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復帰プログラム 4

【管理職との懇談】

その日、管理職の方々との懇談は、以前とは違う広がりを感じさせた。初対面の緊張感が少しずつ和らぎ、私たちの対話は次第に深みを帯びていった。特に教材開発の話題になると、管理職の方々が児童の実態や現場の状況を丁寧に説明してくれることで、より実践的な視点で考えることができたのだ。教材はただ作るものではなく、双方の意見を持ち寄りながら、児童にとって最も効果的なものを探るプロセスが重要であると、彼らの言葉を通じて教えられた。その瞬間、私は「作る」という行為が教育そのものと同じくらいの重みを持つことに気づかされたのだった。

そして、対話にはエネルギーが必要だと再認識する。意見を交わすたびに自分の中の情熱が湧き上がり、管理職の方々の助言に真摯に耳を傾けた。懇談を終えた後、私はこれからもこのエネルギーを胸に、対話を大切にしていこうと決意を新たにした。

さらに、来週から始まる8時勤務についても話題に上がった。新しい生活リズムへの不安は隠しきれなかったが、それを乗り越えるための準備を着々と進めていることを伝えると、彼らも温かい励ましの言葉をくれた。

【巡視】

今回の巡視では、特に気になる児童への対応に心を砕いた。教室に足を踏み入れると、その児童が自発的に席に座る様子を静かに観察する。声をかけることをあえて避け、彼らがどのように動くかを見守った。来週からは、一歩踏み込んで声かけを試みようと思っている。そして、児童が自分でできたことを認め、成功体験を積ませてあげることで、彼らの自己肯定感を少しでも高められればと願う。

また、巡視の途中、特定の児童が私に対して微妙なアプローチを見せる場面があった。その瞬間、私の心に何かが響いた。彼らは声をかけてほしいのかもしれない。彼らの心理的なニーズを感じ取り、積極的に関わっていこうという決意が生まれた。

一方で、動けなくなってしまう児童もいた。彼らが抱える「いや」「くやしい」「はずかしい」といった複雑な感情に寄り添いながら、優しく声をかけたい。その感情の根源を見つめ、共感的な態度で接することで、彼らと一緒に解決策を探る。何ができるのか、どこまで進めるのか、その答えを一緒に見つけていきたい。

【授業に関して】

授業の中で、私が話し続けることを避けたいという思いが強くあった。言葉を少なくし、要点を短く伝える。そして、児童との対話を大切にすること。それが、彼らが主体的に学びに参加する環境を作る鍵だと感じていた。授業の進行中、時折質問を投げかけることで、児童が受け身にならず、自ら考える姿を引き出せるように工夫した。

考える場面では、具体的な「書き方、考え方のポイント」を提示し、静かに思索にふける時間を与えた。ノート作りを通して、彼らが自分の考えをより深めていけるようなサポートを心がける。授業の途中で「ここまでで困ったことはないか?」と問いかけることも忘れない。児童が抱える疑問や不安をその場で解消し、学びがスムーズに進むように努めた。

また、授業の中で重要なのは、児童が「教えてもらっている」という受動的な感覚ではなく、その学びを「自分のこと」として捉え、その意義を感じることができるようにサポートすることだ。学びの定着にとって、この意識は不可欠だと強く感じている。常にその意図を持って、授業をデザインしていきたい。

最後に、1対1のやり取りだけでなく、ペアやグループでの共同学習の機会を設けた。児童同士が意見を交わし、互いの考えを練り合う場面を作ることで、協働的な学びが深まることを願っている。彼らが一緒に学び、成長する姿を見守ることが、私の最大の喜びとなっている。

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