見せて、日本人対決に判定勝ちを収めていた。
そして今回の大浦の対戦相手は、タイ人のサタパット・ラオチャエムで、こちらも30代のベテラン選手。ネットの情報では古式ムエタイの指導員としても活動しているそう。左腕に入ったタトゥーも迫力を感じさせる。
また、この日の第4試合では、タイの人気格闘系YOUTUBERのMR.FIGHTチャンネルのチームから、メーサン・MR.FIGHTが出場し、国際式ボクシングの試合を行った。
MR.FIGHTチャンネルではストリートファイト、地下格闘技を扱っているものが多いが、メーサンは、素手ボクシング”ベアナックルファイト”の選手でもある。
これまでメーサンは、ベアナックルファイトの団体、BKFCタイランドや、BKBタイランドのイベントで勝利を収めてきた。著者はBKFCでのメーサンの試合を二回、生観戦したことがあるので、今回もも注目していた。
ベアナックルファイトでは、下手をすると拳を壊してしまうため、一撃必殺の単発攻撃で、少し腰が引けた手数が少ないスタイルでの戦いが多い。
そんなメーサンのグローブを装着したボクシングの試合は、やはりベアナックルの癖が抜けないファイトスタイルで、初回からジャブも少なく一撃を狙う。対戦相手のハンサック選手も元々ボクサーではないように見える。初回開始当初からメーサンのスタイルに付き合う。
そして第2ラウンド、メーサンが集中してボディを攻撃するとハンサックはあっさりダウンし、そのままKO負けとなった。
第3試合のイギリス人ファイター・ジョーダン対タイのファーカムラム戦のスーパーミドル級(76キロ)のムエタイマッチは、両者白熱した戦いぶりで会場を盛り上げた他、女子ムエタイの2試合もあり、なかなか見ごたえのある興行となった。
そしてメインイベント、リングアナウンサーが選手入場から観客を煽り、場内が盛り上がる。70キロの契約体重の為、二人共体格が大きく、迫力ある試合が繰り広げられる予感がする。試合の前の”ワイクルー”は、大浦はもう慣れたもので、日本人が踊っているという違和感がない。
試合開始ゴングが鳴ると、前蹴りからヒジ、首相撲の応戦、組み合った状態からのヒジ、そして離れてからのヒジと、クリーンヒットはないが、ややサラパットが有利か。大浦も中間距離からパンチ、ローキック、ミドルキックと攻撃を仕掛けるがサラパットに避けられるという展開が続く。
初回が終わったインターバル、大浦チームのトレーナー、ナワポンが大声でタイ語で大浦に指示する。会場で熱戦に沸き返る観客と同じく、陣営も熱くなっている様子だ。
そこに、観客席で観ていたロンポージム会長の神田氏がコーナーに上がり「大浦さん、いいよ!ボディ、狙って行って」と日本語でひと言、ふた言声を掛ける。
サラパットは古式ムエタイ指導員をやっているだけあり、なかなかのテクニシャンで、初回は著者の採点もサラパット。3回戦で行われたこの試合、初回を取られると、2回、3回と続けて取らないと大浦の勝ちはない。
2回は、初回よりも大浦の動きが良くなってきた。サラパットのパンチやヒジも当たる感じがなくなってきている。サラパットは前蹴りで応戦し、ラウンド中盤以降お互い攻撃の圧を強め、大浦が前に出てボディや顔面にパンチをまとめる。
そしてサラパットも前に出て打ち合いとなる中、大浦の右肘が、サラパットの顎をかすめ、そのまま連打をまとめるとサラパットは座り込んだ。なんとか立ち上がったものの、レフェリーは続行を許さず、大浦のKO勝ちが告げられた。
試合後は、応援に駆け付けた日本人の友人が大浦を取り囲み、しばらく写真撮影を行って、勝利の喜びを分かち合っていた。今回のMBKファイトナイトでのKO勝ちは、多くの観客を魅せる内容であり、また主催者側から声が掛かるのではないかと思う。大浦の次戦はまたMBKになるかどうかは不明だが、今回同様の熱いファイトを期待したい。
そして、次回のMBK FIGHT NIGHT 6月7日大会においては、日本から長期修行にロンポージムにやってきたムエタイ少年、悠馬(YUMA ROMPO GYM)が出場を予定している。
悠馬は、MBKファイトナイト・4月26日大会においてもタイ人選手を相手に判定勝ちを飾っている。悠馬の戦いぶりも評判が良く、2カ月のスパンでのMBK再登場となる。
このMBKファイトナイトだが、時々、ロンポージムから日本人選手の出場もあったり、またメーサンのような異色ファイターの試合も組まれたりと毎回見どころが多く、観光でタイに訪れる方にも観戦をお勧めしたい。
大浦や悠馬が練習しているロンポージムは日本人在住エリアのスクンビットから近い、ラマ4世通りにある。日本人在住者や、日本人旅行者のムエタイ・ボクシング練習も受け付けている。初心者も歓迎とのこと。
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