ファンと向き合うための、プロダクト三権分立論
これはモバイルアプリマーケティングのアドベントカレンダー2021の20日目の記事です。12月25日まで毎日記事が公開されますので、ハッシュタグ #アプリマーケアドベント にて是非お楽しみ下さい。
■はじめに
「顧客は自分のほしいものを知らない」
マーケやプロダクト開発に関わる人間なら、一度は聞いたり、話したりしたことがあるキーワードではないでしょうか?
一方で、
「顧客を声を軽視するサービスは続かない」
これもよく言われる内容です。
そして、一見相反するように見えるこの2つは、実は同じことをいっていると言われます。曰く、
「顧客の声に耳を傾けながらも、真に求めるものを見つけ出すべきだ」
概念を言葉にするとそうだよね、となりますが、これを実践することがめちゃくちゃ難しい。
スティーブ・ジョブズやJ・J・エイブラムスのような天才がいなくてはほぼほぼ不可能ではないか、と一見思われます。
世の中でよく聞く言説はここまでで、ようするに天才を目指せということか、ということでみなさま日々研鑽に務められていると思います(わたしもです)。
これを、天才に頼らずとも、組織でシステマティックに実現できちゃう仕組みができないか、ということに現在取り組んでおり、その内容をご紹介したいと思います。
あなたはだれ?
キャリアを一言でいうと、「カスタマーサポート出自のプロダクトマネージャー」です。今年で運営17年目となるモバオクというtoCのオークション・フリマサービスにおけるビジネスサイドの責任者をしています。
モバオク
(直近では24時間テレビのオンラインにおけるオークションなどでコラボなども行っていました!)
https://n-charity.mbok.jp/2021/
8年間にわたり顧客と対話しながらサポートする業務を実施、その後プロダクト開発・デジタルマーケティング・モバイルアプリのプロダクト改善や新機能開発などに携わる中で、顧客の声を軽視するサービスは続かないVS.顧客は自分のほしいものを知らないという相反するテーマにずっと向き合って答えを探し続けています。
スターウォーズから学ぶ既存顧客(ファン)との向き合い方
ファンの向き合い方、という点でプロダクト開発に携わる人間にとって、ここ数年の映画を中心とした大型コンテンツのリブートブームは非常に興味深いです。
その中で、スターウォーズについて少しだけ取り上げさせてください。
(本当はこれを記事のタイトルにしようとしていましたが、ちょっと身のキケンを感じてやめました…)
直近2015年から新しい3部作が発表されたのが記憶に新しいですが、ファンの間で大きな論議を呼びました。特に第2作について、批評家からは大きく評価される一方、ファンからは非常に低い評価になりました。
かんたんにいうと、新しいスターウォーズを目指した作品が、古くからのファンに、「これじゃない」という風に受け止められた形です。
一方で、興行収入は新しい三部作が最も高く、一番多くの人に見られた作品となります。
これをいいことか悪いことかという評価をするのではなく、ファンとの向き合い方はこういう難しさがあるよね、という一例として非常にわかりやすいのでその観点で触れます。
受け止めきれないファンの複雑な期待に答えつつ、どう新しいファンを獲得するか
一言でいうと、この命題にわかりやすく取り組む必要があった作品と思います。
これはスターウォーズの三部作を時系列にならべたものですが、各3部作が約10年〜20年単位での発表となり、それぞれでコアファンが形成されています。
わたしはガッツリ旧三部作のコアファンで、全世界が旧三部作のファンと思い込んでいましたが、You Tubeなどで見ると、比較的若い世代は1999年〜のプリクエル・トリロジーがもっとも好きだ、という人も多くいて驚きました。
またそれぞれの三部作のファンの中でも、好きなキャラクターやストーリーは多岐にわたります。
2015年の新三部作を公開する前の時点で、このように非常に複雑なファンの期待が存在しており、まずそこにどう答えるかということ自体が難易度が高かったと思います。
さらに、新しい三部作を発表時点で前回から15年近く経過しているので、新しいファンを獲得する視点も必要になります。
三部作の2作目は、新しいスターウォーズに振り切った形をとった結果、既存のファンから大きく批判を呼びました。
一方で、批評家からの評価は高く、興行収入的にも成功、知り合いの20代女性のプロダクトマネージャーも絶賛していましたので(笑)、新しいものとして受け入れる人も非常に多かったということも言えます。
言いたいのは、スターウォーズというのはデカすぎると思われるかもしれませんが、我々が携わる様々なコンテンツやサービスも、一定以上ファンを獲得しているなら、同じ命題に向き合う形になります。
受け止めきれないファンの複雑な期待に答えつつ
新しいファンを獲得する
結局は絶妙なバランス感覚、となり、スターウォーズについては、J・J・エイブラムスという天才を投入して強引にまとめ上げました(これも異論反論ありますが、、)。
天才に頼らずに仕組みで立ち向かう方法はないか?という点について後半で触れたいと思います。
リニューアルはだいたい失敗する問題
もう一つ、スターウォーズはちょっと遠すぎる、と思われるかもしれないので、Webサービスの事例にも触れておきます。
Webに携わる仕事をしている人にとって、大きくサイトを変えると大体失敗するよ、という話はよく耳にする(もしくは実際に体験する)のではないでしょうか?
