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手段は一緒に考えるから実現したいことで相談してくれ
動画内に注釈を入れるという解決策が万能だと思われて、「言い忘れたけど本当は言いたかった」みたいな内容まで、「注釈に入れてくれ」という依頼がくるようになった。
私は「それを注釈でやるのは手段として妥当ではない」と言って断る。
注釈は積極的に読んでもらうためのものではない。何か別のところに落ち度があった場合に、そこを突いてくる人に対して「ほら、書いてるでしょ」と防御する意味合いが強い。
回避したい危害にもよるけれど、読めるように書いてさえあれば役目は果たしているのが注釈。
あまり注釈を乱発すると、本筋として伝えたいメッセージに対してノイズになるので、目立たせようとはしないし、書く内容も本当に必要なものに限定すべきだと考えている。
このような意図からお断りした。
ドリルではなく穴が欲しい話
マーケティング界隈の名言っぽいのを拝借するに、顧客は自分の欲しいものを理解していない。
消費者だけの話ではなくて、商品を生み出す過程の制作依頼者もまた、欲しいものを理解していない。欲しいものに対して、間違った手段で指定してしまうことがある。
間違った手段をリクエストされると、私は速攻で断る。「伝えたい」ことがあったとして、その手段として「ついでに頼んだら入れてくれそう」で盛り込むのは、筋が通らない。
そんなに大切なことであれば、まずは商品サイトに書いてある状態にするのが先決。購買行動の接点を見直して、知りたい人が情報を辿れるような、全体的な視点で仕事をするべきだと考えている。
まだ訴求できていない訴求点があるならば、その主張を中心に据えた引きのあるコンテンツを新たに制作すべきだ。特に最近のショート動画は、1本1メッセージが定石なので、情報を盛り込んだところで受け取ってくれない。
実現したいことで相談してくれ
ドリルを求める人、注釈を求める人は、目的と手段を分けて考える発想が無いため、別の手段があることに思い至らない。
そのような発想ができるようになるためには、具体・抽象を行き来するような思考を身に付けなければならない。
人のこと非難できないところもある。忙しかったら「その手段は適当でない」で断る私も、想像力が足りてはいない。
「ええから黙ってやっとけ」と、背景説明を省略されるの気に食わないから、断っているのもある。食い下がられると、要求を掘り返すような働きかけをする。
本来、何か実現したいこと(目的)があって、それを表現(手段)に落とし込むことで実現できる。別の表現を見出す頃には、大体の場合は仕事が増えるんだけど、良い制作に繋がるならば納得はできる。
手段は一緒に考えるから実現したいことで相談してくれ。
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