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【10周年イベント文字起こし】トークセッション本編

みなさんこんにちは。
本年もOWB株式会社をどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社小高ワーカーズベース10周年イベントも早2か月前の記憶となりました。
本noteはトークセッション「地域に潜在する課題解決力~女性の力が地域を救う~」本編の文字起こし版をお届けいたします。

▽第一部:代表和田による基調講演はこちらのnoteより!


和田
ここからゲストのご紹介に移りたいと思います。
1人目は山本蓮さんです。現在、山梨県で地方女子プロジェクトと名付けて、地域で生きる上での女性の生きづらさや壁について、色々な人にインタビューしてメディアで発信する活動をされています。

2人目は伊藤紗恵さんです。現在、能登半島でまさしく災害から立ち上がる現場で活動されておられます。地域丸ごとパラレルキャリアというコンセプトでコワーキングスペース等を立ち上げて様々な人に活動拠点を提供しておられます。
モデレーターは和田が務めていきます。

山本さん
初めまして。改めましてご紹介いただきました、現在「地方女子プロジェクト」というSNSを運用しております山本連と申します。よろしくお願いします。山梨県の韮崎市に住んでいます。
就活の時に東京と山梨と両方で就活したのですけれども、やはり地元の企業は、女性は一歩下がってという風潮を感じることが多くて、地域の女性のために何かしたいなと大学卒業の時に思いました。

それで地域で開催されたビジネスプランコンテストに申し込んで、その時は地域の女性が働きやすい会社を載せた求人サイトで起業するという目標でコンテストに参加しまた。その後、地元のベンチャー企業に就職してウェブサイトの立上げ・運用の方法や起業に必要なことを勉強させていただきました。

とはいえ、2年程はなかなか起業に踏み切れなくて悩んでいたところ、去年10月に「未踏的女子発掘事業GRIT」という地域の女性向けの起業家育成支援プログラムに参加して、起業には至らなかったのですが、一旦当事者にインタビューをしてそれをSNSで世に出していくっていう活動を始めてみました。今はフリーランスの仕事をしながら、この地方女子プロジェクトを運営しています。

では、「地方女子プロジェクト」って何っていう話なんですけれども、私がアプローチしたいのはこの若年女性流出問題です。先ほども福島県がワーストという話がありましたが、日本の8割の地域は女性が流出超過になっている地域です。

やはりこれが人口減少や地方の衰退を招いているという要因だと国・地方自治体もどうにかしたいんですけどなかなか止まらないという現実があります。10年前にそういった地域消滅可能性自治体が検証され、今年4月にも発表されて、20代から30代の女性が半減している地域が消滅しちゃうのではないかと言われています。その中で当事者は、何を考えて何故地方を出てしまうのか、生の声が全然表に出てこないことに疑問に思い、100人を目指してインタビューして80人の動画をSNSに上げる活動をしています。

この活動を6月に「クローズアップ現代」さんに取り上げていただいて、ここで結構反響をいただけまして番組公式のコメント欄で史上最多のコメント数を集めました。それからメディアの依頼が増えてきたりして、NHKの番組に出たりハポポストさんに記事にしていただいたりしました。

地方の女性が感じている課題をざっくり3点まとめてみました。1つは「やりたい仕事がない」というのと2つ目は地元にいる「結婚・出産の圧を感じる」っていうところ。また地域のイベント・お祭り・新年会とかで所謂「御三どん」と言われる、女性が準備して男性が飲み食いするという風習がよく見られて、そういう「地域の女性の役割が嫌だ」という声をよく聞きます。女性はこうあるべきという観念が、地方の方が強いということを、課題に感じており、今後はこれをどうしていこうかと思っていたところです。今日は是非色々お話できればと思います。よろしくお願いします。

伊藤さん
合同会社CとHの伊藤と申します。今日はよろしくお願いします。

先に少しだけ能登の現状をご紹介しようと思います。令和6年能登半島地震からあっという間にもうすぐ1年です。津波はそれ程来てないのですが、古い家が多かったので倒壊が多くて、やはり火事と家の倒壊で亡くなった人が結構おられて災害直接死が約200人でした。災害関連死がそれを上回って熊本地震をも上回ってしまったというのが、今朝のニュースでも出ていました。やはりお年寄りが多い地域なので復旧にも時間が掛かっています。加えて、9月の大雨で被害が拡大して多重災害となり、正直、振り出しに戻されちゃったという思いで活動している人もいます。

