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「さあ、日本海時代へ!~ミニたいよう編~」(令和5年度素志スピーチ大会原稿)

 令和6年1月9日(火)に松下政経塾内で行われた令和5年度素志スピーチ大会で演説をぶった原稿になります。(以下本文)


 「コンピュータ付きブルドーザー」「今太閤」「キングメーカー」「戦後最強の政治家」…。1974年。今から半世紀前。我が国の権力の頂点にいたその男、田中角栄。新潟の寒村から身を立て、「列島改造論」を引っ提げて首相の椅子へと座った彼が成し遂げたかったことは、表日本と裏日本の格差をなくすことでした。

 今日たしかに裏日本という言葉は消えました。一方で、今もなお我が国は表日本=太平洋側に傾斜した国家経営を行っています。この太平洋を軸とした我が国の繁栄は、100年後も続くものなのでしょうか。これからも変わることのない、永遠のものなのでしょうか。
 否、半世紀の時を超え、今こそ日本海側へのリバランスが必要です。

 私の志の原点は、東日本大震災の時に抱いた国土の使い方に対する疑問にあります。あの震災は1000年に1度と言われますが、明治時代にも三陸津波で2万人が亡くなっています。昨年は関東大震災から100年の年でしたが、そう遠くない将来首都直下そして南海トラフ地震が再び我が国を襲うと予測されています。2つの巨大災害による経済的・資産的・財政的被害の推定は、20年の累計で2000兆円以上。すなわち国家予算の20年分ちかくの被害が出ると言われているのです。これまでのように太平洋側だけに頼っていては、間違いなく日本はつぶれる。この危機感こそ、私を突き動かし、そして我が国が動かなければならない所以なのです。


 災害リスクを低減させるには、詰まるところ官民を問わず東京そして太平洋地帯に集中している様々な機能を再配置することが必要です。しかしこれでは災害を乗りこえることはできても、平時における効率や競争力を維持・向上させることが困難となります。

 そこで私は、未来志向で問題解決型の日本海地域を建設することをここに宣言します。

 カギとなるのは、2つの「ミニたいよう」です。

 1つ目は、核融合発電の実現です。核融合発電とは、水素の原子核同士をぶつけることによってエネルギーを取り出す手法であり、太陽が光り輝くのと同じ原理であることから、「ミニ太陽」による発電であると言えます。そしてこの燃料である水素は海から取り出せるため、枯渇することのない夢のエネルギーとも言えます。この核融合技術の実現と世界への輸出によって、日本はエネルギーの偏在性を克服し、豊かな世界を創造できるのであります。

 2つ目は、日本海そのものを海洋環境の実験場とすることです。日本海は太平洋や大西洋と比べて小さいものの、小さなオーシャンすなわち「ミニ大洋」と呼ばれています。そして他の大洋より小さいため、地球温暖化による異変が大洋よりも早く起きると考えられています。そのため、日本海で起きている現象を観察することによって、今後世界の海で起こる問題を予測し、これに備えることができるのであります。


 自然にまかせておいては、朝日は太平洋からしか昇りません。しかし人の力で、政治の力で、日本海の水平線からも太陽が燦然とひかり輝く、そのような日本を創ることはできます。


 我が国は、エネルギー資源を求めて先の大戦へと突入し、一敗地に塗れた後は経済大国となりましたが、現在の温暖化の原因ともなる営みを行ってきました。そんな日本が、今度は無限のエネルギーと環境問題そして災害の解決策を日本海に求めるとき、理想的な日本と地球社会が築き上げられるのであります。

 さあ皆さん、我が国の名を冠する日本海から、日本の未来を切り開いていきましょう。


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