中世ベトナム語 Tiếng Việt Trung Đại
中世ベトナム語とは?
なぜかインターネット上に情報が少ない中世ベトナム語。
ベトナム語ではtiếng Việt trung đạiと言い、15世紀末から19世紀初頭にかけて京族が話していた言語を指します。
これは、それまで漢文が当たり前であった文学、行政の分野にベトナム語が進出し、chữ Nômが最盛期を迎える時期でもあります。
また、ここから西洋との接触も始まります。
1651年のローマでは、イエズス会の宣教師アレクサンドル・ドゥ・ロード(Alexandre de Rhodes)が編纂した『ベトナム語-ラテン語-ポルトガル語辞典』(羅:Dictionarium Annamiticum Lusitanum et Latinum、越:Từ điển Việt-Bồ-La)が刊行されました。
中世ベトナム語の特徴
アレクサンドル・ドゥ・ロードが辞書を編纂していた時期は、ちょうどベトナム語がベト・ムオン祖語以来保っていた子音連結を失っていく過渡期でした。
そのため、『ベトナム語-ラテン語-ポルトガル語辞典』には、「水牛」がtlâuとtrâuという2種類の綴りで表記されるような、「表記の揺れ」が存在します。
/bl/や/tl/が/tr/に、/ml/が北部で/nh/、南部で/l/に合流していく他、
『ベトナム語-ラテン語-ポルトガル語辞典』によると、/tr/が/s/や/gi/と入れ替わる事もありました。
例)
gà trống —– gà sống
trăng sáng —- giăng sáng
中世ベトナム語の再現
最後に、YouTubeで拾ったこちらの動画を載せておきます。
17世紀中頃のベトナム語を再現した面白いビデオです。