直近の例を一つ上げると、マネーフォワードがサービスリニューアルを1日で取り下げるということがありました。
詳しくは上記社長の辻さんの記事にまとまっていますが、サービスリニューアル直後から顧客から大きく使いづらい、という声があがり、たった一日でもとに戻したという内容で、この業界に携わる人間としては胃が痛くなるような話でした。
リニューアルの内容としては主にUIの改修となっており、スマホに最適化しつつ、モダンでシンプルUIを目指してリニューアルした結果、ユーザーから以下のような意見が寄せられていたようです。
この事例は、コアなファンから批判された、という点は似ていますが、その内容は少し異なっていると考えています。
具体的にいうと、記事にもある通り、リニューアルの目的は顧客の声からより見やすいUIを目指したというのが動機です。
ここに対してユーザーの意見を紐解くと、不要な情報を減らして見やすくすること自体は賛成だった、という内容も見られます。
つまり、リニューアルの目的自体はファンとも一致していたものの、実際にそれを表現するにあたっての内容の精査が足りなかったことがここまでの大きな批判につながった形となると思います。
なににどう立ち向かえばよいのか?
ここまで、一定以上ファンがいるサービスのファンとの向き合い方の難しさに触れてきましたが、ではなににどう立ち向かえばよいのか?という点について自分の考えを述べていきたいと思います。
先に結論を言うと、
ユーザーの声を聞きながら改善する
ユーザーの一歩先を見てサービスを強化する
既存の枠を超えた新しい価値を創造する
この3つを
それぞれ独立した権限を持った人間が実行する体制をつくること
そして、
常に顧客の生の声を拾い続けられる体制をつくる
(可能な限り)すべての施策で、セグメントごとのABテストををする
という2つの軸でプロダクト開発をすすめることで、
天才に頼らずともファンと向き合いながらサービスを改善しつづけることができるのではないかと考えて、現在取り組んでいます。
詳しく解説していきます。
課題はなんなのか?
まずは立ち向かうべき課題を少しだけ整理します。
スターウォーズのところで触れたとおり、向き合うべき命題を一言でいうと
受け止めきれないファンの複雑な期待に答えつつ
新しいファンを獲得する
ということになります。
この「ファンの複雑な期待」というのを紐解くと、以下のように「顕在的な期待」と「潜在的な期待」整理できます。
スターウォーズの例でいうと、「お気に入りのキャラを出してほしい」というのが顕在的な期待にあたります。
実際にスターウォーズは旧三部作の主要キャラが多く新しい三部作に登場し、それだけでまずはファンは一定満足したと思います。
個人的には一番人気のハン・ソロがまず登場し、レイア姫が存在感をだし、ルークとR2D2がなかなかでてこなくてドキドキしましたが、しっかり見せ場をつくり満足しました。
というように、こうしてほしい、というのが見えやすい期待にしっかり答えることは実は一番重要かもしれません。
では潜在的な期待とはなにか?
これもスターウォーズでいうと、ファンはお気に入りのキャラに「こういう活躍をしてほしい」「だれとだれがこう絡んでほしい」という期待をしています。
ここについては、ファンが正解を知っているわけではないです。
もう少しいうと、ちょっと半歩か1歩くらい先超えた答えを見せてもらうことを期待しています。
コンテンツやサービスの改善にもつながる一番むずかしいところになります。
次に、「新しいファンの獲得」ですが、ここはシンプルに、時代のニーズを読みとくような形になると思います。今作でいうと、女性が主人公になったり、多様なキャラが登場しました。
一方で、先のファンからの批判のように、既存のファンがいるコンテンツやサービスにとっては、うまくバランスをとることが非常に難しいものだと思います。
どう取り組むべきか?