私たちが活動している珠洲市の中心街は水害は酷くなく、現状、インフラは一部地域を除いて、ほぼほぼ復旧しています。一方で公費解体が進んで更地が増えて、住める家がないとか宿泊施設が足りないけど、実はあったりもする。

まだ、皆さん「行っていいのですか」という空気が多いのですが、実は全然大丈夫で、私たちもこんな感じでブリシャブパーティーをよくしたりしているので、興味がある方は遊びに来てくださいっていうのが、最初のイントロでした。

自己紹介ですが、私は母が能登半島の珠洲市の出身ですが私はずっと東京生まれ東京育ちで普通に東京で就職しました。人事系の仕事を色々やってきまして、働き方とかキャリアや組織をテーマにして仕事をしてきました。

色々ご縁があって2年少し前に副業みたいな感じで能登に関わる形になって色々縁があって移住をして会社を作ったという流れになります。

「地域丸ごとパラレルキャリア」を会社のビジョンに掲げて、ミッションとして「ワクワクが集まる地域づくり」、特に働くことにフォーカスを当てて、「次世代に10年先のワクワクを生み出す」ことをテーマに活動しています。去年6月に会社を設立し、その半年後に地震が起きているので、まだまだ実験的に色々新しいことやっている段階ではあるんですが、大きく「会員制のコワーキングスペース兼ビジネスコミュニティの運営」と、今日のテーマである「地域の女性の生業づくり」ということで、まさにここ(OWB)に震災後の2月に訪問させてもらって色々ご縁をいただいてガラスアクセサリーの工房を私たちもやらしていただいます。

あと「大学生のインターンシップの受け入れ」とか、「二地域居住をテーマにした事業」をやっていこうとしているところです。

震災前こんな感じでやっていたのですが、震災で街がこんな感じになってしまったので色々あって、あの7月に同じ珠洲市で再開をしています。それから震災後は金沢の方にも拠点を作らせてもらったりしました。

3つの拠点で、とにかく人が集まって明りを灯していこうということで人を集める活動をしています。会員制のコワーキングスペースを運営しながら、泊まる場所ないので、ここを泊まれるような環境を整備して、今いろんな人が集まってくれているところです。

二地域居住に関する法律が今年11月に改正され、これをテーマにした事業をこれから進めていこうとしております。

それから女性の生業作りですね。やはりポータブルな仕事とかスキルを持っていることによって、どんな場所でも働けるとか能登にも関わり続けるとか、そういった形ができるような仕事作りというのを今取り組んでいて、まさにこのアクセサリー工房を始めさせていただいたところだったり、それからオンラインワーカーの育成みたいなこともやったりしております。
大学生も、この夏20人来てくれたりもしました。被災地だからとか災害があったからみんなに来てもらうというよりは、この地域が面白い土地になっていけば勝手に人が集まるよねと。でも今やらないと手遅れになっていくよねという思いでやっております。

和田さん
僕も先週、ぶりしゃぶをいただいてきました。本当においしかったです。
早速トークセッションに入っていきたいと思います。地域の女性の課題について、もう少し詳しく皆さんに共有しつつ深掘りしたいと思っております。
 

クロストーク①:地域の女性は、現在どのような課題に直面しているのか?


和田さん
まずそもそも僕がなんで女性の仕事を作るっていうところに関心が向いたかっていうと元々ガラス工房をやっていたことはあるのですけども、それに加えて、今年の春先の一つのエピソードが契機です。12市町村に移住してきた20代の女性が、「私今ここで生活していて楽しいし仕事もめちゃくちゃやりがいがあるのですが、でもここで彼氏を作って結婚して子供産むのは何か違うんですよね」とポロッと言ったのですよね。こんなに楽しそうに生活していて働いていてこの街をとても気に入っているって言っているのに、どういうことなのだろうってその時本当になんか絶句したというか、これはすごく深刻な問題なのではないかと直感的に思ったのがきっかけでした。色々調べていくと先程のようなデータが出てきたわけなのですけども、それで僕らもこれから女性の職業の選択肢を増やしていくことをやるにあたって、ただ僕まだまだ解像度が低いですし、ここにいる皆さんも女性も多いですけどもあの和田は一体何考えているのろうみたいなところもあると思いますので、少しその辺をお二人もお話していただきながら共有できたらなと思っております。

