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『アンドレ・デジール』がめちゃくちゃ刺さった。あなたも観てください
ここ3年くらいで1番心が動いた舞台。『アンドレ・デジール 最後の作品』。物語、美術、振付、音楽、全てがなめらかにつながっていて惹かれた。
ストーリーが色々絡み合っていてひとつの公演で色々なことが起きすぎたので、ところどころもう記憶が曖昧です。頑張って思い出したい。
一応断っておきますが、かなりネタバレしています。そしてそれぞれ浮かんできた感想を並べただけなので、順番や細かい表現にあまり意味はありません。ということで以下個人的感想&考察です〜
エミールの物語ではあるけど、ジャンの話だし、エミール父の話だし、デジールの娘の話だし、デジールの妻の話だし。なんか色んな人の人生をかいつまんで並べられたみたいで、どれを取ったらいいんでしょう?とちょっと迷ってしまうくらいカラフルでしたね。でも観劇中に迷うことはなかったし、すごくスムーズでまとまっていて、振り返るとあれもこれも盛りだくさんだったなと思う。
上川エミール&小柳ジャンペアで拝見しました。上川さんと小柳さん、声の重なりが美しかったですね。好きでした。おふたりとも言葉を大切にされている印象だけど、重なると上川さんが言葉と旋律、小柳さんがそれを優しく支える感じに聞こえた。おふたりとも繊細な芝居が良かったです。
振付も好きです。5人でのパートはポジションが非常によく変わるけど全てスムーズで、移動してる感、間に合わせてる感があまりないのが良かった。
あと絵を描くシーンのコレオは伏線回収!清々しい気持ちになった。全く同じ構図が全く違う意味で再現されるの面白いですね。初めて出会ったパターン。これは何度か見たいポイントでした。
観劇後に気づいたけど、デジールとエミールで韻踏んでるの本当に生まれ変わりみたいですね。意図してるんだろうな、気づかなかったー
エミールが画家として評価される時、デジールの生まれ変わりとか苦悩が見えるとか言われて、他の画家とあまり区別されずに比較されて比喩されて、その人自身が見えてこない感じが本当に悲しいし報われてほしいと思った(報われたけど)。
エミールにとってはジャンと作った「贋作」が本物で、一人で描いた「本物」が贋作だったのかもしれないね。
ジャンとエミールの別れ、グロッケンで「二人なら」が独りで響くのがきゅーっと苦しくなったし、やるな〜!うまいな〜!と思いました。好きでした。
ジャンとエミールが離れるべきか迷うところ、舞台の熱量が急に上がるから、ちょっと置いて行かれた。スピード感重視であの間なのはわかるけどもう少しスロースタートが良いな。しがみついてこい!の意図でわざと早くしてるのか?
ジャンは最後若い姿で笑顔で出てくるけど、ジャンの晩年は救われてたのかなと思いを馳せてしまう。エミールみたいに悔やんで悔やんで、でも一方的に愛は持ち続けて、頭では全部予想がついてるけど本人がいないからもう何もできなくて、何もできないまま亡くなっていったのかと思うと報われないよね。エミールが絵の中にジャンの愛を見つけてくれたから、それで救われてたらいいな。
好きな演劇に出会った時、私は歌いながら帰るんです。今日は大きめの声で、ちょっと泣きながら歌いました。
素敵な作品に出会えて嬉しい。ありがとうございます!