半額に値引きされたお花は、あの頃のわたしに見えた
スーパーで枯れかけのお花が半額で売られていた。
そのお花をみたとき、悪寒がした。
2年前、わたしは単刀直入に言うと恋愛・性において荒れ果てていた。
毎週末合コンに行き、自分の心の穴を埋めるためだけに男と関係を持っていた。
おそらく、2018年度で出会った男の数は100人弱はいる。(この話は積もるところがありすぎるので小出しにしていく)
2018年5月頃~、とにかく分別なく出会いの数を増やして合コンにも行った。
合コンに行くと、男が先に個室に入っているケースが多かった。
部屋に入った瞬間の男の視線はどうしても嫌いだった。
値踏みするような汚らわしい目つき。目がもう、「やれるかやれないか」しか見ていない。
隠しても隠しきれない、いやもはや隠そうともしていないいやらしさが溢れ出て、
個室からだだ漏れなのだ。
なんなら最後の方はドアをあける前から感じるようになっていった。
あの値踏みするような目つき。
そして、このお花。
枯れかけていたので値踏みされて半額にさせられたのか。
なんだか、あの頃の自分のように思えてしまったのだ。
だから悪寒がした。
怖くなって、思い出しそうで、お花売り場からすぐに立ち去った。
22~24歳の頃だ。
若くて元気でフットワークも軽かった。
あの頃のわたしは、相当重症な恋愛依存症で
男性にやさしくされたくて、値踏みされる前から自ら安売りしていた。
「おもしろい」「可愛い」と言われるので、自分はモテていると思い込んでいた。
でも、それは決してモテではなかったのだ。
男の自尊心を高めるための1つのツールで、欲望のはけ口でしかなかった。
自ら安売りして、一夜を過ごして、その後連絡が一切来ない。
そんな経験はいっぱいあったのに、どうしても独りになりたくなくて
周りの友人には強気に、「自分の意志でやっている」と伝えていた。
でも本当は、一度安売りすると元には戻せなかったのだ。資本主義社会の弊害だ。
まだ自分の花が咲いていないことにも気づかず
蕾の状態でバルク売りの如く安売りしていたことには、後から気づいた。コストコかと思う。
25歳で花は咲いた。そして今もいろんな色の花が咲き続けているように思う。
周りの人の言葉が水となり、自信が肥料となり、
自分でも予想だにしなかった色の花が、次々に咲いていく感覚がある。
でも、今が最も美しく咲いているとは思っていない。これからだと思っている。
あの時は、半額のシールが貼られたお花がまるであの頃の自分のようで
怖くて見てられなくて立ち去ってしまったけれど
次は真正面からみつめる。そして、連れて帰る。
部屋の花瓶にちょこんと挿して、すっくと立たせる。
半額になっていたとしても、飾り方見せ方だけで美しくあれることを
自分の手で証明したい。
それができれば、
コストコバルク売りのわたしの黒歴史が少しは報われる気がする。
そして
あのおぞましい日々に蓋をして、
もう二度と思い出さないためのおまじないのように
なってくれるような気がするのだ。