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自動車学校の思い出、2

前回の記事を読んでくださった皆様、ありがとうございました🙇🏽‍♀️

今回は前回の記事の中で少しだけ触れたエピソードのことを少しだけ詳しく書こうと思う。



前回の記事

“またその中でも印象的な教習があって、その教習が最高に楽しくて、その後から担当教官へ抱いていた異性としての好意が驚くほど消失した。”




登場人物
・私
・女の子
・合同教習の担当教官(Y教官)
・私の担当教官


合同教習


その教習は合同教習だった。

私の知る努力が足りないのか、学校側の連携が足りないのか、事前に分かっていたのは「何らかの合同教習を受ける」ということだけだった。

教習期限が迫っていたため10月は詰め詰めのスケジュールで、この教習は日曜日の1限目に入っていた。

日曜の早い時間は新鮮で、朝の空気を吸いながら、電動アシストサイクルを飛ばして学校へと向かった。

私の通っていた自動車学校では、教習の前に配車券を発行するシステムになっている。

口頭伝来の教習時間を紙にメモっていただけの私は、いつも配車券を見るまでどきどきしていた。

教習が始まるまで、配車券に記載されている担当教官の名前を眺めた。

見覚えのある苗字と、古典的漢字ながらに組み合わせがおしゃれな名前。破魔感があってかっこいい。

日曜の待合ロビーは閑散としていた。

少しすると教習開始の放送が流れ、この日の担当教官がやってきた。

「今日はよろしくお願いします」

「ところで先生ってもしかして、あの○○先生ですか・・!?」

私の通っていた自動車学校では、学科は全てオンラインとなっていて、この日の担当教官は、学科を教えてくれていた教官の一人だった。

「3年前だけどね〜」

確かにビデオで見た姿形と全く異なっていた。それゆえ点と点が結ばれなかったという訳だ。

太い黒縁メガネを掛け、パーマを掛けて前髪にボリュームを出し、男性教官の中では一番チャラチャラした印象だった。

もう一人の教習生も集合し、この日の教習が始まった。


1時間目


前半

もう一人の教習生は、いい香りのする女の子だった。彼女はとても眠そうだった。

この合同教習は、まず路上に出てそれぞれ運転し、次の時間で互いの運転についてディスカッションをするという内容であった。

じゃんけんによって、私から走行することになった。

いつも調子が上がってくるまでに時間を要していたけれど、この日はいつも以上にポンコツのロボットで運転を始めた。

(ほぼ全ての先生に「ドアロックを掛けてください」と言わせている。)

開始そうそうアホな運転ばかりをしてしまったため、「すでにノート1ページ分くらいの指摘事項が出てしまいました^^;」と軽口を叩き、自発的に場を和ませた。

しかしいつまでもヘラヘラしていられないため、

「今日も葬式ムードでいきます」

と宣言をした。念のため私と私の担当教官の教習が葬式ムードに至った経緯を説明し、葬式ムードの運転に移行した。

「いずれ一人で運転をすることになるから、大事なことだと思います」

助手席に座っている教官の言葉から、私の担当教官へのリスペクトがほのかに感じられた。


後半

ある程度のところで路上駐車をして、もう一人の子に交代した。

その子は運転を始めるやいなや、

「(先生に対して)何か話してくださいよ」

「葬式嫌なんです」

と言っていた。女の子っぽいなと感じた。

少し走ったところで、私がおもむろに自己紹介を始めた。

ここまで教習生同士の自己紹介が無かったため、せめて互いを名前で呼び合いたいと思ってのことだった。

「濁らない○○です♪」

私の苗字は、比較的ポピュラーな苗字の亜種で、田が多となり、濁らない点と抽象化されている点が軽くて気に入っていた。

鉄板の自己紹介と共に、原初の担当教官がこれに引っ張られてしまい、私を「ホンタ」という架空の苗字で呼び続けたエピソードも添えた。

「職業柄そちらのほうが馴染みがありますもんね^^;」

追加の軽口も添えておいた。

この日の教官もトークが得意なタイプで、教官としての役割を勤めつつ、なんとなく車内を回してくれていた。

「今日は何で来たの?」という質問をその子にして、私にもした。

「恥ずかしながら・・電動アシストサイクルです^^;」

「自動車じゃないですか〜」

「はい、原付で来たようなものですね^^;」

と、歯切れの悪い返しをしてしまったので、何と返したらもっと面白かったか、その後自宅で何度か振り返りを行った。

(多分二輪のほうが面白かったと思う。)