まず 山本さんにお伺いしたいのですけども、地方女子プロジェクト、色々反響があってメディアからの取材も多いと聞いています。その活動を始めてから、特にその女性たちからどんな反響があったか教えていただいてもいいですか。


山本さん
はい、かなり共感してくださる方が多くてそうだそうだっていうような声、公に発信してくれてありがとうという声と、この声を自治体の首長さんとか地域を取りまとめる人に聞いてほしいっていう声が非常に多いです。
もう1つ特徴的で私が良かったなと思っていることは、こんなネガティブな意見を思っているのは自分だけなんじゃないか、人に言っちゃいけないんじゃないかって思っていたけれども、こんなに同じように感じてる人がいることが分かって良かったなっていう声をいだいています。
男性からの反応は2パターンに別れます。「あ、今の女性ってこういうこと考えているんだね」という風に結構受け止めてくださる方がいて、私も希望が持てると思っています。ただ反面YouTubeとかには「こんなの女のわがままだろ」みたいな反応も来ており、そのギャップとか伝え方については悩んでいるところがあります。


和田さん
女性の「お三どん」のような役割は、長年地域の中で慣習化してきたことゆえに、やはり年配の方はそれが当たり前だよと、考えている人もやはりいるかなと思います。女性の中でも世代間の意識の違いとか課題感の違いみたいなのがあったりしますか。

山本さん
そうですねやっぱり上の方だとそれが女の仕事だからとかやっぱ世の中も今の世の中 と違ったのでもっとそうしないといけなっていう意識が今より強かったりして、そうじゃないと認められなかったりっていうところも、もっと強かったのでそこは責められないと思っています。ただ本当にそういう役割をずっと嫌だって思っていたけどそれを言っていいのだって。自分も嫌だと思っていたという方は上の世代にもいらっしゃいます。

和田さん
なるほどありがとうございます。課題がずっと放置されてきたというか、慣習の方が強く働いて解決が後回しにされてきた、そんな背景もあるのかなという風に感じました。先程、女性の声を3つあげていただきましたけど、その中でも何か表面化していなかった特徴的なものあったら教えていただきたいんですけどもなんかありますそうです。


山本さん
あまりにも女性は子育て結婚して子育てしたら仕事辞めてしまうのではないという意識が強かったり、地域の方があの独身の女性っていうのがすごい地方だと居辛いという声は結構集まってきていますね。だから仕事と子育てもとても大事な議論ですが、女性の生き方ってそれだけじゃないっていうところを改めるっていうのも大事かなと思います。結婚とか子育ての手前の生き辛さみたいなところです。

和田さん
ありがとうございます。女性活躍とか少子化の課題の解決に紐づくので、出生数が増えればいいだろうみたいな発想から、子育てしやすい環境をどう作ってくかというところで取り組む地域がたくさんあると思うのですが、その手前からやらなきゃいけないっていうところはあるのかなと改めて思いました。

伊藤さんいろんなキャリアを歩まれてきて、昨年珠洲市に移住したわけですが、その中で女性であるが故の働きにくさ等があれば、お聞かせいただいてもいいですか。


伊藤さん
私は東京であまり疑問を持たずに普通に大学に入ってみんなと一緒にリクルートスーツ着て就活して、そこそこの大企業に入ったっていうようなキャリアだったです。損保ジャパンという保険会社にいたのですが特に思い入れがあって入ったわけじゃなくて、金融って割と給料がいいとか、地域限定職で入って転勤はしたくないよねみたいな、そして結婚してたら辞めてもいいよねみたいなテンションで入社し、実際に20代の早い段階で結婚して出産しているのですが、そのことによって30歳過ぎた頃にたまたま仕事が面白くなる瞬間があって、その時に逆に、20代にキャリアを積んでこなかったことに対するすごいコンプレックスが訪れて30代で必死にそれを取り返そうとするっていうな、キャリアの積み方をしているのです。

