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復帰プログラム 6

巡視が始まると、静かな教室内に緊張が漂っていた。まず、国語の授業では子どもたちがグループごとに語句の意味を調べる活動が進んでいたが、そこで私はふと考えた。この語句の意味、果たして全員が調べる必要があるのだろうか? もしすでに意味を理解している子がいるなら、無理に調べさせることに意味はない。そう感じた私は、まず全員がその語句の意味を知っているかどうかを確認した。そして、わかっている場合は、すぐに板書やPCで正確な情報を共有し、時間を無駄にしないように工夫をした。

「調べ方にも工夫が必要だな」とつぶやく。語句をグループで分担し、後でクラス全体で共有する方法や、競争形式で調べた結果を発表するというアイデアが浮かんだ。こうすれば、児童の興味や積極性を引き出せるだろう。そんな期待が頭をよぎる。

次に、授業開始の遅れについて考えた。時間が遅れることの影響を子どもたちに伝えることは大切だ。「授業が遅れると、クラス全体にどう影響があるか、みんなわかるかな?」私はそう問いかけ、授業の大切さを理解させようと試みた。仲間に与える影響、クラス全体の進行にどう響くか――これらを具体的に示すことで、児童自身が授業の重要性に気づいてほしかった。

担任としての私の役割は、授業中に児童の成長を見逃さないこと。その姿勢を貫くことで、子どもたちも次第に授業の大切さを感じ取ってくれるだろう。そして、授業を通じて「学ぶことの楽しさ」を実感することで、クラス全体が積極的に授業に取り組むようになるはずだ。課題が明確に提示されていないと、児童は何をすべきか迷ってしまう。だからこそ、早い段階で課題の内容を明確にし、自信を持って取り組めるようにサポートすることが大切だと強く感じた。

特に算数は、集中力が必要な科目だ。45分という限られた時間をフルに活用し、児童に自信を持たせ、成長を実感させることが重要だと心に決めた。

次に、算数の授業参観が思い浮かんだ。教科書通りに進める場合、問題提示から始まり、前回との違いを確認し、続けて語句や技能の具体的な説明を行う。その後、ペアで問題を解決し、交流を通じて理解を深め、最後にまとめるという流れだ。このやり方は、児童がつまずきにくく、スムーズに技能を習得できるメリットがある。

しかし、私が進めた方法では少し違う。まず問題を提示し、前回との違いを強調しながら課題解決を促す。その後、ペアで意見を交換し、全体で共有することで児童の思考を引き出す時間を確保した。ただ、これだとつまずく子どもも増えるかもしれない。だからこそ、きめ細やかな巡視と適切なヒントが必要だと感じた。特に、つまずきが多い子どもには、技能の具体化を意識し、授業全体が円滑に進むように支援することが大切だと改めて思った。

教科書や指導要領が変わるたびに、授業の進め方に迷うことはある。しかし、児童の学びを最大限に引き出すために、常に最善の方法を模索し続けたいと心に誓った。

次に、音楽の授業を振り返る。今回は、拍とリズムの違いをしっかりと理解させることが目標だった。リズムがうまく取れない子には、「椅子を叩いてリズムを体で感じさせる」方法と、「楽譜を小節ごとに示してリズムを確認させる」方法の2つを使った。特に後者の方法では、何度も繰り返すことで子どもたちが自力でリズムを取れるようになった。その成果を目の当たりにしたとき、私は音楽の基礎を教えることの意義を強く感じた。

そして、児童支援のケース。落ち着かない子どもに対してどう対応するかが課題だった。教室が落ち着いた瞬間を見計らって声をかけ、「戻って来てね」と優しく促す。その結果、自然と教室に戻ってきてくれた。その後、テスト直しに集中できるようサポートし、問題をよく読み、次のステップに進めるよう自信をつけさせた。

別の先生から、質問を受けた。支援の方向性を見直すため、どうしたらよいかと。私はさらに考えを巡らせた。「何に対して不安を感じているのか? 何が苦手なのか?」その子どもの苦手意識が「文字を書くこと」にあると判明したとき、私は一層の支援を試みることにした。不安を解消するため、担任としてできる手立てを講じる。そして、成功した支援策とそうでなかった点を振り返りながら、支援の方向性を修正していく。最終的には、通級指導の担当者や保護者と情報を共有し、支援体制を強化していくことを目指した。

こうして、一日が終わるたびに、私は子どもたちの成長と向き合いながら、次の日の指導に向けての準備を進めていく。教室での一つ一つの瞬間が、私にとっても成長の糧なのだと実感していた。

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