2021年~ 舌がんをめぐる記録6
10月後半 もう自分では治せない
前の記事の次、10月に入って数日後の日記。
この日、とうとう、やっと近所の歯科を受診。
夫や子どもがお世話なっている、家から一番近い歯医者さん。
自分ではもうどうしようもない。よくなる気がしないし、実際よくない。
これまで検索で得た情報から診てもらうとしたら歯科か口腔外科、耳鼻咽喉科、、一番近いからとりあえず歯科にしよう。
噛んだ痕が沁みる舌が痛くて話をするのも大変ながら、電話をする。
「口の中と舌が痛くて一度診てもらいたいのですが」
「主人と娘がお世話になっているのですが」
などと伝える。
話しづらさやただならぬ気配が伝わったのか、私の話を聞いて予約と予約の間の30分に入れてもらった。
久しぶりの歯医者、出産前以来。
口も大きく開けられず、器具が当たると痛がるのでとても気を使ってもらった。
親知らずが左右に2本あり、左下の親知らずが内側に傾き、欠けているので割れた瀬戸物のようになっている、そこが舌に当たったり噛んだりしてるのでは、とのこと。
舌は傷ができて一部化膿がみられる、ただ噛んでしまって腫れているのか、何か腫瘍があるのか、その腫瘍がどういった性質のものなのかは口腔外科でみてほしい、うちでは判断できない。
親知らずは大学病院を紹介していて、そこでとってもらうことになる。
鋭利になっている部分をなだらかに削ることが出来るが、今の舌が腫れている状態で、口も開きづらい状態だとその処置も難しい。
まずは舌の傷を小さくして、舌の腫れによくない親知らずの処置をしやすくする方向で考えましょう。
そのような内容で説明を受けた。
逐一痛がる私に丁寧に診察してもらったし、舌の「腫瘍」の可能性のくだりはもう少し婉曲な、遠回しな、やさしい表現だった。
アズレンのうがい薬とフロモックスを処方され、翌々日に予約を取った。
アズレンのうがい薬は頻繁に口をゆすぐため。粘膜の修復作用があるそうだ。
気が付いたら、頻繁に、たくさん、口をゆすぐように言われる。
家に鎮痛剤があるかどうかを聞かれ、服用の時間を守って飲むようにすすめられる。
噛んでしまって痛いのが割れて尖った親知らずのせいかも、とわかり、とりあえずうがいと抗生物質で舌の傷や腫れが落ち着いたらいいな、来てよかった、と道すがらのファーストフード店でシェイクとポテトを買って帰る。
ちょっとしたご褒美になると思ったから。
結局ポテトを食べるには痛くてちびちびと、冷めてするめを食べているよう、シェイクは吸いこもうとすると口内が痛いので、かなりとけた状態で飲んだ。
食事をするのが辛くてほぼ食べていないので、高カロリーでするっと入るものはありがたかった。
今までためらっていた「病院に行く」ことが出来たので自分の勇気と達成感にちょっといい気分。
歯科受診後
わりとつぶやき系、ぼやき系のひらがな多めの日記が急に漢字交じりに。
寝られたことが嬉しかったよう。舌の腫れだけと思っていたのが、喉あたりも腫れていたのかもと気づいたらしい。
この日は受診の記録がない。
日記には目が覚めずに眠れたこと、久しぶりに食事らしい食事をとって喜んでる。
アズレンで頻繁にうがいして、腫れが少しひき、鎮痛剤を飲んでいる。
鎮痛剤が効いたのかもしれない。
まだ腫れがひかないが、初診時よりはよいとのこと、2日後に受診するよううながされて帰る。
家にまっすぐ帰る前にまたシェイクを買う。ポテトはやめておいた。
つらさがまったくなくなったわけではないけど、ちょっとずつ楽しみを作って気を紛らわす。
紹介状を書いてくれるという
2回目の受診から1日空けて3回目の受診。
この日から数日、日記はなし。
3回目の受診時に
・口内環境を整えるために親知らずを抜くこと
・舌の腫れについて細胞をとるなどの検査
を勧められる。
勧められるといっても、紹介状を発行するのに通常3、4日かかるが、週明けには渡せるようにする、帰宅したら紹介できる大学病院のリストから選んで電話で伝えてほしい。そこから紹介状を作りますといったこと。
定期健診やクリーニングで力になれるが、今の舌や歯の状態で出来ることがないと。
10弱の大学病院のリストをもらい、ざっくりと各病院の概要を聞く。
どこもそれなりにアクセスはよく、症状にも十分に対応してもらえるだろうとのことで、診察の予約の取り方、主に初診に予約が必要かどうかを一度自分で病院に確認してほしいという。
とてもソフトに説明してくれているが、これはもう急いだほうがいいんだ、と思った。
気休めにまたシェイクを買い、診療時間内に大学病院を決めて連絡するためにPCを立ち上げ、病院のリサーチに入った。
・初診に予約がいらない、すぐ受診できるところ
(初診の予約が必要で今からだと2か月ほどかかるとある病院もあった)
・とにかく口コミをあさる
(Googleの口コミはどこも行く気がしなくなるので、医療系の口コミを見る)
ここで数か所に絞り、あとは病院の外観や雰囲気、アクセス、場所を検討する。
子どもの通う高校の最寄り駅の病院はやめて、その近く、結婚するまで仕事場があり、住んでもいた駅が最寄りの病院にした。駅からも近い。
クリニックに電話をして選んだ大学病院を伝え、週明けに紹介状を受け取ることにした。
紹介状を受け取った日の日記
紹介状を受け取り、「いつ行きますか?」と歯科の先生に聞かれたので「明日すぐに行きます」と答えた。
「一旦ちゃんと診てもらいましょう」とか言われた気がする。
小さなクリニックで、この地元で生まれ育ち子育て中、とのこと。
とにかくじっくりと説明してくれる先生で、同じ説明を繰り返しされることも。
でもこういう丁寧さって、大事だと思う。
受診する方は、一瞬でも自分が「むげにされた」ことがわかる。
丁寧に対応してもらってありがたく、受診してよかったと思った途端に大きなフェーズに入った。
添削の配信もない日だし、紹介状を持ったからにはさっさと行こう。
紹介状を手にして、いつものようにシェイクを買って帰り、大学病院にもう一度問い合わせをして、初診の手順や時間を確認した。
そんなにはりきっているのに朝一の受付開始時間は狙わず、1時間ほど遅く行こうと電車の時間を調べてスクショした。
家を出る時間が早いなと思ったのと、早く行った方が待たされそうと思ったから。
身体も心もぼろぼろになってきているこの時、いよいよ悪いことがわかるのではという怖さ、次にすることがあることにありがたく思っている。
そんな両方の気持ちの存在がよく表れてる。
大学病院受診は次回の記事に。
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