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タイ最凶ボクサーに突撃・後編 元アジア王者コントゥアラーイ

サワディーカップ

タイ在住ボクシングファン代表のオダサイです。

2回に分けて紹介しています、タイ最凶ボクサー・コントゥアラーイ選手インタビューの後編です。 前編はこちら ↓↓↓

刑務所から出所して、プロボクサーとなったチャランポン・シンワンチャーことコントゥアラーイは、連勝を続け、ABFアジア王者になりました。

しかしながら減量苦もあり、17戦全勝のレコードのまま、ABFウェルター級王座は返上してミドル級に転向することにしました。

ミドル級の初戦はシンガポール、相手はウズベキスタンのアジズベク選手でした。気合を入れて臨んだ試合ですが、コントゥアラーイは1ラウンドでKO負けしてしまいます。

「ずっとウェルターでやって来ただから、一気にウェイトが上がり、ミドル級のパンチが信じられないくらいに効いた。いや、効いたというより、試合のことは全く覚えていない」と言います。

シンガポール遠征には、同じくナリスプロモーターのサポートを受ける、元世界王者のシリモンコンさんも同行しましたが、KO負けした後、コントゥアラーイはシリモンコンさんに「オレの試合はまだか?」と聞いたそうです。

「お前、さっきKOされただろう!」とシリモンコンさんにKOシーンの動画を見せられて驚いたそうです。

この試合の後もミドル級、またはそれ以上の階級で戦いを続けます。ミドル級超の選手は、タイでも非常に少ない為、海外遠征が多くなりました。

シンガポールのKO負けを含め、17連勝から一気に5連敗を喫しますが、キャリアを重ねて重量級のパンチにも慣れ、戦い方も覚えていったそうです。

そして、ボクシングと並行して、声が掛かればムエタイのリングにも上がってきました。

私も一度、2019年に彼の試合を生で観戦したことがありますが、ボクシングではなく、MMAグローブを使ったムエタイマッチでした。

ショーアップされた会場で、身体の大きな、欧米人選手が相手に3ラウンド判定勝ちを収めていました。

時折、笑顔を浮かべながら殴り、また殴られても「効いていない」というように笑うので、全身のタトゥーと合わせて強烈な印象を残しました。

その試合を会場で偶然見て、コントゥアラーイは非常に大きな身体のように思っていましたが、実際にインタビューで会うと、170センチほどで、それほど身長はありません。

現在は、ほぼ減量なしで試合に出場するそうです。

インタビュー時に決まっていた次戦(2022年2月19日)については、なんと88キロ契約のオーストラリア選手とのムエタイマッチですが、この試合もライトヘビーの79キロには満たない体重で出場するそうです。

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FIGHTER Xでのクルーザー級戦

「75もない時もそのまま試合に出るし、刑務所の試合だってそうだった」と語ります。

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MX XTREMEの会場

話は戻りますが、刑務所の試合の計量は、自己申告など、大体でやってたそうです。79キロ級で優勝した際も、とても79キロはなかったそうです。

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ウェルター級からミドル級、またそれ以上の階級に戦場を替えたコントゥアライ、2019年に大きなチャンスがやってきます。

敵地、パプアニューギニアでのWBCアジアタイトルマッチです。この試合で、地元期待のジョン・コラケ選手に10回判定勝ちし、ライトヘビー級でアジアチャンピオンに輝きました。

その後、同じタイ人で世界戦も経験したティーラチャイ選手のWBAアジアライトヘビー級タイトルマッチに挑むチャンスが訪れました。

当時のタイ重量級ボクシングは、ティーラチャイ、コントゥアライ、そして元世界王者シリモンコンさんの3人がビッグ3でした。

コントゥアラーイはティーラチャイに惜しくも判定負けします。そして、更なるチャンスを求めて、昨年12月にはロシアにも遠征しましたが、3回KO負けを喫しました。

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コントゥアラーイは、既に40歳を超えて、疲労が抜けにくくなったと言いますが、まだまだ現役を続け、声が掛かれば、ボクシングでもムエタイでも戦うとします。

「40前までは、試合の後3日間休めば回復したが、今は1週間掛かる」そうですが、しばらくはリタイアするつもりはないようです。

また、イギリス映画・暁に祈れ(A Prayer Before Dawn)へ俳優として出演するなど、リングの外でも活躍の場を広げています。

「暁に祈れ」は日本でもDVDなどで観ることができますが、コントゥアラーイは彼のニックネームである「エム」役として、囚人ボクサーを演じています。

タイの刑務所での実際のエピソードも多く使用された映画ですので、この記事を読んで興味を持った方はチェックしてみてください。

「ムエタイもボクシングもどちらも同じくらい好き。刑務所から出て更生するきっかけにもなり、人生に力を与えてくれた」とムエタイ、ボクシングへの感謝を述べるコントゥアライですが、現在は、バンコクのプラチャーウットで自身のジム「JM BOXING GYM」を構え、3人のトレーナーと共に地域の練習生を指導しています。

ボクシング・ムエタイ指導者としての「エム」さんですが、訪問時に幼い3歳ほどのお子さんと若い女性の親子の練習を優しく指導していました。

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すっかり優しい顔になった”エム”

丁寧に親子のそれぞれの拳にバンテージを巻いてあげる姿が印象的で、インタビュー前に想像していた「とんでもないワルで、怖い人」というイメージは薄れました。

今後のコントゥアラーイ・JMボクシングジムの選手活動や、その他リング外の活動にも注目していきたいと思います。

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著者とコントゥアラーイ、今回の取材アシスタントを勤めたオフ君

MMAグローブのムエタイマッチ(MX XTREME)試合映像

暁に祈れ(A Prayer Before Dawn)の予告編


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