そうして初めましての三人の関係は、少しだけ暖かくなっていった。

途中、私の運転では出現しなかった路上駐車車両が出現して、私ははしゃぎ、教官は「めっちゃ喜んでるじゃないっすか^^」とツッコミをくれた。完璧な流れだった。

その後も、その子が平均12時間睡眠のロングスリーパーであることや、歯科学生であること、普段遊ぶ場所などへと話は及んだ。

「普段どこに遊びに行くの?」

「MEGAドンキ?」

「古いー(怒)」

「ごめんごめん、○○系(無印の地方都市型亜種)か^^」

という二人の会話が可愛らしくて、

「私の頃はまだダイエーでした^^;」

と、ナンセンスなコメントで参加させて貰った。

そうして1時間目の路上運転は終了した。


2時間目


2時間目はディスカッションだった。

閑散としたロビーで、女の子となんとなく並んでワンピースを眺め、教官がセッティングを終えた教室へと向かった。

机の上には模擬試験用の小さい紙が置いてあった。

試験が始まると思いきや、裏紙として使用して欲しいとのことで、女の子と私は小さいことにウケながら1時間目の振り返りを記入した。

私には Youtube の自学自習によって能動的に苦手を克服して来たという自負があり、1時間目では後部座席に座りながら、その子に伝えたい事柄を思い浮かべていた。

すでに何らかの図が描いてあるホワイドボードの隙間を使い、その子への熱血指導を始めた。

なお、教官のリアクションを見る限り、ホワイトボードを使いたいと申し出た教習生は統計上私くらいのように思われる。

私の熱血指導はエキサイトしたので、とてもうざかったと思う。

もちろん指導だけではなく、その子の運転の良かった点も伝えた。(滑らかなブレーキと確実な安全確認が良かった。)

その子の番になり、私の運転への忌憚なき意見を頂戴した。

とにかくブレーキが急で怖いとのことだった。

教官も同感だったようで、手の動きで私のブレーキの急さを伝えてくれた。

その後も担当教官を交えながらディスカッションは続いた。

ただ、女の子はとても眠そうだったので、私と担当教官の骨のあるディスカッションには興味を示さず、眠さに身を委ねていた。

最後のほうになって、いよいよホワイトボードに描かれていた図を用いて担当教官からの解説が始まった。

が、担当教官の話したかった事柄が全面に出てしまい、女の子に「分かりにくい」と言われていた。確かに少々強引な切り口は分かりづらかったけれど、内容はすごくタメになるものだったので、私はキャンパスノートに写しを取った。

そうして2時間目も終わりの時間を迎えた。

本来時間内でビデオを視聴する予定だったようだけれど、時間は全てディスカッションで消費されたため、スキップとなった。

「ビデオは無しにします^^」

型破りな進行に、若さのもつ柔軟性を感じた。

終わり際に女の子と少し話をさせて貰ったところ、担当教官が一緒であることが判明した。

そして最後に私は二人にお願いをした。

「どうか葬式ムードと言っていたことは内密にしていただきたく・・」

「「いっときま〜す」」

ドラマみたいなラストシーンで、この日の教習は終了した。


その後のこと


前の記事でも書いたように、この日の教習が最高に楽しかったから、私は私の担当教官に抱いていた異性としての好意を克服することが出来た。

それの意味するところは移り気で、本当にミーハーで恥ずかしい限りなのだけれど、私はこの日の教習の後、この日の教習を担当してくれた教官ともっと仲良くなりたいという願いを抱いた。少しの葛藤の末、その願いを自分自身で受理することにした。