それもすごく楽しかったのですけども、やっぱり何か男性の価値観の中で作られてきた組織だったり、資本主義だったりとかみたいなのが大前提にあるので、どうしてもなんかそこに合わせに行くのが、仕事で成功するという道だったのですよ。

でも20 代を取り戻すことはどうしてもできなくて、そこに追いつけなかったのです。たまたまコロナとか色々あって地域で副業とかいろんな生き方あるみたいな世界観が生まれてきた時に、地域に行ったら、東京だとやっぱり似たようなキャラの人とかキャリアの人がいっぱいいて普通は埋もれてしまうのだけれども、地域だとやはりそうそう人が少ないですし、そもそも東京から来る人も少ないので自分が役立てたり、自分の経験でもより面白く仕事がよりできるような環境があったんですよ。


その流れの中、もうそこへ移住してやっちゃおうみたいな感じの流れではあります。
やはり東京だとどうしても男性の価値観の中で作られてきた組織がまだまだ強いので、それを全然違う形でキャリアを作れるのは地方に実はあるのではないかなと思ったりはしています。

和田さん
実際移住してみてどうですか? その辺の可能性っていうのは感じられますか?


伊藤さん
色々な価値感があり、地方ではめちゃくちゃお金を稼ぐことはやはり難しいのですけども、そもそも地方だと生活コストはそんなに東京ほど高くないので、半分ぐらいの年収でも結構豊かに生きられますよね。だから、それが豊かであるという価値観自体を持てるようになってくるとか、そうすると東京の人も影響されて移住しないでも2地域で関わり始めたりします。一方、地元の女性たちは、そんな働き方が今まであるなんて知らなかったみたいな感じで、ちょっとずつそういう輪が広がっていく段階かなって感じです。

和田さん
ある意味、伊藤さんがロールモデルみたいになって、そういう生き方ができるとの気づきを地域の人に与えていった部分もあったのかなと感じました。
その後震災が起きたわけですけども、女性であるがゆえにすごく大変だったとか、逆に女性だからこそすごく活躍できたことがあったりしましたか。

伊藤さん
ネガティブな方だと避難所でご飯を作る役割が全部女性であるとか、そこはすごく色濃く出ていた。一方で、仕事をなくしたから仕事が欲しい、というよりこの機会だからこそなんか 新しいことにチャレンジしたいとかそういう思いで来てくれる人が、意外にいるなと感じました。


和田さん
新しいことをチャレンジしたいっていう女性たちにとって、チャレンジの場合になっているハリオランプワークファクトリーで働いている女性たちの反応ってどうですか。

伊藤さん
まだ始めたばかりなの、これから変わるかもしれないのですが、今とりあえず自由な時間に勤務してもらう働き方が、地域だととても新鮮だし、すごく仕事しやすいという風に聞きますね。あとやむを得ず、能登から2時間半から3時間かかる金沢に避難している人も、やはり能登に繋がり続けたいとの思いで、能登と金沢の両方に工房がある会社で働けるので嬉しいとか、そんな声もあります。やはり皆さん違う働き方(時間的・空間的に自由な働き方)にすごく興味があったのだなっていうのは感じます。
 


クロストーク②:課題解決のために、我々地域起業が取り組むべくことは何だろう?


和田さん
この流れでちょっと次のテーマに行きたいと思います。
女性の地域での生き辛さの解消には仕事が関わってくると思います。仕事を生み出す地域の企業が取り組んでいくべきことをテーマにセッションしていきたいと思います。
山本さんからご紹介いただいて課題観は既に見えてきましたが、実際にそれをどういう風に具体的な行動に移しにいったらいいかっていうのを考えていきたいと思います。

まず、女性が都市に流出してしまう理由の1つが仕事の選択肢が狭いことと収入面がネガティブ要因になっているっていうようなお話もありました。僕もガラス工房を女性たちの職場として始めたのですけど、収入面で満足できる環境を提供できているかって言うと正直なかなかできてないなっていうところがあるのですよ。一方、収入がいい仕事ってどんなものというとやはり理系的な専門性やスキルを持っていたり、成長産業の仕事になってくると、国がSteam教育(サイエンスとテクノロジー、エンジニアリング、アート、マスマティクスの総合教育)で、成長産業で働く人材を育成していこうみたいな教育も今進められています。しかし、いわゆる理系科目であって、地方でどういう風な進度を選択するのかということを僕なりに調べた時に理系で優秀な子はみんな医者を目指すみたいな風潮がある。特に青森なんかは理系で進学する女子の8割は医学部に行くらしいのです。

