#2 即興演奏 【ドラム啓蒙書】
みなさんこんにちは。いちのすけです。
今回は前回の予告通り、ドラムの即興演奏についてお話ししようと思います。
即興演奏、いわゆる「アドリブ」はドラム中級者から目の当たりにする難所です。これを習得できれば、文句なしの上級者。想像できると思いますが、中々に難しいです。
しかも即興演奏は、練習というものがあまり通用しません。これこそまさに「考え方」で習得していく技術かも。即興演奏ってできる人できない人を、残酷なほどに分別します。
それでは、早速参りましょう。
即興演奏=「即興作曲」…?
即興演奏が難しいと言われる最大の要因は、フレーズを「自分で考える」必要があると思われている点だと思います。つまり、即興演奏は即興作曲でもある、ということ。
また、ドラムの技術が十分にある人でも即興演奏ができないという現象が起こる理由もこのためです。ドラムはできても作曲できないから、自分は即興演奏できないという感じ。
ですが、即興演奏をしている人たちは「作曲をしている」というつもりは全くありません。どちらかと言えば「関数を解いている」という感覚に近いと思います。
関数的に捉える
関数というと、中学や高校の数学を思い出しますね。二次関数とか三角関数とか、受験の時にお世話になった記憶があります。苦手な人が多かったのでは?
なぜ急に関数の話?と思われると思いますが、即興演奏は関数的な考え方が必要だったりします。ただし、必要なのは数式的なものではなく概念的な部分。
関数とは、ある入力に対してそれに応じた出力が返ってくるものを指します。例えばy=2xという関数があったとして、入力がx、出力がyとしましょう。
xに1を代入すればyは2に、xに10を代入すればyは20に、入力が決まれば出力も決まる。これが関数なんですが、この一連の流れ、即興演奏と非常によく似ているんです。
即興演奏は「ジャンルを入力」として「演奏を出力」する演奏なのです。あるジャンルに対して、それに応じた演奏を出力する。これが即興演奏の考え方です。
例えば、ジャズの即興演奏がしたい場合を考えてみましょうか。つまり「入力がジャズ」の場合。そしたらジャズの特徴を頭の中から引っ張り出してきます。
「ライドシンバルで裏拍にアクセント」「シンコペーション多め」「6連符でゴーストノート」などなど…もちろん、全部が全部こうではないので、そこは大体で考えましょう。
そしたら、以上の奏法を実際に叩くだけ。ね、簡単でしょう?即興演奏、割とできちゃいそうですよね?はい、これであなたも即興演奏マスター!
「そんな一筋縄に行くか!」行きません。冗談です。ただ、割と私の場合はこれくらいアバウトに演奏しています。それくらい、感覚に頼らざる負えない側面もあるのも事実。
即興演奏に必要な3ステップ
しかしブログにしている以上、ちゃんと解説していきたいと思います。即興演奏の考え方はお話ししたので、以下に実際に即興演奏に必要なことを3ステップで解説します。
Step1 色々なジャンルに触れよう
ここまでの話を踏まえて、即興演奏をするにあたって一番大事かつ一番前提的なことがあるんですが、何か分かりますか?もちろん練習は大事ですが、それは一旦置いといて。
一番大事なのは「色々なジャンルの音楽に触れる」ということ。触れるというのは、実際にそのジャンルを演奏したり聴いたり、方法は割と何でもいいと思います。
個人的なおすすめは、下の動画のようなバッキング音源を使って練習する方法。ジャンルを比較的楽しく学べる上に、インプットとアウトプットを同時に行えます。
即興演奏は、自分の中にある音楽的な引き出しがある程度ないと、ワンパターンでつまらない演奏になってしまいます。とにかく食わず嫌いせずに、色々なジャンルに触れるべき!
Step2 触れたジャンルを分析しよう
触れたジャンルは、逐一分析していきましょう。そのジャンルによくみられる「テンポ」「グルーヴ」「楽器編成」など、できるだけそのジャンルの特徴を見出してください。
「このジャンルはこういうビートをよく使ってる」みたいな特徴を掴むことができれば、十分に分析できていると言えますね。
真面目な人はノートに書くかもしれませんが、できるだけ体で覚える意識も大切に。理想的なのは、そのジャンルを聴けば反射的にノることができる状態ですね。
Step3 各ジャンルの類似点と相違点を見つけよう
分析したものの中には、それぞれ似ているジャンルがあることに気付くと思います。そういう場合は、どういうところが似ているのか・異なるのかを明確化しましょう。
例えば、ファンクとディスコはそこそこ似ているジャンルですが、恐らく似ているのはリズムギターとかのフレーズ。カッティングと呼ばれる奏法が特徴的ですね。
一方で、ディスコは基本的に4つ打ちのビートなのに対してファンクは必ずしも4つ打ちではないという相違点もあります。あと、ファンクの方が浮遊感があるかも。
それぞれのジャンルにおける関係を把握できれば、似ているジャンル同士から引き出しを広げたり、叩き方一つで演奏の空気感をコントロールできます。
まとめ
改めて、即興演奏は非常に難しいです。音楽的な瞬発力が求められますし、それは普段の練習だけでは中々身につかないものでしょう。
今回お話しした考え方が、少しでも参考になれば幸いです。ここまでご覧いただきありがとうございました。それでは、バイバイ。