ガン闘病中の父と40年ぶりに親子キャンプに行く
友人から喪中はがきが届いた。
もうそんな季節か。今年ももうすぐ終わる。
LINEをしてみた。お父さんが今年ガンで亡くなられたようだ。
私の父もガンで闘病中だということを伝えると、「今の時間を大切にね」と言ってくれた。
私にはお気に入りの場所がある。
熊本県阿蘇郡小国町。
小国は、阿蘇山や九重連山が望め、黒川温泉などの温泉、キャンプ場なんかがたくさんある。また、やまなみハイウェイという絶景が連続する道路もあって、バイク乗りの方も多く集まる。
ここ4年くらい、毎年必ず小国にキャンプに行っている。そして、毎回必ず立ち寄るのが、「水源」だ。水源は文字どおり川なんかが「流れ出るもと」で、そこに水をくみに行く。
よく行くのが小国町の近くの産山村にある「池山水源」だ。駐車場に車を止めて、川に沿って歩いていくと、だんだん森になっていく。木々の先には池があって、こんこんと水が湧き出ているのが見えてくる。静かで美しい。しかも、ねこもいて、無意識でリラックスできる。
スピリチュアル的なものに興味はないが、ここは間違いなく自分にとってのパワースポット、癒しの空間だろう。
水くみ場で水をくんでからキャンプ場へ行く。テントを立て終わると、くんできた水でコーヒーを淹れて飲む。夜は焚火をして、その水でお湯を沸かしてごはんをつくる。そして、焼酎のお湯割りなんかも飲む。
「やってる感」MAXだ (=^・^=)
私が小国や水源が好きなのは、小学生のころの家族旅行が影響していると思う。家族で何度も行った場所だからだ。
旅行には毎年つれていってもらった。海も行ったが山が多かった。山登りをしたり、キャンプをしたり。
だから、小国の山や水源は自分にとっては「原風景」なんだと思う。今でも行くたびにワクワクする。「相性のいい土地」と言ってもいいのかもしれない。
今年、子どもが生まれた。子育てをしてみて、親の大変さやありがたさが身に染みてわかった。両親に感謝することはいろいろだが、旅行につれていってくれたことは、本当にありがたいと思っている。
父は今、ガンで闘病中だ。抗がん剤治療をしているせいか、髪の毛は抜け、痩せて体もだんだん小さくなってきているように見える。
検査の数値はだんだん悪化していて、「終わり」を意識するようになった。父との残りの時間をどう過ごそう…
キャンプに誘ってみようか。
また山に行って、水源に行って、水をくんで、焚火して料理をつくる。父はロープの結び方とか、火の起こし方とかに厳しいから、いろいろダメ出しされるかもしれないけど、それでもいい。
40年前に一緒に見た景色を、もういちど見る最後のチャンスかもしれない。