仮説として例えばエンジニアとかも資格はありますが、一生食える資格ではない。一方で医者は医師免許も取れば食いっ逸れることはない、だから女性は資格を取りなさいっていう意識が根強くあるのかなと思います。

もう1つの仮説はロールモデルがいないのではないかと。つまり理系のロールモデルは医者しかいないみたいなところがあって、なかなか成長産業に就職するみたいな動きを、なかなか作りにくいのではないかという仮説が、僕は持っているのです。
では、最近まで就活されていた山本さんは、就活の過程でネガティブに感じたところとかあるいは、もっとこういう選択肢があるといいなみたいなそういうエピソードあったらちょっと教えてもらってもいいですか。


山本さん
私は山梨市で地元の中小企業への就活が中心でした。業界ごとに課題は違うとは思うのですけど、例えば当社は女性の社員いないのだけれどあなたはやっていけますか、とか地元企業に就職した大学の先輩が、自分は営業職で採用されたはずなのに、入社したら男性が営業、女性がその補佐をするっていう体制になっていて、全然やりたいことができてないという話を聞いたり、あと一般職と総合職で別れていて総合色の方のパンフレット全然女性の顔がないとか。

やっぱり結婚して子供産んで、いつかやめちゃう存在なのだろうなというフィルターを掛けて見られている印象を持ちました。やはり地域の企業が、まず選考時点でそういうフィルターをかけないとか、人事評価の基準を見直すとか大事だと思います。でもその女性にとって魅力的な仕事って、地元には工場しかないとか、働き先が保育士、教師、看護師、介護士とか、女性が家の中でやってきた介護とか保育とか育児とかの延長線上でお世話をするみたいな仕事になってきたけれども、まだまだ給料が低いっていうところで、そうではない仕事をしたいという声が多いです。今ある仕事を女性も同じように評価するという意識改革とか、男性の育休取得を増やすとか働き方改革も必要ですけれども、ここでされているアクセサリー作りとか、今、女性が欲しいもの、所謂「女性活躍」と違う文脈の女性が必要とする仕事っていうのもすごい大事だと思います。

本当に理系分野に女性がいないのは、すごい大きな課題なので、それと結びつけながらどうそこに女性を増やしていくかっていうのも必要だと思ってます。

和田さん
伊藤さんは珠洲市に東京から移住したわけですけども、企業としてのロールモデルについてどのような印象でしょうか。

伊藤さん
業種的な偏りがありますが、同じ事務職でもDX化されてないので、働き方の自由度がやはりとても低いです。自分でハンドリングできる働き方になると多分、仮に職種が現場系の仕事であっても、また少し違うのではないかと思ったりもしていて、働き方の文化を変えて、自由な働き方している人が1人でも増えると、それが一般企業にも広がっていくという流れが起こればいいと思うんです。

和田さん
DXと多様の働き方は割とリンクしてくると思います。
結局、我々何からしたらいいのかを会場の皆さんと考えたいと思います。

企業側が、女性が活躍できるような多様な働き方を提供することもそうですし、あとはそういう働き方を実現しているロールモデルを増やしていくみたいなところもあると思います。
会場の皆様、何か意見があったら是非言って発言していただきたいです。
 

会場参加者A
私は地元で生まれて高校を卒業して5年くらい東京にも住んでいたこともあるし、栃木とか色々な所に住んで働いてきたのですが、自分も含め1地域に住む女として、女性活躍推進のための事業が増えてきてはいるけれど置いていかれてるなと、すごく感じるんです。

