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「86歳、やっとひとり」~#54 ひなまつり

バレンタインの投稿から一か月も経ってしまいました…。

「チョコレートなんか食べないから送らないで!!」とか言っていた母から、「あれ、すーっごく美味しかった!また来年も…」となんとも調子のいいお褒めの言葉を頂き、私の手作りチョコは無事報われた。柑橘好きの母に合わせた“柚子ピールチョコレート”。まあ喜んでくれたようなので、来年も送ってあげよう。

さて春らしくなってきたので、懸案の“リュウコばちゃん”に電話してみることにした。
#5, #17にも登場の85歳になる母の妹は、故郷の高齢者ホーム移住に向けて母より先に動いていたはずが、いざ実行の段で失速。「足の調子が悪くて」とか言って生活を変えるのを渋っているが、要はメンタルが下がってしまったのが理由だろう。今もエレベーターの無いマンションの4階に一人で住んでいる。

#5 「番狂わせ」
#17 「シニアもいろいろ」 

「おばちゃんに電話するなら、お天気のいい日にしてね。」
妹のミウちゃんも気遣う通り、お年寄りゴコロはセンシティブだ。好いお日和を選んだつもりだけど、どうだったろう…?

おみ足の具合は相変わらずだが、それでも毎日買い物に出ているという。4階までの昇り降りには恐れ入るが、それもリハビリと思って頑張っているようだ。
「エライよねー。でも本当に調子悪くなったらそうもいかないし、高齢者向けの給食サービスとか試してみたら?」
「そうは思うけど、いつから始めたらいいか分からなくて…。まだ自分で出来てるし。」
「とりあえず一度でも試してみたら? 困ってから始めるのって大変だよー。」

そんな遣り取りが二、三度続いてしまったので、「まあ、考えてみてね~」とかお茶を濁してその話はやめた。押しつけたくは無いのと、ちょっとイライラしてきたのも正直なところ。「決めなきゃと思うけど、そういう気分になれない…。」ってホーム入居も給食サービスも同じこと、彼女の気持ちの問題なのだ。

***

「こうゆう場合って、どうしたらいいんだろネ? おばちゃんちょっとウツ気味なんだと思うけど。」
「そう思うよ。でもこれ以上は会って話さないと何ともね。」 
ミウちゃんもそう言うことだし、ここは焦らずタイミングを探すことにしよう。

さて、バレンタインデーが終わると桃の節句も近い。私は鳩居堂のお雛様のカードを添えて、ネットで見つけた給食サービスの「無料お試し券クーポン」をリュウコばちゃんに送った。母が“誕生日のフラワーアレンジメント”や、“バレンタインデーの手作りチョコレート”を喜んでくれるように、彼女の一人暮らしの部屋にも明るくて可愛い“ちょっとだけ気分が上がる”春の声が届けられたらいいな。


「86歳、やっとひとり」 ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし
「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

【ここまでの展開】
「最後は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを温めていた母が、86歳と10か月、ついに東京に住む私と妹を残しN県に移住した。
予想外のコロナ禍の中、母はホームでの二年目を迎えた。


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