ホシヅクリ創星記(アートワーク/コンポーネント編)
この記事はホシヅクリ創星記の第三弾、アートワーク/コンポーネント編となります。
ホシヅクリのアートワーク面と、コンポーネントの決定の部分について書いていきます。
製作段階の途中のフレーバーや、草案段階でのコンポーネントについても紹介できればと思います。
アートワーク/コンポーネント編の一部の内容はグラフィックデザイナーの椹木さわらさん(http://souramble.egoism.jp/)に執筆頂いています。
ゲームシステムについて書いた第一弾はこちら。
カードについて書いた第二弾はこちら。
フレーバー
ゲームデザイナーのODAはゲームのシステム部分が好きなので、フレーバーからではなくてゲームシステムから新しいボードゲームを作る形で毎回製作しています。
ホシヅクリはゲームシステムからできたゲームなので、最初はフレーバーが全くない状態でした。
勝利点は「属州」、「公領」、「屋敷」とドミニオンから拝借した名前を付けていましたし、カード名も「STOP捌き」「同時工房」など機能にそのまま名前をつけた味気ないものでした。
2022年末、帰省しながらフレーバーについてのんびり考えて、いくつかアイディアを出しました。
絵の具や道具、人を駆使して絵画を描く。カードは画材や絵の具で、勝利点は完成品の絵。
3色の魔力を使い、白や黒の魔力の結晶を作る。カードは宝石や魔法の道具で、勝利点は魔力の結晶。
星の素を集めて星を作る。カードは星の素となるもので、勝利点は完成品の星。塊魂(ナムコから発売されているデジタルゲーム)のようなイメージで、現実世界の星ができる過程の素材でなくてもよく雑多なものを押し固めたイメージ。
それぞれのアイディアで勝利点の名前やカードの名前案を作成してみた結果、一番しっくり来たのが星を作るフレーバーでした。
塊魂の、あらゆるものを星の素材として許す世界観の影響も多々あったと思います。
世界観
フレーバーが決まったので、プレイヤーは何者で、なんのために何をしているかという世界観を決める必要がありました。
プレイヤーは星を生み出すような存在なので、超常的な者のイメージからプレイヤーは神や妖精のようなフィクション上の存在とするアイディアを考えました。
しかし、文章にしてみると使い古された安っぽい世界観に感じられてあまり魅力的には見えませんでした。
プレイヤーが神や妖精であったとして、それがゲーム内に一切反映されていないのも違和感がある原因となっていました。
そこで、プレイヤーは超常的な存在ではなく星の一つとしたところ、より世界観のまとまりがよくなったように感じられました。
最終的には星の中で特異な存在であり、複数の星を作って回っているイメージがつきやすかった彗星がプレイヤーとなっています。
以下の文章はホシヅクリ世界観の裏設定文章となります。
タイトル
タイトルはボードゲームを売る際に顔になる存在なので、非常に重要な要素です。
商品として売り出す以上まず気にかけたのは他ボドゲと名称が類似しないことでした。 最初の名称案はStar Formationでしたが、略称がスタフォと呼ばれることが想定されます。そうなると有名ボドゲたるTerraforming Mars(テラフォ)と丸被りしてしまいます。 宇宙ネタという点も被っていて、混同してしまいそうです。
英表記だとパッとタイトル聞いてどんなゲームかを想像できないことも懸念材料となったため、Star Formationは没案になりました。
他にも以下のようなタイトル案がありました。
ホシヅクリ
星と彗星
彗星の通り路
プロトスター
ガリレオ
この中で一口で呼べて、ゲーム内容とセットで覚えやすく、検索性が良いものを選んだ結果、最終的にホシヅクリが名前として選ばれました。
結果としては覚えやすく、呼びやすく、検索もしやすい良い名称になって満足しています。
コンポーネント
カード枠
ホシヅクリのカードは、プレイ時効果が上に来ているという独特な配置となっています。
これはホシヅクリがゲームシステム上、カードのプレイ時に縦に並べて出すことが多いことが理由になっています。