ではここにどう取り組むべきか?
大きく2つ意識する必要があると考えています。
1つ目が、個々の課題に対する向き合い方。
先程の整理でいうと
①既存ファン→顕在的な期待
②既存ファン→潜在的な期待
③新しいファン→未知の潜在的な期待
この部分のそれぞれのアプローチです。
2つ目が、①〜③をすべて統合して、プロダクト全体の改善をどうバランス良く実施するか?
という点になります。
ここが本稿の肝となり、詳しく述べていきたいと思います。
ファンへどう向き合って改善するか
話は最初の命題に戻ります。
顧客は自分のほしいものを知らない
VS
顧客の声を軽視するサービスは続かない
ここに対して答えは、
顧客は明確にほしいものをわかっている部分もあるし、
真に求めるものを理解していない場合もある、
ということになります。
スターウォーズの例で言うと、
どのキャラが活躍してほしいか?
は明確にほしいとわかっていること、
どう活躍してほしいか?
は明確にはわかっていないもの、
となります。
ここで重要なのが、まず顧客が明確にほしいとわかっているものにしっかり向き合うことになります。
そして、サービス開発に関わっている人はわかっていただけると思いますが、ここが非常に難しい。
こういう課題がでてくるからです。
その改善はサービスのKPIやトップラインの改善に結びつくのか?
お客様の言う通りに改善することが、本当の改善になるか?他にもっといい方法があるのではないか?
サービスのビジネスの方向性に関わる意見にどう向き合うか?
お客様によって相反する意見をどう解釈するか?
お客様が明示的に意識していない課題とどちらのほうが優先度が高いのか?
これらを限られるリソースの中で、どう優先順位をつけて対応するか?
弊社でも例にもれず、この部分に非常に悩まされ、結果としてお客様が明示的に求める課題の改善が全く進まない状況が続いていました。
特に事業のKPIに結びつくかどうかで並べると、どうしても優先度が下がります。
具体的には、ここが使いづらい、改善してほしい、という意見がたくさんあり、バックログとしては上がっています。
しかし、メンバーが検討しているKPIを上げるための改善案と並べると、どうしても優先度が下がり、顧客の声に応える改善は、インパクトの大きいものは数年にわたりほぼゼロという状況が続いていました。
ハン・ソロを出してほしい、という明示的な意見に答えられないことは、既存のファンを裏切ることになります。
また、どうしてもリソースがないのであれば仕方ない部分もありますが、うまく優先度をつければできないこともない、とみていたため、うまい方法はないかと頭を悩ませていました。
社内に顧客をつくる
結果としてたどり着いたのが、非常にシンプルですが、
お客様の意見をそのまま検討反映する
お客様の半歩から一歩先に行く真の課題を検討する
この2つを考える頭(手足)をわける、組織でいうと担当チームをわけて取り組む方法になります。
それぞれ、「改善チーム」「強化チーム」という風にわけました。
改善チームはひたすらお客様の要望に耳を傾けながら、やるべきものを社内で議論して優先度をつけて取り組みます。
強化チームは、定性・定量分析から、お客様の真の課題を見つけるべく取り組みます。
前者は言わば、社内にお客様の明示的なこうしてほしい、という意見を代弁する、代弁というかもはや、お客様が社内にいて声を上げ実行できる状態を作り出した形になります。
これを開発リソースを含め完全にバックログをわけて、それぞれ独立してスクラム開発を行う形にしました。
結果として、もともと実施していたKPIを改善するための施策のスピードは落とさず、
数年にわたりバックログに眠っていた既存のお客様の意見を反映する施策でインパクトが小さくないものを、3ヶ月で3件ほどリリースまで進みました。
現在も下期に向けてどんどん開発を進めていく状態までたどり着いています。
顧客が真に求めるものの議論
サービス開発に関わるカンの良い方はお気づきと思いますが、実際のところ、顧客の顕在的なニーズ、潜在的ニーズというのは非常に曖昧です。
この2つをわけて取り組むと、その境目にあるような部分はどうなるの?というか分けるべきなの?と感じる方もいると思います。
この部分についても、非常に手応えを感じています。
具体的にいうと、改善チームが先の顧客の声をダイレクトに反映してリリースした改善が、想像以上に強化チームが追っていたKPIを上げることに貢献する事例がでました。
一方で、強化チームが分析から施策を検討していたら、それはお客様の声としてすでに上がっているものだったので、そちらの優先度をあげよう、という議論もでてきています。
社内で擬似的に考える頭やリソースをわけることが、結果的に議論を活発化させ、相乗効果を生み出す施策につながる流れがでてきており、この点は思わぬ副産物となりました。
ちなみに、弊社はtoC向けのサービスとなりますが、この取り組み方はtoBサービスにおいて特に有効ではないかとも感じています。
新しいファンの獲得
これまでは既存のお客様への向き合い方の話でしたが、新しいファンを獲得するのも同じ方法で取り組んでいます。
