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タナンチャイ、ロドリゲスがKO勝利、リッテワダは判定勝ち~RWSスーパーウェルター級トーナメント’24➁

バンコクのラジャダムヌンスタジアムで8月31日に行われたRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)興行では、スーパーウェルター級トーナメントの第二戦が行われ、ダニエル・ロドリゲス(ドミニカ、スイス)、タナンチャイ・シットソーンピーノン、リッテワダ・ペットインディーアカデミーなどの注目選手が出場、それぞれ3回戦を戦ったが、ノックアウト決着が続き、会場を盛り上げた。※3回戦=3分3ラウンド(男子)

現在RWSでは、’2024トーナメントを5階級で開催しており、各階級の8人の上位選手がA、Bと二つのグループに分かれ、グループ内で総当たりの第一ステージを6月から10月に掛けて戦う。第二ステージは11月から行われるが、A、B各グループの上位二名が進出し、四人での勝ち抜きトーナメントとなる。

第一ステージはポイント制で、判定勝ちで3ポイント、初回KO勝ちは6ポイント、2回KOは5ポイント、3回KOで4ポイント、引き分けは1ポイント。3試合の合計ポイントを競う。A、B各グループ上位2名がファイナル4(第2ステージ)に進出する。

上記リンクは、7月27日のスーパーウェルター級トーナメント第一戦の観戦レポート。8月31日の第二戦の各試合のレポートは次の通り。Youtube 動画はタイ国外では視聴が制限されている場合もある。


タナンチャイ対パベル

スーパーウェルター級(69キロ)の180センチを超えるような、大きな選手がファイトすることで、迫力は満点。この日トーナメントの第1試合に出場したタナンチャイは身長は185センチ、ダイナミックな攻撃が持ち味である。7月27日のトーナメント初戦は、優勝候補で現ラジャ王者のダニエル・ロドリゲスに判定負け。この日は初戦でレザ・ヴェノムムエタイをKOで下したパベル・リシャノビッチ(ベラルーシ)と対戦した。最新のラジャダムヌンスタジアムのランキングでは、タナンチャイがスーパーウェルター級1位にランクされ、パベルが2位となっている。

昨年度のRWS同級トーナメント優勝者であるタナンチャイ
前戦でレザを破ったパベルだったが、タナンチャイには力負け
タナンチャイの豪快なKO

第1ラウンドは長い腕から繰り出される豪快なストレート、アッパーに加えて、ヒザ攻撃、また首相撲も使い、タナンチャイがアグレッシブに試合を進める。パベルも打ち合い、対応していくが、地力の違いが見て取れる。1ラウンドで相当削られたパベルは2ラウンドに打開を試みたのか、バックサイドエルボーを打つも、振り返った瞬間に顔面に右ストレートを打ち込まれ、KOされた。


ロドリゲス対ラシシンハ

続いてリングに登場したのは現ラジャダムヌンスタジアム認定同級王者のダニエル・ロドリゲス。レザ・ヴェノムムエタイがパベルにKO負けしたダメージが抜けずにトーナメントを離脱、ラシシンハ・アヨタヤファイトジムが代わりに参戦し、この日ロドリゲスと対戦した。ラシシンハは61勝30敗と負け数は多いがキャリアは充分、ラジャのランキングも8位となっている。

ロドリゲスは2022年RWSトーナメントで優勝、2023年のトーナメントではヨーウィチャに初黒星
レザの代わりに急遽出場のラシシンハ

第1ラウンド開始時から、サウスポーのロドリゲスの右ジャブがよく当たり、またフットワークも軽やか。右フック、左ストレート、左ローキックにミドルキックと惚れ惚れするようなロドリゲスの攻撃である。無傷のまま41連勝を達成し、現在は43勝1敗と高い勝率を誇る。

主導権は常にロドリゲス

ラウンド序盤はロドリゲス動きに対応できていたラシシンハも、ロドリゲスの圧倒的な攻撃力に、ラウンド終盤になるとパンチをまともに食うようになってくる。第1ラウンドのパンチの被弾はロドリゲスの7発に対し、ラシシンハ35発だった。第2ラウンドもロドリゲスがプレッシャーを掛けていく。ロドリゲスが1分過ぎに右フックをラシシンハの左顎に打ち込むと、その一撃でラシシンハは大の字となり、試合終了。

一撃で大の字となったラシシンハ


ガブリエル対ルスラン

初戦でペッチマイと引き分けたガブリエル・ペレイラ(ブラジル)とリッテワダに初回に沈められたルスラン・ナガエフ(アゼルバイジャン)の組み合わせ。

これまで28勝10敗2分の戦績のガブリエル
ルスランは16勝4敗

ランキングはガブリエルは6位、ルスランは11位と、ガブリエルが上位であり、また前戦ドローのガブリエル有利に思われたが、ルスランが2ラウンドにパンチで3度のダウンを奪いKO勝ち。ガブリエルは初回、組み合った際にルスランの後頭部にヒジを何度も打ち込み、非常に危ない。減点もなく、レフェリーの注意も甘く感じた。

立て続けにパンチで3度ダウンを奪い、決着


リッテワダ対ペッチマイ

トーナメント4試合目は、第一戦で衝撃の初回KO劇を見せたリッテワダとミドル級で現王者ジョー・ライアンと王座決定戦を戦ったペッチマイの組み合わせ。ペッチマイは今年2月のRWS JAPANにも出場し、マイク・ジョーに判定勝ちしている。リッテワダはアマチュアボクシングのタイ代表チーム選ばれたことがあるが、ペッチマイもプロボクシングで地域王座・ABFスーパーミドル級王座を獲得し、6勝(2KO)3敗の戦績を残している。ボクサー対決とも言えるこの試合、興味はリッテワダの連続KOなるかというところだが、上の階級から来て、キャリアがあるペッチマイは侮れない。

”ソムタムエンジェル”リッテワダは、87勝16敗5分
ペッチマイはこれまで、ムエタイ75勝22敗3分(プロボクシング6勝3敗)

リング上で向かい合うと、ウェルター級から上がってきたリッテワダのほうが身体が大きく見える。試合は、迫力あるパンチやキックが交差するが、どちらも決定打はない。リッテワダの連続攻撃を、うまくかわずペッチマイ、時々危険なタイミングでパンチを放つ。よりアグレッシブなリッテワダに各ラウンドのポイントは流れていくが、互いのパンチやキックはギリギリで外され、分断される。最後まで良い意味での緊張感が漂っていたこの試合、リッテワダが3-0で判定勝ちを収めた。

リッテワダの連続KO勝ちはならず
ペッチマイは距離を縮めて攻撃を分断

第二戦が終了して、Aグループではロドリゲス、Bグループではリッテワダがトップ。第三戦は10月5日に行われ、リッテワダはガブリエルと戦う。タナンチャイはラシシンハ、ロドリゲスはパヴェルと対戦する。最終的には、Aグループは1位にロドリゲスは間違いなく、2位にタナンチャイが入る可能性が高い。Bグループはリッテワダとルスランの勝ち上がりが濃厚か。

第一ステージの2戦目終了時のポイント表

※Workpoint TV、Youtubeでの観戦、写真はRWSのYoutube映像から ( photos from RWS Youtube channel ) 

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