自分の担当教官と区別するため、以降Y教官と呼ぶ。

とはいえ免許の勉強のために通っている自動車学校で、担当以外の若い異性の教官に話しかけることは、とてもハードルが高いことであった。

多くの人の目があったし、教官・教習生間で恋愛感情が芽生えやすい環境下であろうため、ナンパ行為など到底許されない空気が充満していた。

それゆえ仲良くなりたいと願っても、どうすれば良いかは分からなかった。

それでも少しだけ世界は変わっていて、Y教官が目に留まりやすくなったり、居合わせるシーンが少しだけ増えたように感じられた。

そう、何を隠そう、私は昔からスピリチュアルが好きで、引き寄せやシンクロニシティについても、学習や実験を重ねて来た。

中には目も当てられない醜態を晒したり、悲惨な状況を生み出してしまったこともあるけれど、そのような経験を経て、多少は分別を持って取り扱えるようになったのではないかと思う。

引き寄せに必要なこととしては、

  • 明確に具体的に願いを出す。

  • 出した後は、自分にとって自然な行動を重ねていく。

  • 所々しわを入れていく。

  • 叶う時は叶うし、叶わない時は叶わないので、結果は宇宙に委ねておく。

  • でもやっぱり叶ったら嬉しいから、きょろきょろしてもいいし、

  • 期待してもいい。

あたりだと個人的には思っている。
高度なテクニックは必要ない。(むしろ不自然になるから不要。)
コイントスのような気持ちで取り組むのが良いと思う。

また「状況は整い、後は自らが掴み取りに行くのみ」という局面も訪れることがある。これは胆力がいるけれど、そういう状況であることは自分で分かるはずなので、流れに身を投じる勇気も必要だ。(逆に言うと整っていない時に飛び込むのは蛮勇だから、無理をする必要はない。)

そのような訳で、仲良くなりたいという願いを出した後も、基本的には免許を取得するためだけの行動にコミットした。とはいえ長く通っている間に心を通わせてくれるようになった方々もいたため、そのような方々とのコミュニケーションは積極的に取るようにした。


翌々週のこと


例の教習の翌々週。この日は午前中に教習があって、午後からは本免の模擬試験を控えていた。

午前中の教習が終わって、いつもの私だけの場所に向かうと、仲良くさせていただいていた女性教官の方と居合わせたので、最近の担当教官とのやりとり等をおもしろおかしく報告した。

それから近所のローソンに軽食を買いに向かった。

ナチュラルローソンのプライベート商品である「1日分の鉄分が摂れるカカオ70%コーンチョコ」を購入して店を出ると、なんとY教官と彼の同僚の二人組にばったりと遭遇した。

無論私は大興奮したけれど、会ったら伝えようと思っていたことをY教官に伝えた。

「担当教官へ言わないでくださって、ありがとうございました・・!」

例の教習の翌週、久しぶりに合流した担当教官に、何か聞いていないかを確認した。

すると担当教官は「なになに?聞いてないよ」と言っていたので、私は「聞いていないならいいんです」と言って、茶を濁すエピソードを担当教官に話して聞かせた。

「イッチャッテスミマセン^^;」

Y教官はそう言っていた気がする。

正直お互い驚いていたので、Y教官が発した言葉をインプット出来ていなかったけれど、どちらかというと言ってしまった系のリアクションを取っていたような気がする。

時系列的を整理すると以下のようになるが、今となっては言っていても言っていなくてもどちらでも良いと思っている。

  • 10月1週:例の教習

  • 10月2週:私が担当教官に聞いていないか確認

  • 10月3週:担当教官がY教官と女の子に確認?