具体的には、もう一つ「創造チーム」というチームをつくり、新しいファンはどこにいるかから探り、そこに対して解決策を見つけ出す、という形で取り組んでいます。
いわゆる「新規事業開発」との違いは、ディズニーでいうところの、完全な新作をつくるのか、スターウォーズの新作をつくるのか、という風にとらえていただくとわかいりやすいと思います。
サービスがPMFを達成した後、数年も経過すると市場環境や顧客の意識などは大きく変わってくるため、そこに対応する必要があります。
先のマネーフォワードの例でいうと、リニューアルの目的としてUIの改善ではないか、と触れましたが、この新しい市況環境への対応、という意味合いも大きかったのではないかと思っています。
この事例でもわかるとおり、既存のファンを置き去りにしてしまうと、サービスを支えているコアなファンからお叱りを受けてしまうことになります。
とはいえ、スターウォーズも例にもれず、コンテンツやサービスを継続し、既存のファンにも価値を提供しつづけるためには、新しいファンの獲得がどうしても必要になります。
非常に難しい領域ですが、ここに対しても新しいファンの獲得を専門に考えて取り組むチームをつくり、独立したリソースを割り当てるました。
そして、詳細は後述しますが、検討する中で既存顧客の声を聞いたり、定性的に新規と既存のそれぞれの影響を見極める形をとることで、両立させる体制をとっています。
まだこの創造チームの取り組みは数ヶ月なのですが、新しいファン獲得を目指した新機能プロトタイプのリリースも少しづつできはじめています。
このチームはデザインスプリントで機能開発を進めているのですが、また機会があればどこかで詳細をまとめて共有していきたいと思います。
将来的には、このチームでプロダクト開発だけでなく、新規顧客獲得のマーケティングまで統合的に行える体制を目指しています。
プロダクトの三権分立論
これらの経験を踏まえて重要だと感じているポイントが、
顧客の声にダイレクトで応える
顧客の真の課題に向き合う
この2つを、
顧客のセグメント(既存ファンと新規ファン)ごとに、
頭とリソース含め、完全に独立させ取り組む、
という部分です。
こう聞くとマイクロサービスを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、機能単位ではなく、あくまで対象顧客、そして顧客の課題やニーズ単位で取り組む部分が異なります。
また、多くの世の中でうまく行っているプロダクトは、おそらくこれらをプロダクトオーナーが全権握って、うまく采配しているサービスになると思います。
これは優秀なPOがいれば解決するかもしれませんが、私見としては、どれだけ優秀なPOでも一人の人間なので、どこかで判断を誤る可能性高く、仕組みとしても不十分と思います。
サービスの作り手の中に、顧客そのものをインストールして議論しながら取り組むことが、結果としてPOが正しい判断をできるようにする近道であると考えています。
プロダクトの三権分立を支える仕組み
最後に補足的な内容になりますが、このプロダクトの三権分立を支えるための、根本的な仕組みについて、具体的に利用しているツールなどにも触れてご紹介させていただきます。
考え方としては先にご紹介したとおり、
常に顧客の生の声を拾い続けられる体制をつくる
(可能な限り)すべての施策で、新規・既存のセグメントごとのABテストを行う
という、定性・定量で顧客の声を常にキャッチアップできる形とし、さらにそれぞれのチームが取り組んでいるものを、分析については横串で見れるようにしている点になります。
常に顧客の生の声を拾い続けられる工夫
お客様の声をつねにキャッチアップできる体制として2つの仕組みを導入しています。
1つ目は、いつでも直接ユーザーに対して、ユーザーインタビューやユーザビリティテストを行える体制を敷くこと。
ここに関しては、ポップインサイトさんのアジャイルUXリサーチというサービスを活用させていただいています。
弊社の事例でいうと、だいたい月に2回程度ユーザーテスト・ユーザーインタビューを実施しています。内容については以下で少し触れていただいているので、興味ある方はぜひご覧いただければと思います。
2つ目は、ユーザーの声を漏らさずキャッチアップし、一覧化して誰でもアクセスできるようにしていくこと。
弊社でいうと顧客の声が届く大きく3つの経路があります。
1.サイト内のご意見BOX、アプリのレビュー、SNSからの声等
2.顧客からの問い合わせ内容
3.前述のインタビューなどで得たご意見
弊社の体制で工夫していることとして、特に1.について、すべてカスタマーサポートチームやSNS担当が目を通し、ほとんどのものを返信する体制をとっています。
最近では、カスタマーサポートチームが顧客の声をピックアップして、全社のスラックに定期的に投稿するようにしてくれており、施策担当以外のメンバー含め、常に顧客の声を意識して取り組める体制に貢献してくれています。
(公式Twitterは担当が本当にすべてのレスに回答する勢いで頑張っておりますのでぜひご覧ください!)