私は仕事で毎月1000人近くの女性と関わっており、話を色々聞くんですけど 、何故こんなに人に興味を持つんだろうっていうところにすごい地域の女性は生き辛さを感じています。現に私も今まで目立つ活動を学生の頃からしてきたのですけど、未だにSNSの匿名とかでアンチDMが来ます。私はシングルマザーですが、「シングルで子育て大変なはずなのにちゃんと子育てをしてないせいで息子さんが幼稚園で走り回って危なくてすごく迷惑です」っていうDMがよく来るんですよね。そういう話って本当によくある話なのです。

それに限らず私も前の会社とかでは勝手にSNS検索されて、なんか生きづらくなってやめてしまったり、例えば「 昨日車なかったけどどこ行ってたの」とか言われるのも本当に当たり前な世界で、「昨日電気ついてたけど何時まで何してたの」とか、何故そんなに興味を持つのだろうっていうところで、「女性活躍」以前の問題がある、つまり、まずその活躍っていう以前に目立つことをしちゃいけない。

女性像っていうところにも関わってくると思うのですが、「どうせひどいこと言われるくらいだったら自分は大人しく女性像を演じて女性らしい仕事をして、子育てして、他人の噂話とか悪口は言うけど、自分の本当の意見は言えない」というのが、今のこの地域の課題だと思っています。私は東京に行った時に、ここが私の生きる世界だって思ったのです。他人に興味を持たないし1人1人を尊重して「あなたはこういう人だもんね、頑張ってね」というくらいですが、この辺の地域にいると、活躍すればするほど私は昔からもう悪く言われちゃうっていうところです。

やっぱり今働いていても、すごく才能を持っている人がいっぱいいるけれど、「いや私はもうなんか噂されるの嫌だから、趣味でひっそりやるのでいいです」というように言っている人がすごく多くてなんか、まずはそこの環境を整えないとそもそも仕事に就くというところにも行き着けない。

魅力的な仕事があってそこで働きたいって思っても、そこで働いてるって言われるの怖いみたいな、そういう課題があるなって思っています。ただし、それを解決するのは、すごくナイーブで難しいところだなって。私自身今NARUを運営していてすごく感じるところなのですが、女性を活躍させたいっていう風にあの事業をやられてるお2人としては、傍目から見てというか、違う地域から見てなんかどういう環境作りが必要だなっていう風に思いますか。
 

伊藤さん
おっしゃるようなことは、もちろん石川県でもあって、「車なかったよね」とか全然あります。結局、他人を変えることはできないと思うので、言われない環境をちょっとずつ自分たちの周りに作っていくしかないのかなと思っています。私たちが作っているコミュニティスペースは心理的安全性が高い組織で、そういうことを言う人はいない筈です。
だからそういう地元人の味方を作ってくしかないのと、その安全な場所で始めていって、ちょっとずつ周りにそういう価値観の人を増やしてくっていうことしか、できないなっていうのが正直なところです。私たちはその町の復興計画とか町内会とかに参加していますが、別に喧嘩はしてないし関係も良好ですが、あえてそこから合意形成を取りに行くみたいなことはしてないのです。回り道過ぎるので。

それよりもう勝手に人に迷惑をかけずに自分たちで勝手にやって、なんか言われても気にしないみたいな感じでやってで、気づいたら周りがついてくるみたいなのをもうひたすら目指していて、初めのうちは、やはり言われるのでそういうのが嫌な人は入ってこないと思うのですが、それがちょっとずつ広がると、変わってくのかなって思って活動しています。
 

山本さん
意識を変えていくって大事なのですが、本当時間がかかることなので、まずはその本当はちょっとやってみたいけど言えない人とかで固まってコミュニティを作って、その人たちを全力で応援するということが必要かなと思いますね。
ここOWBは、いろんなハブになっている場所でいろんな人につげると思うので、まずは集まって応援していく風土を作っていくということかなと思います。出る杭は打たれると思いながら聞いていました。

和田さん
ちなみにあのさっき僕が冒頭で話した20代の女性が何故ここで彼氏作って結婚考えられないかも同じ理由でした。やっぱり「やたら気にされる、そういった環境で彼氏作るとかマジでちょっと無理です」って言ってました。そういう人が目立つではなくて当たり前に存在している状況を作っていくしかないのかなと思っていて、だからこそ女性が生き生きと働けるようなそういった機会と場所を作っていく。それを長い目線でやってくのがいいのかなという風に僕も思っております。


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