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ByteDanceが70億ドル規模のGPU調達
中国の大手テック企業であるByteDance(バイトダンス)が、アメリカの厳しい輸出規制にもかかわらず、NVIDIAの先端GPUを利用したAI研究を加速させようとしています。最近の報道によれば、同社は約70億ドル規模の投資を通じて、海外のデータセンターでクラウド経由のGPUレンタルを拡大し、アメリカ政府の輸出制限を迂回する方針を立てているとのことです。
規制とその抜け道
もともと、アメリカ政府は安全保障上の懸念から、最新鋭のGPUをはじめとする先端半導体を中国企業が直接購入することを制限しています。しかしByteDanceは「チップそのものを買うのではなく、海外拠点でGPUをクラウドレンタルする」という方法を取ることで、輸出規制の影響を相当に低減させる狙いです。
実際、ByteDanceはすでにNVIDIAの高性能GPU「Hopper(H100など)」を海外のデータセンターで利用しており、今後はさらに次世代チップ「Blackwell」のレンタル枠を確保することで、ライバルであるAlibaba CloudやTencent、Baiduなどを上回るAI開発投資を行うと見られています。
チップのゲートキーパー問題
一方で、アメリカ政府もクラウド経由で先端GPUをレンタルする行為を規制しようとする動きがあります。具体的には、GoogleやMicrosoftといったクラウドサービス大手を「ゲートキーパー」と位置づけ、どの顧客がどのようにGPUを利用しているかを政府に報告させるなどの新たなルールが導入される可能性があるのです。こうした規制が実施されれば、ByteDanceのような企業はもちろん、国内外のAI企業にとって大きな制約になり得ます。
今後の展望
とはいえ、仮に追加規制が加わったとしても、中国のテック企業はさまざまな「迂回策」を模索し続けるでしょう。ByteDanceが現在取り組むチャットボット「Doubao(豆包)」へのAI動画生成機能の追加など、新サービスの開発需要は高まる一方だからです。
海外データセンターを使ったGPUレンタルや、やや性能が制限されたチップ(例:NVIDIAのH800)を使用した大規模モデル開発など、米国規制をかいくぐる方法はいくつも存在します。結果として、米中のAI分野における「規制×イノベーション」のせめぎ合いは当面続くとみられています。
以上、ByteDanceのGPU戦略とアメリカの規制をめぐる動きを簡単にまとめました。規制が進めば中国企業にとっては一層ハードルが高くなる一方で、市場の競争原理が働く限り、新たな回避策やパートナーシップが生まれる可能性も十分にあります。今後も両国の動きを注視しつつ、AIや半導体に関わるテクノロジーの進展から目が離せません。