顧客の声を一元化
ここ半年で取り組んでいることとして、これらの顧客の声を一元化して管理する体制を組んでいます。
最近利用しているのが、Flyleというサービスで、様々な場所にちらばりやすい顧客の声を一元化、構造化して管理しやすく、重宝しています。
まだ完全に統合はできていないのですが、週一でこれらのリストに上がってきたものをサービス担当・カスタマーサポート・UXデザイナー・新規開発担当が集まって、議論、分類する形で徐々に理想の形を目指しています。
すべての施策で、新規・既存のセグメントごとのABテスト
これもかなり意識して組織的に実践している内容になります。
やっていることはシンプルで、可能な限りすべての施策においてABテストを行い、その結果を少なくとも新規・既存の2セグメントでそれぞれ効果を見ます。
その上で最終的な施策のリリース判断を行うというものです。
このように施策によっては少しセグメントが細かくなりますが、基本的には最低限、新規と既存の2セグメントの影響は必ずみるようにして見極めることを徹底することが、既存のファンを置いてけぼりにしないために重要であると考えています。
最後に
プロダクトマネージャーとしての悩みを最後に少しお話させてください。
本文でも少し触れたのですが、PMFを達成するための手法は、リーンスタートアップを始めとして、かなり体系立てられていると思います。
(もちろんメソッドを活用して実践するのは別次元ではありますが。)
サービスの改善も、アジャイル開発や、デザインスプリントなど頼れるメソッドが増えてきています。
組織としての取り組みも、OKRや最近ではパーパス経営など言われるようになりましたが、こちらも議論が盛んです。
一方で、PMF達成後のサービスを伸ばし続けるための手法は、一昔まえに流行った「グロースハック」という概念以降、なかなかそこにフォーカスした議論をみないように思います。
わたしが不勉強な部分もあると思いますが、おそらく各企業の中で「秘伝のタレ」のように受け継がれているのではないかと思っています。
この記事は多少はそういったことを意識してまとめたのですが、各サービスを担当され、同様に悩みながらタレを編み出している方とぜひ議論していきたいです。
この同じような興味関心ある方いれば、ぜひお話したく、以下TwitterからDMでご連絡ください!
(いまもありがたいことに月に2人くらいはお話させていただいています)
https://twitter.com/odacoh
モバイルアプリマーケティングのアドベントカレンダーのご紹介
この記事はRepro稲田さんの主催する、モバイルアプリマーケティングのアドベントカレンダーとして投稿させていただいています。
本日が20日目となりますが、すべての記事が
「どうすれば顧客へ素晴らしい体験を届けられるか」
という点で非常に深く考え実行している方のもので、大変勉強になります。
少しだけご紹介すると、
→本記事を書こうと思ったきっかけになった骨太の記事で、ファン(ユーザー側)の視点で既存顧客のマーケティングの新しい視点を非常に明快にしてくださっている記事となり必見です。
→本編で少し失敗事例などに触れましたが、国内外(特に海外)含め、クローズとなった各サービスの具体的な事例とそこから得られる学びを、非常に深く考察されており、永久保存版の記事ではないかと思います。
→弊社のデザイナー兼アプリのプロダクトオーナーが、(たぶん)初めて記事にした内容です。本文で触れられなかったより具体的な内容も書かれていますのでぜひご一読ください!
すべて取り上げきれませんが、これ以外も、新規事業、マーケティング、PMFの取り組み、ユーザーリサーチの事例など、どれも非常に読ませる記事ですのでぜひご一読を!
最後までお読みいただきありがとうございました!