64小品目 向き不向きの話
どうもわたしは果樹が向いていないらしいと気づいたのは、ぶどう農家のバイトに入って一ヶ月くらいのことだった。
あれ?
と思うことが多かったのだ。ぶどうはかわいい、しかし細かくていつもイチャイチャしていないといけない感じで、ちょっと待って待ってと言っている間に行ってしまう野菜たちとはずいぶん違う。なんだろう、この恋人、悪いところがとりだててあるわけじゃないんだけど、すぐ別れちゃいそうだなと思いながら2回目のデートしてるイメージ。
さらにどうもわたしだけ作業が遅く、見落としも多く、さらに大雑把で、形作りも上手でないようだった。
なので、今までいろんな農家で働いたり手伝いをしてきた時にされていた「ありがとう」「助かるわ」という言葉をやりとりせず「あかんやろ」「すいません」ばかりになってしまった。さらには39度を越す扁桃腺炎になって休んでしまい、また「すいません」になり、そしたら「熱がまだあったりして、ぼーっと作業されたら迷惑だ」と言われてしまった。
これはショックだ。しかしこれをきっかけに3ヶ月でやめることに決めた。ここまで向いてないことはしない方が良い。ぶどうの実りを見られないのは残念だが、自分が役に立つ仕事をしたい。例えば現に歯医者だと役に立てているし、野菜農家でも今までの経験である程度は活躍できる。考え方を変えて夏シーズンだけ、リゾートバイトをしながら、起業の準備をしてもいい。今からだと小豆を教えてもらえる農家を探したら、お手伝いさせてもらえたら、播種から勉強できる。これはチャンスでもある。
しかしいろんな農家で仕事してきたし、果物だったらいちご(あれ?いちごも野菜か)もけっこうやったし、農園アドバイザーもしたし、自分はこっち方面はできる気でいたけど、果樹はほんとにだめだった。それが分かって良かったよ。
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