カードを縦に並べて出すと、カードの下が隠れてしまいカードのプレイ時効果を確認することが難しくなってしまいます。
そのため、カードのプレイ時効果は上に書かれておりゲーム終了時効果は下に書かれている配置となっています。
このプレイ時効果の配置については賛否両論ではありましたが、ゲームデザイナーのODAとしては重要視していた部分であったのでこの配置のまま製品版リリースとなりました。
カードイラスト
ホシヅクリの赤青緑の三色はゲームのルール上にて大きな意味を持ちます。 イラストにこの三色以外の色を用いてしまうと何色のカードが分かりづらくなる恐れがあります。
このため、各色のカードには単一の色相のみで描くように心掛けました。
カードテキストを中央に置くということが決まっていたため、イラストもそのテキストを邪魔しないものにする必要がありました。 このため、通常のイラストの1番の見せ場は中央にあることが多いですが、ホシヅクリのカードイラストは中央でない場所に見せ場があるものが殆どです。
軌道ボード
4人分のプレイヤー駒が置けて、0から35までをカウントできるボードとなると、小さいサイズに収めるのはなかなか難しいためデザインは難航しました。
初期版の起動ボードは円形でかつ各プレイヤーの彗星コマを重ねて置く形式でしたが、これは動かす際にコマを動かすのが手間だったり、だれが次の手番プレイヤーであるか分かりづらい問題がありました。
そこでトラック形式の起動ボードを試してみたところコマを重ねる必要がなく、手番順も一目瞭然であったためトラック形式のバージョンが採用されました。
ホシヅクリを遊ぶ際、テーブルのスペースをとりすぎないように軌道ボードは小さめの設計としています。
ホシヅクリファンのために豪華版の軌道ボードを作ったり、今後の拡張で軌道ボードに新要素を加えた際により遊びやすい形でリメイクしたいと思っています。
説明書
ホシヅクリはルールが独特であるので、説明書作りにも大変時間を使いました。
まずはグーグルドキュメントに文章のみで説明書を作成して、その後イラストレータで説明書を作る形を取りました。
グーグルドキュメントの段階で、ドミニオン好きな人たちに校正に協力して頂きました。校正に協力頂いた皆様には大変感謝しています。自分の力では説明書のルール記述は穴だらけでした。
グーグルドキュメントの文字だけのルールを2023/1月いっぱいかけて校正し、2月/3月でイラストレータ版説明書の製作と校正を行いました。
ボードゲームを普段あまりやらない人にも読んでもらい、インストなしでゲームをできるかの試験も行いました。
ゲームデザイナーの頭の中にはルールがすでにあるため、説明書の穴に気付くのはかなり難しいです。説明書を様々な人に見てもらうのは、ボードゲーム製作には必須かと思います。
箱
ホシヅクリの箱は側面が黄色になっています。
箱の外側のデザインが黒を基調にした落ち着いたデザインなので、箱を開けたときのワクワク感を高められるよう側面は鮮やかになっています。
また、店舗で販売する際や棚に入れて保管する際、横から見たときに下箱の黄色が少し見えることにより目を引く効果も期待しています。
終わりに
ホシヅクリのアートワーク/コンポーネントを振り返ってきました。
表に出ることはない裏の設定や、初期版のコンポーネントを紹介できたかと思います。
ここまでホシヅクリというボードゲームができるまでを振り返りました。
ここでホシヅクリ創星記は終わりにしようと思っていたのですが、その他に印刷やゲムマでの販売、PVやアプリ等ボードゲーム製作外の取り組みが書けていないので機会があったらその部分も紹介できたらと思います。
今後もアプリの改善や拡張の発売等の展開を行っていきたいので、これからもホシヅクリをよろしくお願いいたします。
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ホシヅクリ創星記(カード編)
ホシヅクリ創星記(システム編)
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