#0153 リース取引の貸借対照表計上を義務化~シュリンクする業界・今後何が求められるか~
こんにちは。釧路出身の小田原です。
本日、日本経済新聞から速報が飛び込んできました。
記事の内容は以下の通りです。
※chat GPTを活用して要約しています。
2027年度から、日本で新たな会計ルールが導入され、リース取引を通じた資産と負債を貸借対照表に計上することが義務づけられる。
このルールは、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準に合わせるもので、企業の財務状況がより透明になると期待される。
新しいルールは、上場企業1400社以上に影響を与え、これらの企業では資産と負債の増加(資産・負債がそれぞれ計約18兆円増える見込み)が見込まれる。
企業は、この新ルールに基づく財務状況の変化について、投資家に対して丁寧な説明が求められる。
現在の国際会計基準や米国会計基準では、すでに同様のルールが義務づけられている。
また、「ファイナンスリースを貸借対照表に計上することを決めた2008年の改正時にはリース利用を見直す企業が増えた。金融危機の影響も相まって国内のリース取扱高は07年度の7兆円台から09年度には4兆円台に減った。」ともあり、ますます業界はシュリンクしていくと思われます。
このニュースを踏まえての影響について考えてみると、業界再編、新たなソリューション開発、求められるサービス水準の高度化といったことがあげられるなと思いました。それぞれの企業、業界に身を置く個人含めて、ここでも弱者の戦略が求められる気がします。
○業界再編が進む
真っ先に頭に浮かんだのは、業界再編です。
この可能性は十分にあります。
リース会計基準の厳格化や市場の変化により、以下のような要因が業界再編を促すのではないかと考えます。
規模の経済の追求: リース会社のビジネスモデルは、銀行や投資家から借金または社債を発行して引き受けてもらい資金調達をし、その資金で資産を取得して企業にリースするというのが基本です。少ない自己資本で如何に有利な条件で資金調達をするかが鍵になってくるので、金利上昇圧力のかかる今の金融環境では、規模の小さいリース会社は、資金調達に苦しむ可能性があり、経営が厳しくなる可能性があります。その結果、これらの小規模企業は大手に吸収されるか、合併を通じて規模の経済を追求する動きが加速するかもしれません。
サービスの多様化・専門化: 新しいファイナンスソリューションを開発するためには、リソースの集中や専門性が求められます。ここで規模の小さなリース会社は「弱者の戦略」が求められると思います。特定のニッチ市場(公民連携もその一つ)、特定の技術や業界に特化して競争力を強化する必要があります。
資本の再配分: 大手金融機関や投資ファンドが、リース業界の成長性を再評価し、業界再編の一環として戦略的なM&A(合併・買収)を進めることが考えられます。
これらの要素が組み合わさることで、業界再編が加速する可能性が高いのではないでしょうか。
○経営戦略を支えるパートナー
2008年の改正時かIFRS導入の議論が流行った時期かと思いますが、「ジョイントオペレーション」というスキームも登場しました。
果たしてこれをリースと呼ぶのかという議論もありましたが、リース取引のオンバランスを嫌う企業は多いので、こうした手法を開発してリース会社が生き残りをかけるというのも有り得ると思います。
また、サステナビリティを取り入れたリース契約(例:グリーンリースやサステナブルリース)なども一案です。
これにより、リース業界は単なるファイナンス手段を提供する「業者」から脱却し、企業の経営戦略やサステナビリティ戦略を支えるパートナーとしての役割を求められると思います。
こうした傾向は、単に資金需要に応えるたけでなく、付加価値提案を求められる銀行の法人営業にも同様のことが言えるのでないでしょうか。
これから金利のある世界に進む空気が漂う金融業界。
ぬべーっと過ごしていてはいけません。
ここでも弱者は弱者なりに勝てる場を求めて戦っていかなくてはいけません。
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