俺は好き
俺は好き
会話が途切れたほんのわずかな隙間に、脈絡もなしに唐突にぶち込まれてきた言葉。
好きだと言う言葉がこんなに素直に響いたのは久しぶり。
好き
あったかいな この音
否定からじゃなく肯定から入りたい。何に対しても…
こんなことも言ってた…
何にでもYES以外の気持ちを持ってくれたらと過ごしてきたことが見事に裏目に出たような言葉に、ほんの少し悲しくもなった。
すぐにYESと言わないこと、それは即否定ではないのだけどな。
そんな時に聞こえた すき の音
ゆっくりと蜜が溶けてゆくような温もりと嬉しさを抑え、ただ
そう
とだけ返した。
たくさんある言葉の中で最強じゃないかと思う。
たった二文字の すき って響き
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先日帰省していた息子の口から、推しの名前が出た。
そして
好きだ と
え?
うそ?
狂喜乱舞したい気持ちを抑え、やばい奴になったと思われないように彼の話を聞き、務めて淡々と話した。
言葉の選び方や表現の仕方、物事の見方、切り取り方が好きだという。
そだね、すごく真っすぐな人だと思う と心の中で呟き、あんな時、こんな時のさりげない仕草とか、笑い方に話し方、そこに居るってだけで良いよねぇ…と、これもさすがに飲み込んだ。
息子は、さん付けで推しを呼ぶ。
私は…まだその名をちゃんと口にしたことがない。誰かに話そうと思ったこともないから…
そういえば、以前私の本棚を見て、面白そうな本が並んでると言っていた。持って帰れば?と言うと、今は読む時間がないからと言ってそれっきりになってしまった。あの時目を止めたのは、推し絡みの本だったのか?
興味があるのなら色々見たり読んだりしたいはず。
でも、幼児を抱える彼には今、それらに割ける時間はすごく限られている。
母には今山ほどあるぞ!時間なら。笑
情報とワクワクを君と共有したい。
けど…
知らぬが仏で過ごしている日々に、白波を立てることもないか…
LINEひとつに躊躇う今日この頃。
熱量も違うかもしれないし…
いや、かなり違うと思う。
そしてそして
眼裏に浮かぶのは、ちょっと苦笑いをするお嫁ちゃんの姿。
うむ…控えよう…わざわざ嵐の素になることはない。
離れて暮らす息子と推しが被った。それだけで充分。
同じものを すき だと言える言い合える。
それだけで救われる気がした。
安直な母
たぶん 一応 まだ 母だろう…
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