あまり大きいことは言いたくないけれど、この時は己の引きの強さに感動した。

その後の本免の模擬試験でも、ドラマの1シーンみたいに、教室の入り口で女の子と遭遇した。

12時間睡眠後の彼女はとてもハツラツとしていて、ざっくばらんに話しをさせて貰った。

「正直ドリルの6章のうち1章しか解いてない^^;」

「また○○先生(担当教官)にチクりますよ〜〜〜」

彼女の言葉がなんだかエモーショナルで、胸がキュンとした。

結果的に模擬試験は二人とも合格し、その後も少し雑談をして、彼女は送迎バスで帰っていった。

その後、せわしなく仕事に取り組む担当教官がフィールドに出現したため、2度ほど捕まえて、私と女の子の合格を報告した。

担当教官は「おめでとう^^」という柔らかい笑顔を見せ、祝福してくれて、この日はあたたかい気持ちで帰宅した。

25歳以降、私はあまり引き寄せの力を発動出来なくなったように感じていた。

25歳〜30歳では、自分の人生と世界に希望が持てなくなって、どん底まで落ちて、ダークサイドとして、地獄を生きているような心地で生きていた。

30歳以降は、若さというカードが失われ、それでも一般的な価値観に迎合することは出来なくて、年の経過と共にマイノリティな存在になりゆく自分に自信を持てずにいた。

スピリチュアルの力を使っていくためには、希望、夢、信じる気持ち、愛といった目に見えないポジティブな力が必要である。

この先は、自分で自分に掛けてしまった呪いと制限を外し、自分の人生と世界に希望を持って、本当の自分らしい人生を生きていきたいと、強く思う次第である。


最後の思い出


長文になり過ぎてしまったため、最後の思い出を一つ綴って終えたい。

卒業試験前日の、最後の教習の日のこと。

この日の教習は、9、10限目となっていた。
時間でいうと、17:50〜18:40、18:50〜19:40である。

学校は18時が定時のようで、それ以降は予約が入っている教習のみ実施されるようだった。

担当教官はいつも早く帰りたいという気持ちを全身から醸し出していたため、最後の教習であっても、配車券を見るまで、担当教官が担当してくれる保証は無かった。

(最後はやっぱり先生に見て欲しかったから、遅い時間なのに担当してくれてありがとう。)

そのような訳で、校内は少し閑散としていたが、配車券を発行する際にY教官となんとなく居合わせて、「Y教官もいてはるんだな」と感じていた。

そうして9限目が終わり、休憩時間にトイレを済まして出ると、なんと廊下でばったりとY教官と遭遇した。

正直仲良くなりたいと思っていても、校内でなんという言葉を掛けたら良いのか分からなかった私は、ただ、嬉しい顔で「こんにちは」と挨拶をした。

するとY教官は、

こんにちは!


とでかい声で挨拶をしてくれた。

最高に面白い豆鉄砲をくらった私は、10限目の笑ってはいけない路上自動車教習で何度も思い出し笑いをしそうになって、とても楽しい気持ちで過ごす運びとなった。

以上がY教官との一連の思い出となる。

卒業試験の日も、もし可能なら挨拶をしたいと思っていたけれど、試験の説明中に同僚と連れ立ったY教官が通過するのを見掛けたくらいで、結局挨拶をする機会はなかった。

そもそも卒業試験が終わるまで、そして卒業試験の後の挨拶が終わるまで、本筋の事柄に集中しよう。

Y教官に可能なら挨拶はしたいけれど、もしそれが出来なくても・・きっとこの先この街のどこかで会えるように頑張ろう。

卒業試験の前日は、家でそう思っていた。


今のこと


明日本免試験を控えている中で、ここまで文章を書いて過ごしてしまったため、この後は勉強に取り組み、まずは確実に免許を取得しようと思う。

スピリチュアルのわくわくを伝えたいと思って、余すことなく自分のわくわくした話を綴らせていただいた。

本当に長文でしたが、ここまでご精読くださり、誠にありがとうございました。


日常が幻になり 幻も消え去る そんな定めを壊せ
祈りはきっと届くと思う まだ道が続いている
昨日記した戯言 蝶になり羽ばたくだろう
それまで無事でいて
どんな罠も避け 新たなる旅路

祈りはきっと/スピッツ

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